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第85話 意外な才能
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フィオが閉じてた目を開け、自分の前に浮かんだ氷塊を見て歓喜の声を上げる。
「おっ! おお! これってもしかして私出来てる?」
「出来てます出来てます。いいですよフィオさん! さあ、今度はそれをあの的に向かって飛ばしてみて下さい」
ロマリが部屋の壁に掛けられた的を指差す。
フィオは「こう?」と言って、氷塊を手に持って野球ボールのように投げる。
豪速球で投げられた氷塊は的に当たりパンッ! と弾けて粉々になってしまう。
「あっ!」
それを見たロマリが声を上げ、両手で頭を抱えながらその場に崩れ落ちる。
「ああ……。違うんです。物理的に飛ばすんじゃなくて、氷を相手にぶつけるイメージをするんです」
「そうなの!? ごめんごめん。最初からやり直しだね」
「いえ、フィオさんのせいじゃなくて言わなかった僕が悪いんです……。それにしても初めてなのにあのサイズのものを出せるなんて思いませんでしたよ」
「えへへ、私って才能があるのかも」
褒められたフィオが照れくさそうに笑う。
「才能あるんじゃないか? 俺は炎だったけど、しっかりとした形になるまでしばらく掛かったからなあ」
「私なんて一粒も出てきてないのに、あんな大きな氷を出せるなんて才能あるわよ。先生もそう思うでしょ?」
「プロのお墨付きだしいいんじゃないかい。さっきの二段突きといいフィオはギフトとの相性はよさそうだね」
フィオがもう一度氷を出そうと試みてると、ロマリが魔法についていくつか補足をしてくれる。
「魔法を新しく作るときはこういう基礎魔法から派生させていくんですよ。何度も練習してギフトラベル無しで出せるようになれば、自分で新しい魔法を開発出来ますよ」
「そういえばソウタもオリジナルの魔法作ってわね」
「そうそう。最初は一つしか使えなかったけど、最近は色々試してるんだよ」
「魔法書か魔法のギフトラベルがあれば比較的簡単に使えますけど、オリジナルの魔法は難しいですからね。良ければ何か見せてもらってもいいですか?」
「でも、ここで炎系の魔法使っても大丈夫ですか?」
「構いませんよ。この部屋の壁や床は普通の物よりも頑丈に造られてますから」
「じゃあ、最近使えるようになったやつやってみますね」
俺はみんなと距離をおいて、目の前の敵を炎で吹き飛ばすイメージをする。
「よし! 《バーストファイヤー》!」
魔法石が俺の言葉に反応して輝き、手のひらから身の丈程の炎と爆風が発生する。
よっしゃ! 上手くいったな!
「お見事です! いやースゴいですね! それがソウタさんのオリジナル魔法ですか」
ロマリが俺の魔法に拍手をしながら称賛してくれる。
「飛距離はそんなにないんですけど、敵に密着されたときとかにいいかなと思って編み出したんですよ」
「僕達は常に敵と距離をおいて戦うからその発想はなかったですね。よろしければ後で記録させて下さい」
「むしろこんなので良ければ全然使ってやって下さい」
「すごく助かります。それとその魔法石ちょっと見せてもらっていいですか?」
俺がペンダントを首から外してロマリ君に手渡すと、魔法石を顔に近づけてじっくりと鑑定をする。
「すごい……。これ、どこで買ったんですか?」
「それはこの世界の知人に貰ったんですよ」
「貰った? これを……ですか?」
「ええ、気前よくくれたんですよ。色んな人が言うには結構いいやつらしいですね」
「いいやつどころか、もしランク分けするならSランク相当の魔法石ですよ。これをくれた人を紹介してもらえませんか?」
これってそんなに良いやつなの!? でもアリエルって違法ギフトも作ってるみたいだから、紹介していいものか悩むな。
「ああ……今度本人に聞いてみますね。今どこか出掛けてるらしくて、連絡が付かないんで戻ってきてからでもいいですか?」
「そうですか。もし連絡が付けばよろしくお願いしますね。では、魔法についてはこの辺でいいですかアハナさん?」
ロマリ君が俺ペンダントを返してくれ、アハナさんに確認をする。
「ありがとうございましたロマリ君。皆さんもこれで実技を終了してよろしいですか?」
「ああ、見せてもらったんでどんなもんか解ったよ。技も魔法もそのギフトラベルってやつに記録したら使えるようになるってことだね」
「魔法系や固有スキル系はほとんどこのギフトラベルになります。一部例外がありますけど、基本的にはこのギフトラベルがどの分野においても幅広く使用されてますね」
「詳しく説明してくれてありがとう。勉強になったよ」
「まだ話すことは沢山ありますけど今日はこの辺にしておきましょう。気になることがあればまた聞きに来て下さい」
「団長さんも連日すまなかったね。おかげでこの世界のことが知れたよ」
「いえ、皆さんの力も見せてもらいましたし、先程も協力していただき助かりました。これならアークの連中をどうにか出来るかもしれません」
「私達は別に力を見せつけたかったわけではないからそこだけは誤解しないでもらいたい。ただ、目的は同じのはずだから、互いに協力しあえればどうにかなるんじゃないかと思ってるだけさ」
ウラガン団長はイネス先生の言葉に共感し、力強く首を縦に振る。
「本音を言うと自分達だけでどうにかしたいですが、今はこの国のギフトを悪用させないようにするのが最優先です。是非とも皆さんの力を貸してください」
「奪う以上何か策があるはずだから早いとこ取り返さないとね。そのためにはこっちも一枚岩になる必要がある。一方的な頼みごとばかりですまないが、改めてよろしく頼むよ」
「国王にも私から言っておきましょう。それからロマリ。ウェアリ殿の具合はどうだ?」
「さっき自室で元気そうに羊羮を食べてましたけど、呼んできましょうか?」
「いや、元気そうなら良かった。まだ安静にしてた方がいいだろうから、後でこのことを伝えておいてくれ」
「解りました。じゃあ僕はこの辺で失礼しますね」
「ほお、あのじいさんまだ生きてたんだね。中々しぶといじゃないか」
ウェアリさんの生存を聞いたイネス先生が顎に手を当ててボソッと呟く。
残念そうに言うんじゃない!
まったく……すぐウェアリさん殺したがるんだからイネス先生にも困ったもんだな。
ロマリは部屋から出る前に何かを思い出し、壁に置かれたいくつかの武器の中から杖を取り出してリネットに渡す。
「リネットさんこれを使ってみて下さい。これがあればすぐにさっきの魔法を使うことが出来ますよ」
「え? こんなの貰っていいの?」
「ええ、先程の魔法石とギフトラベルもプレゼントしますので、これと合わせて是非とも魔法を習得してください」
ロマリはそう言って部屋を出ていき、リネットは貰った杖を大事そうに抱える。
「良かったなリネット。それって多分その辺には売ってないやつだぞ」
「ふふっ、見てなさいよソウタ。すぐに大魔法使いになってやるんだからね」
リネットは不敵な笑みを浮かべ杖を握りしめる。
一人だけ魔法が使えなかったのがかなり悔しかったみたいだな……。
「いい物も貰ったことだし、そろそろ帰りますかイネス先生?」
「そうしようかね。今日も随分と長くお世話になったことだし、そちらが良ければまた明日にでもしようか」
俺達は帰り支度をして外に出ると日が落ち始めていた。
エクシエルさん達は先に帰ったって言ってたけど俺達が長居しすぎたんだな。
「おっ! おお! これってもしかして私出来てる?」
「出来てます出来てます。いいですよフィオさん! さあ、今度はそれをあの的に向かって飛ばしてみて下さい」
ロマリが部屋の壁に掛けられた的を指差す。
フィオは「こう?」と言って、氷塊を手に持って野球ボールのように投げる。
豪速球で投げられた氷塊は的に当たりパンッ! と弾けて粉々になってしまう。
「あっ!」
それを見たロマリが声を上げ、両手で頭を抱えながらその場に崩れ落ちる。
「ああ……。違うんです。物理的に飛ばすんじゃなくて、氷を相手にぶつけるイメージをするんです」
「そうなの!? ごめんごめん。最初からやり直しだね」
「いえ、フィオさんのせいじゃなくて言わなかった僕が悪いんです……。それにしても初めてなのにあのサイズのものを出せるなんて思いませんでしたよ」
「えへへ、私って才能があるのかも」
褒められたフィオが照れくさそうに笑う。
「才能あるんじゃないか? 俺は炎だったけど、しっかりとした形になるまでしばらく掛かったからなあ」
「私なんて一粒も出てきてないのに、あんな大きな氷を出せるなんて才能あるわよ。先生もそう思うでしょ?」
「プロのお墨付きだしいいんじゃないかい。さっきの二段突きといいフィオはギフトとの相性はよさそうだね」
フィオがもう一度氷を出そうと試みてると、ロマリが魔法についていくつか補足をしてくれる。
「魔法を新しく作るときはこういう基礎魔法から派生させていくんですよ。何度も練習してギフトラベル無しで出せるようになれば、自分で新しい魔法を開発出来ますよ」
「そういえばソウタもオリジナルの魔法作ってわね」
「そうそう。最初は一つしか使えなかったけど、最近は色々試してるんだよ」
「魔法書か魔法のギフトラベルがあれば比較的簡単に使えますけど、オリジナルの魔法は難しいですからね。良ければ何か見せてもらってもいいですか?」
「でも、ここで炎系の魔法使っても大丈夫ですか?」
「構いませんよ。この部屋の壁や床は普通の物よりも頑丈に造られてますから」
「じゃあ、最近使えるようになったやつやってみますね」
俺はみんなと距離をおいて、目の前の敵を炎で吹き飛ばすイメージをする。
「よし! 《バーストファイヤー》!」
魔法石が俺の言葉に反応して輝き、手のひらから身の丈程の炎と爆風が発生する。
よっしゃ! 上手くいったな!
「お見事です! いやースゴいですね! それがソウタさんのオリジナル魔法ですか」
ロマリが俺の魔法に拍手をしながら称賛してくれる。
「飛距離はそんなにないんですけど、敵に密着されたときとかにいいかなと思って編み出したんですよ」
「僕達は常に敵と距離をおいて戦うからその発想はなかったですね。よろしければ後で記録させて下さい」
「むしろこんなので良ければ全然使ってやって下さい」
「すごく助かります。それとその魔法石ちょっと見せてもらっていいですか?」
俺がペンダントを首から外してロマリ君に手渡すと、魔法石を顔に近づけてじっくりと鑑定をする。
「すごい……。これ、どこで買ったんですか?」
「それはこの世界の知人に貰ったんですよ」
「貰った? これを……ですか?」
「ええ、気前よくくれたんですよ。色んな人が言うには結構いいやつらしいですね」
「いいやつどころか、もしランク分けするならSランク相当の魔法石ですよ。これをくれた人を紹介してもらえませんか?」
これってそんなに良いやつなの!? でもアリエルって違法ギフトも作ってるみたいだから、紹介していいものか悩むな。
「ああ……今度本人に聞いてみますね。今どこか出掛けてるらしくて、連絡が付かないんで戻ってきてからでもいいですか?」
「そうですか。もし連絡が付けばよろしくお願いしますね。では、魔法についてはこの辺でいいですかアハナさん?」
ロマリ君が俺ペンダントを返してくれ、アハナさんに確認をする。
「ありがとうございましたロマリ君。皆さんもこれで実技を終了してよろしいですか?」
「ああ、見せてもらったんでどんなもんか解ったよ。技も魔法もそのギフトラベルってやつに記録したら使えるようになるってことだね」
「魔法系や固有スキル系はほとんどこのギフトラベルになります。一部例外がありますけど、基本的にはこのギフトラベルがどの分野においても幅広く使用されてますね」
「詳しく説明してくれてありがとう。勉強になったよ」
「まだ話すことは沢山ありますけど今日はこの辺にしておきましょう。気になることがあればまた聞きに来て下さい」
「団長さんも連日すまなかったね。おかげでこの世界のことが知れたよ」
「いえ、皆さんの力も見せてもらいましたし、先程も協力していただき助かりました。これならアークの連中をどうにか出来るかもしれません」
「私達は別に力を見せつけたかったわけではないからそこだけは誤解しないでもらいたい。ただ、目的は同じのはずだから、互いに協力しあえればどうにかなるんじゃないかと思ってるだけさ」
ウラガン団長はイネス先生の言葉に共感し、力強く首を縦に振る。
「本音を言うと自分達だけでどうにかしたいですが、今はこの国のギフトを悪用させないようにするのが最優先です。是非とも皆さんの力を貸してください」
「奪う以上何か策があるはずだから早いとこ取り返さないとね。そのためにはこっちも一枚岩になる必要がある。一方的な頼みごとばかりですまないが、改めてよろしく頼むよ」
「国王にも私から言っておきましょう。それからロマリ。ウェアリ殿の具合はどうだ?」
「さっき自室で元気そうに羊羮を食べてましたけど、呼んできましょうか?」
「いや、元気そうなら良かった。まだ安静にしてた方がいいだろうから、後でこのことを伝えておいてくれ」
「解りました。じゃあ僕はこの辺で失礼しますね」
「ほお、あのじいさんまだ生きてたんだね。中々しぶといじゃないか」
ウェアリさんの生存を聞いたイネス先生が顎に手を当ててボソッと呟く。
残念そうに言うんじゃない!
まったく……すぐウェアリさん殺したがるんだからイネス先生にも困ったもんだな。
ロマリは部屋から出る前に何かを思い出し、壁に置かれたいくつかの武器の中から杖を取り出してリネットに渡す。
「リネットさんこれを使ってみて下さい。これがあればすぐにさっきの魔法を使うことが出来ますよ」
「え? こんなの貰っていいの?」
「ええ、先程の魔法石とギフトラベルもプレゼントしますので、これと合わせて是非とも魔法を習得してください」
ロマリはそう言って部屋を出ていき、リネットは貰った杖を大事そうに抱える。
「良かったなリネット。それって多分その辺には売ってないやつだぞ」
「ふふっ、見てなさいよソウタ。すぐに大魔法使いになってやるんだからね」
リネットは不敵な笑みを浮かべ杖を握りしめる。
一人だけ魔法が使えなかったのがかなり悔しかったみたいだな……。
「いい物も貰ったことだし、そろそろ帰りますかイネス先生?」
「そうしようかね。今日も随分と長くお世話になったことだし、そちらが良ければまた明日にでもしようか」
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