転生冒険者と男娼王子

海野璃音

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1-1.転生冒険者は男娼王子を攫う

九話★

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「んっ……ふっ、ぁ」
「っ……」

 互いに求めあうように唇を重ね、舌を絡めあう。俺の首の後ろへと腕を回し、時折俺の唇を食むフレデリック様の動きは慣れたものだが、自ら積極的に俺を求めようとしてくれているのが嬉しくて、答えるようにフレデリック様の舌を吸った。

「んんっ……!」

 首に回した腕をきゅっと締めて抱き着くフレデリック様が愛おしい。正直夢のようだと思うが、その吐息と温もりがこれを現実だと示していた。

「ぁ……」

 唇を離し、熱の孕んだフレデリック様の瞳と見つめあう。

「このまま抱いてしまっても?」
「っ……許す……」

 俺の言葉に頷き、抱き着いてきたフレデリック様を両手で横向きに抱き上げる。まるで初夜に新婦を運ぶ新郎のようだが、何も間違っていないので問題はないな。

 フレデリック様をベッドへと降ろせば、長い金糸がシーツの上に散った。広がる金糸の中、ベッドに横たわるフレデリック様の色気はすさまじい。

 ボディピアスに彩られた体は俗っぽいのに、一種の絵画のような美しさすらあるのだから。

 俺を見つめる碧色の瞳に心を射抜かれながら、礼服を脱ぎ捨てる。

「ほう……」

 自分とは違う腹筋の割れた太い胴、丸太のような太い腕、腕以上に太い太ももやふくらはぎを見てフレデリック様が熱っぽい視線はそのままに感心したような声をあげた。

「服の上から見ても凄かったが……脱がれると私とは比べ物にならないな……」
「育ち過ぎだと思いますけどね……フレデリック様もちゃんと食事をとれば、ここまでとは言いませんがちゃんと肉はつきますよ」

 ベッドから起き上がり、俺の腹筋をぺちぺちと触るフレデリック様に苦笑する。筋肉に憧れるのは男の性か。もう少し、肥えさせたいところだが……俺ほどにはならないでくれると嬉しい。まあ、そうなってもフレデリック様に向ける想いに変わりはないが。

「太ってもいいのか?あいつは、今でも太っていると文句を言っていたが……」

 不思議そうに見上げてくるフレデリック様に余計なことしか言わない奴らめと、王宮の人間に怒りを覚える。

「身長に比べたら痩せすぎです。それと、あなたを消費していた奴らと比べないでいただきたい。俺みたいに育っても愛せる自信がありますよ」

 俺を覗き込むように座っているフレデリック様を抱き寄せ、その額へと口づけた。

「ふふ……本当に物好きなやつだ」
「あなたが鍛えたければいくらでも教えますし、食事だって理想的なものを用意します」
「お前の理想にするためか?」
「いいえ、あなたを健康的で美しい人にしたいが為です。今のあなたじゃ俺が触れただけで折れてしまいそうですから」
「そこまで軟弱なつもりはないぞ」

 言葉でじゃれ合いながら、その肌にいくつもの口づけを落としていく。

 頬や首、腰に腕を回すように抱き上げて、鎖骨や胸元にまで。

「っ……ニコラ、あまり焦らすな……」
「早くあなたを俺で染め上げたいのがやまやまですが……せっかくの初夜なのだからじっくり味わわせてください」
「っああ……!」

 ピアスに彩られた肉粒を唇で食むように転がせば、フレデリック様が俺の頭を抱え込みながら仰け反る。

「ひもちいいですか(気持ちいいですか)?」
「ぁ……あぁあっ、しゃべ、るなぁあ……!」

 ふるふると首を振り、長い髪を揺らすフレデリック様の姿はなまめかしく、艶やかだ。その姿を視線を上に向け確認し、俺は笑みを深めると……その敏感な突起に吸い付いた。

「っ!?あぁあああっ!」

 フレデリック様が予期せぬ快楽に胸だけで達する。

「あ、あっ!あぁあっ!」

 ピアスに彩られた肉粒を舌で押しつぶせば、舌に転がされるたびに嬌声を上げ、俺の頭に回した手で俺の髪をかき乱す。

 押しつぶした肉粒の中に通った硬い金属の芯を僅かに感じながらむしゃぶりつくし、唇を離せば、金色の装飾の中で赤く色づいた肉粒が片方だけ艶めかしく存在を主張していた。

「はぁ……ぁ……この……しつこいっ……!」

 絶頂しすぎて涙目になったフレデリック様が俺を睨むように見下ろす。申し訳なさもあるが、そんな姿すら愛おしい。

「フレデリック様があまりにも愛らしくて……愛おしい方が俺の手で感じてくれているんです。余すことなく愛でたいと思うのは許されない事でしょうか?」
「歯の浮くような事を抜け抜けとっ……!」

 俺の言葉に頬を赤らめたフレデリック様が俺の髪を握る。多少引っ張られるが加減してくれているのか痛みを感じることは無かった。

「どうか、俺の思うままに愛させていただけませんか?」
「っ……好きにしろっ」

 許しを請うように見上げれば、息を飲んだフレデリック様がやや投げやりに許可を出す。やや投げやりだったが、許可は許可だ。

「ありがとうございます」

 笑みを浮かべ感謝を述べると俺はもう片方の肉粒への愛撫を開始したのだった。
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