お飾り婿の嫁入り 血の繋がらない息子のために婿入り先の悪事を暴露したら、王様に溺愛されました

一部番外編

後日談１-１：早朝の誘惑

　目覚めると右手にアグノスが、左手にティグレがしがみつき、ティグレごと抱きついてくるイデアルがいた。

　目覚めてから一ヶ月経って、安静が解除されてから一緒に眠れるようになったんだけど、起きたらいつもこうだ。

　心配させ過ぎた僕が悪いんだけど、こうやってもうどこにも行かせないって感じでくっついてくる子供達に可愛さもあるが申し訳なくなる。

「起きました？どかしましょうか？」
「おはようロン。大丈夫」

　僕が起きたことに気づいたロンが声をかけてくれるけど断って大人しくしておく。

　あの時、与えてしまった不安を少しでも癒せるなら朝の一時動けないくらい安いものだしね。

「わかりました。動きたくなったら言ってください」

　そう言って壁際に控えたロンの気配を感じながら、ぼんやりとしているとイデアルがもぞもぞと動き出す。

「ん……、でぃ、ろす……さま？」
「おはようイデアル」

　両手が自由だったら撫でてあげるんだけど、どちらもガッチリホールドされているので、笑いかけるだけに留める。

「はい……おはようございます……」

　眠そうにしながらもふにゃりと安心した笑みを浮かべるイデアルにくすりと笑う。

「ふふっ、まだ眠そうだねイデアル」
「ティグレが、温かくて……」

　冬の寒い時期。室温はある程度管理されているとはいえ、毛布に包まれながら抱えるほかほかの子供の体温は心地よいらしい。

　僕も両手をホールドされてるからすっごい温い。ティグレを抱えているイデアルからしたらなおさら温かいのだろう。

　まあ、僕からしたらイデアルも子供体温で温かいんだけど。

「そうだねぇ……二人とも子供体温ですっごい温かいんだよねぇ」
「はい……」

　二人で幼児二人の体温に和んでいたら、なんだかまた眠気が襲ってくる。

　起きていなきゃ、とは思うけど……これは二度寝しちゃうかも。

　そんな事を思いながら、僕の意識が心地の良い二度寝へと抗えなかったのは言うまでもない。