転生冒険者と男娼王子

海野璃音

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1-2.転生冒険者と男娼王子の最初の一日

二十一話★

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「んっ……」

 俺の上に跨り、口づけを求めるように首の後ろへ腕を回したフレデリック様に口づけを落とした。一度浅く唇を重ね合わせた後、楽し気なフレデリック様と視線が交わり、どちらからともなくもう一度唇を合わせ、深く口づける。

「っ……ふ……」

 舌を絡めながらもフレデリック様の体へと手を這わせ、小ぶりな臀部や肉付きの薄い太ももを撫で上げれば、小さな吐息がフレデリック様から零れ、淡い快楽にその体が震えた。

 俺がフレデリック様の体を撫でる度にちゃぷりちゃぷりとお湯が水音を立てる。それは俺の動きだけでなく、快楽に身じろぐフレデリック様が奏でるものもあり、俺達の興奮を搔き立てるものがあった。

「っあ……二コラ、あまり……焦らすな……」

 俺があまりにも核心に触れないものだから、値を上げたフレデリック様が唇を離し、咎めるように睨みつける。うっすらと涙の浮かんだ瞳にほんの少し加虐心が擽られたのは内緒だ。

「すみません、じっくりとあなたを愛したいものでして」

 悪びれなくそう告げて、フレデリック様の細い腰をぎゅうっと俺の腹に押し付けるように抱き寄せる。

「っああ……!」

 すでに勃ち上がっていたフレデリック様の陰茎が俺の腹とフレデリック様の腹に挟まれて、フレデリック様の口から声が漏れた。

「っ……」

 もちろん、俺とフレデリック様の腹に挟まれたのはフレデリック様の陰茎だけではない。フレデリック様が勃起する前から勃ち上がりかけていた俺の陰茎だってそうだ。

 温かいお湯の中、互いの腹に挟まれた陰茎同士が擦れ、快感を生み出す。その感覚は手でするとも、肉壁に包まれるのとも違う感覚だったが、押し付け擦られる快楽は気持ちの良いものだった。

「……手でとは言いましたが、このままフレデリック様が動いてみますか?」
「いい、ぞ……」

 快楽に堪えながらフレデリック様を伺えば、フレデリック様は不敵とも蠱惑的とも言える笑いを浮かべながら俺の額へと口づけを落とす。

「今日は、私が……楽しませてやろう」

 そのあまりにも魅力的な笑みに心を打たれながらもどうにかこうにか動揺を隠す。まあ、バレバレだと思うけどな!フレデリック様が楽しそうに笑ってるから!

「ふふっ……可愛いぞ二コラ」

 やはり、隠し切れなかった動揺に気づいたフレデリック様が緩々と腰を動かしながら俺の頬を撫でる。

「っ、こんな筋肉だるまにそんなこと言うのフレデリック様だけですよ」
「ほかの、者は……見る目がないな……だが、私だけが……お前に可愛いと、言えるのなら……喜ばしいな」

 艶の滲んだ顔で愛おしげに微笑んだフレデリック様の表情に嘘や偽りは見えない。嬉しさ半分、羞恥心半分。こうなったら隠せるはずもなく、ボっと、顔が熱くなった気がした。

 真っ赤になっているであろう俺にフレデリック様は楽しそうに笑い、俺へと体を擦り付ける。

「ははっ、可愛いと、言われて嬉しいのか……お前と、私に……挟まれた性器が、大きくなった……気がするぞ」
「あなたから言われる誉め言葉はなんだって嬉しいんですよっ……!」

 理想で言えばかっこいいと言ってほしいのだが、惚れた弱みという奴だ。何を言われてもフレデリック様が心から言ってくださっているのなら嬉しいものは嬉しい。恥ずかしさはやはりあるが。

「っ、そうか……それでは、これからも言うとしよう……」

 俺を覗き込みながら嬉しそうに笑うと俺の額にキスをして、頭を抱え込む様に俺に抱き着き、体の動きを再開した。

「二コラっ……二コラ……、気持ちいいか……っ」

 俺を気持ちよくさせようと必死に快楽に耐え、体を押し付けて揺らすフレデリック様の動きに段々と昂ってくる。

「はい……フレデリック様のお腹と陰茎に擦れて、気持ちいいです」

 自分で動かせないもどかしさすら、フレデリック様からの愛撫だと思うと快楽へと変化されていく。

「っ、あ……♡はぁ……っ♡」

 フレデリック様の声に艶が混じり、俺を抱きしめる両腕に力が入った。

「あぁあっ♡」
「っ……!」

 両手に力を込め、そこを起点にフレデリック様の腰がぐっと押し付けられ、フレデリック様が絶頂する。そして、俺も押し付けられたフレデリック様の恥部と腹に白濁を吐き出したのだった。

「どう、だった……」

 絶頂にわなないていたフレデリック様の体から力が抜け、フレデリック様は力なく俺の額に額をくっつける。

「最高でしたよ。あなたが、俺の為に動いてくださっているのに……それ以外の感想があるわけないです」
「ん……そう、か……」

 俺の言葉にホッとしたように笑うフレデリック様だったが、その体がくらりと傾き、俺へと倒れ込んできたので抱き留めた。

「フレデリック様っ!」

 抱き留めたフレデリック様の顔を見れば、赤く、のぼせているのがわかる。無理をさせるつもりはなかったはずなのに、やらかしてしまった事に頭を抱えたくなりながら、俺はその華奢な体を抱えて浴槽から上がるのであった。
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