念願の異世界に召喚されたけど役に立ちそうもないんでその辺で遊んでます~森で謎の姉妹に出会って本物の勇者を目指すことに~

朱衣なつ

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第112話 ことの顛末

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 デンバーが乗っていると思われる船が出発して、それを遠方から追いかけていく。
 
 「それにしてもあいつ等どこに行くんだろうね。あの小さい船で逃げるつもりなのか?」

 ラスネルさんが双眼鏡を覗きながらそう言っていたら、海上に二隻の大型船が見えてくる。
 
 デンバー達の船はそちらの方に向かっていってるようで、多分あの船に乗るつもりなのだろう。

 「あの旗は! ボイラール団のものじゃないか! 冒険者を他国に送っていた海賊はあいつらだったのか……」

 「私はあまり知らないけど名前くらいは聞いたことがあるね。知ってるのかい?」

 「ダルカデルに来る途中あいつらの仲間に襲われたんですよ。もしかしたら、そのときも冒険者を他国に送った帰りだったのかもしれませんね」

 「なるほど、あの海賊共やりたい放題やってるんだね。でも、今日でそれもおしまいさ」

 一旦少し引き返した後ラスネルさんが信号弾を上げる。

 「さて、テヘルさん達はこれに気付いてくれるかね」

 「今ので多分こちらの存在に気付いたでしょうから、もう少し離れましょう」

 離れて様子を見ていると大型船が動き出し、この海域から出ていこうする。
 
 逃げられる! 

 そう思った矢先、一隻の船がこちらに向かってきているのが目に入ってくる。

 「ゼダックさんの船だ!」

 その後ろからも二隻の船が追従してきていて、海賊の船を追いかけていく。

 ゼダックさんの船は海賊船に追い付き、他の船と協力してあっという間取り押さえて戻ってくる。

 俺とラスネルさんはゼダックさんの船に乗せてもらい、海賊達の様子を見に行く。

 数十人の海賊達は全員縄で縛られデッキの上でうなだれている。

 その中にデンバーの姿もあり、大人しく下を向いて座っている。

 近づいて話し掛けると、俺の顔を見るなり呆れた様子で肩をすくめる。

 「お前は本当にしつこいやつだな。後もう少しでこの国からおさらば出来たのによ」

 「お前がやったことは許されることじゃない。ちゃんとした罰を受けるんだな」

 「それだけ言いに来たのか? だとしたらさっさと俺の前から消えてくれ」
 
 「バレンティスは何者なんだ? あいつがお前達に誘拐を頼んだのか?」

 「あのおっさんが何者かなんて知らねえよ。最初にこの仕事を持ち掛けてきたのはムングスルドの人間だから、そいつ等の仲間なんじゃないのか?」

 「なんだって?! ってことは失踪した人達はムングスルドに送られていたのか?」

 「それも知らねえ。ただ、俺達は冒険者達を海賊に引き渡すまでが仕事だったからな。もういいだろ? これ以上俺から話せることは何もねえよ」

 やっぱりバレンティス達とムングスルドは、お互いに協力関係にあるとみて間違いなさそうだな……。
 
 諦めた様子のデンバーを置いて、ゼダックさんに挨拶に行く。
 
 「すみませんゼダックさん! おかげで事件の犯人達を一網打尽に出来ました」

 「がっはっはっ! まあ、俺達の手に掛かりゃあ余裕よ!」

 「これで一応事件は解決したんで、この国から人が消えることは無くなるはずです」
 
 「事件を解決するなんてぼうずもやるじゃねえか! おっ! そろそろ港に着くぞ」

 ソルティーの港には多くの冒険者達がいて、俺達を出迎えてくれる。
  
 何事かと思いながらその光景を眺めていたら、ラスネルさんがその理由を教えてくれる。

 「きっと今回の騒動が人づてに伝わって、集まったんだろうよ。さあ、降りようか!」

 下船してレグルスさんと話していたら、テヘルさんの乗った船も海賊船を牽引しながら帰ってくる。

 テヘルさんが船から降りてきて、小走りでこっちに向かってくる。

 「はあ、はあ。いやぁ、これで全て終わったな!」
  
 「お疲れ様でした! テヘルさんの迅速な対応もあって、最後はすんなり片付くましたね」

 「あれからすぐにギルドの人間を集めて出発したんだ。彼等とゼダックさん達の前では、さしもの海賊達も今度ばかりは相手が悪かったようだ」

 「レグルスさんもありがとうございました! 漁船を出してくれなかったら、奴等を見逃してしまうところでしたからね」

 「いや、役に立てて良かった。久方ぶりに血がたぎったよ」

 「ラスネルさんにはずっとお世話になりっぱなしでしたね。本当に助かりました」

 「なに言ってんだい、助けられたのは私達の方さ。後のことはこっちでやるから、みんなのところに行ってやりな」

 ラスネルさんに病院の場所を教えてもらい、四人に会いに行くことにする。

 部屋に入ると四人はベッドの上で寝ており、俺に気付いたリネットとマリィが起き上がろうとする。

 「ああ! 起きなくていいって! まだ、安静にしてなきゃダメだろ」

 「そう? 別に大丈夫だけど、そこまで言うなら寝ながら話させてもらおうかしら」

 俺の言葉を受け入れたリネットは、再度頭を枕に乗せる。

 「マリィも傷口が開くと大変だからちゃんと寝ててくれよ」

 「それよりソウタ、逃げた奴等はどうなったんだ?」

 「あいつ等、船で逃亡しようとしてたんだけど、今さっきみんなで全員捕まえたよ」

 「そうか……これで一応全て片付いたんだな」

 「そのことはまた後で報告に来るよ。それでサーシャとフィオの容体はどうなんだ?」   

 「サーシャとフィオも今は寝てるだけで、命に別状はないとのことだ」
     
 「そっか……今回は流石に危険すぎたからみんなが無事で本当に良かった」

 二人の安否を聞いてホッと胸を撫で下ろし、デンバーの聞いた話を二人に伝える。

 「そうなんだ……。でも、まさかバレンティス達がこの国で人を誘拐してるなんて思わなかったわね」
 
 「オルビルトってやつがムングスルドと結託して何かやってるんだろう」

 「ここに来た目的は私達だけじゃないって言ってたし、他に狙いがあるみたいね」

 「まあ、そのことはまた今度話そう。今はゆっくり休んで体を回復させることの方が優先だ」

 「実はまだ貧血気味なのよね。体調が良くなったらまたお肉でも食べたいわ」
 
 「ははっ、その感じだとすぐにでも行けそうだな。じゃあ、俺はそろそろ戻るよ」

 「うん。ラスネルさん達によろしく言っておいて」
 
 二人に別れを告げてテヘルさんに会いに行く。

 ミェスターに着くと、多くの人が行き交っていて、入り口付近はちょっとしたお祭り状態になっている。
 
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