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第123話 予兆
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俺達の握手を見届けたデメル大臣は、フレールさんに話し掛ける。
「ではフレール様。我々がお供しますので、そろそろ城に戻るとしましょう」
「ええ、ですが少し待って下さい」
フレールさんはそう言って俺達の方に向き直る。
「皆さんは寝食をする場所などは決まってるのですか?」
「俺達は……どうしたらいいんですかクリケットさん?」
「一応女性陣には私の部屋を使ってもらって、君はこの国の騎士団員宿舎に泊まってもらおうと思っている」
「でしたら城にいくつか空き部屋もありますのでそこに泊まって下さい。セバス、この方達のお世話をお願いします」
「は、はい、解りました。私が責任を持って皆様の部屋をご用意させていただきます」
「皆さんのような素敵な方達に出会えるなんてお散歩に出掛けて正解でした。それではまたお会いしましょう」
フレールさんは俺達にそう告げた後、踵を返してデメル大臣達と城の方へと帰っていく。
残されたセバスさんと俺達は神殿の周囲を見て回ってから城に戻る。
城の入口に着いたところで、クリケットさんが足を止めて口を開く。
「すまないが、私はもう行かせてもらうよ」
「ありがとうございましたクリケットさん」
「この城に敵が攻め込んでることはないと思うが、もしものときは頼んだぞ。それからセバス殿。申し訳ないですが彼等のことをお願いします」
「かしこまりました。クリケット殿もお気を付けて行ってらっしゃいませ」
クリケットさんと別れ、セバスさんの案内で城の中にある部屋に向かう。
「俺達のために部屋なんか用意してもらってすみません」
「とんでもない。姫……フレール様に頼まれておりますので、他にもご入り用のものなどございましたら、なんなりとお申し付けください」
「セバスさんはフレールさんのお付きの人なんですか?」
「はい! フレール様が幼少の頃より執事としてお仕えさせていただいております」
「それでフレールさん、セバスさんには心を許してる感じがあったんですね」
「そうだとしたら嬉しい限りでございます。おてんばで反抗的だった姫様でしたが、今はご立派になられました……」
「執事としてずっと傍に仕えているセバスさんもスゴいですよ」
「国内にはまだフレール様を認めない反対派閥もありますので、私の体が動くうちはお守りせねばなりません」
「……あの大臣さんとかも反対派なんですか?」
「そうです。デメル大臣はフレール様を女王の座から引きずり下ろそうと色々と画策しておりますので、油断が出来ません」
デメル大臣が来た瞬間、フレールさんの顔つきが変わったのはそういうことだったのか。
一国の主なんて一見羨ましくも思えるけど、実際は大変なんだろうなあ。
「さあ、着きましたよ。女性の方は二人で一部屋お使いください。後で給仕の方が参りますので、食事などの確認はそちらでお願いします」
セバスさんは俺達に部屋を紹介した後、一礼して去っていく。
俺は一人で部屋を使わせてもらうことになり、給仕の人が来るまでベッドの上で旅の疲れを癒す。
あの塔から神殿や町の様子とか見れそうだから、明日登って良いか聞いてみるか。
エクシエルさん達のことも気になるけど、今はこっちに集中しないとな。
それから何事も無く二日が過ぎ、俺達は今日も塔に登って周辺に異常がないかの確認をする。
「今日はちょっと曇ってるけど、風は気持ちいいわね」
「ここに登って良いか聞いてみて良かったな」
「ここからだと神殿の様子も見れるし、異変があったらすぐに分かるものね」
「エクシエルさん達が前線で食い止めてくれるだろうから、今回は俺達の出番はないかもな」
「だが何が起こるか分からんからな。お前達も気を抜くなよ」
「分かってるってマリィ。だから毎日こうして町の様子とか見てるんだろ」
塔の最上階から双眼鏡で各々別々の方向をを眺めていたら、フィオが大きな声を上げる。
「ねえ! まだお昼なのに町の方が明るいみたいだよ!」
そう言われて俺も町の方に双眼鏡を向けてみる。
「なんだあれ? 町が燃えてるような明るさだな……」
確かにフィオの言う通り町全体が光っているようだ。
すると今度はサーシャが声を上げる。
「神殿の方も少し様子がおかしいみたいです! 兵士の皆さんが慌ただしく動き出してますよ」
「なんだって!? すぐにここから下りて何が起きてるのか聞いてみよう!」
俺達が駆け足で塔から下りていたら、空に赤い光が広がる。
あれは確か敵襲の合図だったはず。まさか、近くに敵が来てるのか!?
塔から下りて近くの兵士に何があったのか聞いてみる。
「あの! もしかして敵が来てるんですか!?」
「ああ! 突然敵が現れて町の方に火がつけられたらしい! 君達もすぐに向かってくれ!」
兵士はそれだけ言い残し、こちらの返事も待たずどこかへ走り去っていく。
「町の方向にも守りを固めてたはずなのにどうして敵が来るのよ」
俺達がどっちに行くべきか悩んでいたそのとき、神殿の方角に大きな雷が落ちる。
その瞬間、神殿にアークが近づいて来ているのを感じ取る。
「この感じ……ベルナデッドと……もう一つ大きな力が神殿に近づいてきている……」
「アークの軍が来てるのか!?」
マリィは驚いた顔をして俺に聞く。
「間違いない……アークの連中がすぐ近くまで来ているはずだ」
「ソウタがそう言うのなら神殿に行こう。城にはSランクのギフトが取り付けられてるから簡単には落ちないはずだ」
「町の方に現れた敵も気になるけど、今はオーブを守るのが優先だな」
俺達が神殿に向かっている道中、各国の兵士達が次々とどこかへ出発している。
「やっぱりアークの軍が来てるんだな。俺達も急ごう!」
「ただでさえこっちに残ってる軍勢は少ないのに、二ヶ所同時に攻めて来たんじゃ守るのがちょっと厳しそうね」
「エクシエルさん達もすぐには戻ってこれないだろうから、ここは俺達で何とかするしかないな」
「問題はベルナデッドとジュラールだな。ソウタの話から察するにジュラールが来てる可能性が高い」
「最悪逃げるんだ。いくらオーブを守るためとはいえ、ここで死んでは元も子もないからな」
そうだ、まずはみんなで生きて帰ることが最優先だ!
「ではフレール様。我々がお供しますので、そろそろ城に戻るとしましょう」
「ええ、ですが少し待って下さい」
フレールさんはそう言って俺達の方に向き直る。
「皆さんは寝食をする場所などは決まってるのですか?」
「俺達は……どうしたらいいんですかクリケットさん?」
「一応女性陣には私の部屋を使ってもらって、君はこの国の騎士団員宿舎に泊まってもらおうと思っている」
「でしたら城にいくつか空き部屋もありますのでそこに泊まって下さい。セバス、この方達のお世話をお願いします」
「は、はい、解りました。私が責任を持って皆様の部屋をご用意させていただきます」
「皆さんのような素敵な方達に出会えるなんてお散歩に出掛けて正解でした。それではまたお会いしましょう」
フレールさんは俺達にそう告げた後、踵を返してデメル大臣達と城の方へと帰っていく。
残されたセバスさんと俺達は神殿の周囲を見て回ってから城に戻る。
城の入口に着いたところで、クリケットさんが足を止めて口を開く。
「すまないが、私はもう行かせてもらうよ」
「ありがとうございましたクリケットさん」
「この城に敵が攻め込んでることはないと思うが、もしものときは頼んだぞ。それからセバス殿。申し訳ないですが彼等のことをお願いします」
「かしこまりました。クリケット殿もお気を付けて行ってらっしゃいませ」
クリケットさんと別れ、セバスさんの案内で城の中にある部屋に向かう。
「俺達のために部屋なんか用意してもらってすみません」
「とんでもない。姫……フレール様に頼まれておりますので、他にもご入り用のものなどございましたら、なんなりとお申し付けください」
「セバスさんはフレールさんのお付きの人なんですか?」
「はい! フレール様が幼少の頃より執事としてお仕えさせていただいております」
「それでフレールさん、セバスさんには心を許してる感じがあったんですね」
「そうだとしたら嬉しい限りでございます。おてんばで反抗的だった姫様でしたが、今はご立派になられました……」
「執事としてずっと傍に仕えているセバスさんもスゴいですよ」
「国内にはまだフレール様を認めない反対派閥もありますので、私の体が動くうちはお守りせねばなりません」
「……あの大臣さんとかも反対派なんですか?」
「そうです。デメル大臣はフレール様を女王の座から引きずり下ろそうと色々と画策しておりますので、油断が出来ません」
デメル大臣が来た瞬間、フレールさんの顔つきが変わったのはそういうことだったのか。
一国の主なんて一見羨ましくも思えるけど、実際は大変なんだろうなあ。
「さあ、着きましたよ。女性の方は二人で一部屋お使いください。後で給仕の方が参りますので、食事などの確認はそちらでお願いします」
セバスさんは俺達に部屋を紹介した後、一礼して去っていく。
俺は一人で部屋を使わせてもらうことになり、給仕の人が来るまでベッドの上で旅の疲れを癒す。
あの塔から神殿や町の様子とか見れそうだから、明日登って良いか聞いてみるか。
エクシエルさん達のことも気になるけど、今はこっちに集中しないとな。
それから何事も無く二日が過ぎ、俺達は今日も塔に登って周辺に異常がないかの確認をする。
「今日はちょっと曇ってるけど、風は気持ちいいわね」
「ここに登って良いか聞いてみて良かったな」
「ここからだと神殿の様子も見れるし、異変があったらすぐに分かるものね」
「エクシエルさん達が前線で食い止めてくれるだろうから、今回は俺達の出番はないかもな」
「だが何が起こるか分からんからな。お前達も気を抜くなよ」
「分かってるってマリィ。だから毎日こうして町の様子とか見てるんだろ」
塔の最上階から双眼鏡で各々別々の方向をを眺めていたら、フィオが大きな声を上げる。
「ねえ! まだお昼なのに町の方が明るいみたいだよ!」
そう言われて俺も町の方に双眼鏡を向けてみる。
「なんだあれ? 町が燃えてるような明るさだな……」
確かにフィオの言う通り町全体が光っているようだ。
すると今度はサーシャが声を上げる。
「神殿の方も少し様子がおかしいみたいです! 兵士の皆さんが慌ただしく動き出してますよ」
「なんだって!? すぐにここから下りて何が起きてるのか聞いてみよう!」
俺達が駆け足で塔から下りていたら、空に赤い光が広がる。
あれは確か敵襲の合図だったはず。まさか、近くに敵が来てるのか!?
塔から下りて近くの兵士に何があったのか聞いてみる。
「あの! もしかして敵が来てるんですか!?」
「ああ! 突然敵が現れて町の方に火がつけられたらしい! 君達もすぐに向かってくれ!」
兵士はそれだけ言い残し、こちらの返事も待たずどこかへ走り去っていく。
「町の方向にも守りを固めてたはずなのにどうして敵が来るのよ」
俺達がどっちに行くべきか悩んでいたそのとき、神殿の方角に大きな雷が落ちる。
その瞬間、神殿にアークが近づいて来ているのを感じ取る。
「この感じ……ベルナデッドと……もう一つ大きな力が神殿に近づいてきている……」
「アークの軍が来てるのか!?」
マリィは驚いた顔をして俺に聞く。
「間違いない……アークの連中がすぐ近くまで来ているはずだ」
「ソウタがそう言うのなら神殿に行こう。城にはSランクのギフトが取り付けられてるから簡単には落ちないはずだ」
「町の方に現れた敵も気になるけど、今はオーブを守るのが優先だな」
俺達が神殿に向かっている道中、各国の兵士達が次々とどこかへ出発している。
「やっぱりアークの軍が来てるんだな。俺達も急ごう!」
「ただでさえこっちに残ってる軍勢は少ないのに、二ヶ所同時に攻めて来たんじゃ守るのがちょっと厳しそうね」
「エクシエルさん達もすぐには戻ってこれないだろうから、ここは俺達で何とかするしかないな」
「問題はベルナデッドとジュラールだな。ソウタの話から察するにジュラールが来てる可能性が高い」
「最悪逃げるんだ。いくらオーブを守るためとはいえ、ここで死んでは元も子もないからな」
そうだ、まずはみんなで生きて帰ることが最優先だ!
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