念願の異世界に召喚されたけど役に立ちそうもないんでその辺で遊んでます~森で謎の姉妹に出会って本物の勇者を目指すことに~

朱衣なつ

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第82話 難しい話はイヤ

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 「ホッホッ。まあ、気になることも多いだろうが、ワシ等も帰ったばっかりじゃからその辺にしておこうか」

 俺達がネルデルさんに質問責めをしていたら、ロムル王が笑ってそれを制止する。

 おっと、そうだった。二人共帰ったばかりだし他にも話すことが山ほどあるだろうからな。

 「すみません。ネルデルさんも疲れてるだろうに、つい色々と聞いてしまいましたね」

 俺は頭を片手で頭を押さえながら謝罪する。

 「いやいや、今の私には知ってることを話すくらいしか出来ないからな。有益な情報とまではいかなくても、少しでも役に立つのであれば何でも聞いてくれ」

 ネルデルさんがそう言うとリネットが滅相もないといった感じで手を横に振る。
 
 「私達の世界から来た人間がムングスルドに居るということ確定しただけでも、かなり有益な情報でした。それにそいつ等が裏で糸を引いてる可能性があるなんて、知りませんでしたからね」
 
 「また何か思い出したら皆さんにお話しよう。その連中やアークといい、この世界に一体何が起きようとしてるだろうな……」  

 国王達との話は一旦ここで終わり、俺達はこの後どうするか話し合う。
 
 「俺達結局買い物が出来てないんですけど、今から行ってきましょうか?」  
 
 「そうだね……。団長さんにギフトの話を聞くところだったから、買い物は明日にしてあんた達も一緒に付いてきてくれるかい?」

 「それは構いませんけど、こんな大人数で行くんですか?」

 「なんでもロンベル大臣が私達のために時間を取ってくれてるらしくてね。せっかくだから、何人かそっちに行ってもらって同時に話を進めようか」

 話し合いの結果、昨日と同じメンバーでギフトの説明を受けることになり、エクシエルさん達三人はロンベル大臣と話をすることに決まる。

 エクシエルさん達と別れた後、俺達はウラガン団長から一風変わった場所に案内される。

 そこはガラスの壁で仕切られた部屋になっており、白衣を着た人物が向かい側の部屋を見て何かを書き留めている。

 気になって向かい側を見てみると、色んな武器や的がある広い部屋の中で、槍を持った一人の兵士が何度も同じ動作を繰り返している。
 
 ん? あの人さっきの……。
  
 「ちょっと待っててくれ」

 ウラガン団長はそう言って奥に入っていき、リネットが話し掛けてくる。

 「ねえ、あの人さっきの隊長じゃない?」

 「ああ、ガスバルさんのようだな! 今忙しそうだから後で声を掛けてみよう」

 「槍を持って何度も同じ動き繰り返してるみたいだけど、何をやってるのかしら?」

 「練習だったら別にここじゃなくても良さそうだしなあ」
 
 そんなことを話していたらウラガン団長が白衣を着た四十歳くらいの女性を連れて帰ってくる。

 「こちらはこの国のギフトクリエイターでアハナといいます。彼女はこの国のギフトに関わる責任者でもありますので、何でも聞いてみるといいでしょう」

 「私は異世界から来たイネスというものだ。時間を取らせてしまってすまないが、よろしく頼むよ」

 「お話は窺っております。アハナと申します。とりあえず奥の部屋まで行きましょうか」

 奥の部屋に入るとアハナは机の上に山積みにされた本を片付け始める

 「ごめんなさいね。散らかってけど適当に座って下さい」

 部屋の中にはいくつかの武器や人体模型などがあり、棚には得体の知れないビンが並べられている。

 理科の教室みたいな部屋だな。  

 「それで何からお話しましょうか?」   
  
 「まずは、今回奪われギフトってのはどんなのなんだい?」

 「今回奪われたのは《オリジンイラプション》という宝珠なんですけど、これが発動されると地表からとてつもない量のマグマが噴射するといわれてます」

 「それが本当ならまさに天変地異だね。残りの三つのSSランクのギフトってのも似たような事象が起こるのかい?」

 「グラヴェールにある《オルドアースクエイク》、ムングスルドの《ビギニングフラッド》、アルパルタの《パストテンペスト》。これら三つも発動すると世界の形を変えるといわれてますね」

 「なるほどね。どれも強力すぎるわけだ。それは簡単に使うことが出来るものなのかい?」
 
 「数百年前に《パストテンペスト》が使われた際には、大量の魔法石と数百人の魔法使いで臨んだという記録が残ってます。それでも、効果が最大限に発揮されなかったそうですが、その破壊力は一つの国がゆうに無くなるほどであったといわれてます」
 
 「ふーむ。完全に発動しなくてもそれだけの威力があるのかい。しかし、使うにしてもかなり条件が厳しいね」

 「一つ使うだけでもそれですからね。いくらアークといえどそう簡単には使えないかと」

 「そんなもの使えば自分達もただじゃすまないだろうしね。それ以外のギフトというのはどんなやつがあるんだい?」   

 アハナさんは前に俺がセレーナに聞いた四種類のギフトの説明をした後、いくつか補足する。
 
 それによれば、Sランクのギフトは生産が出来ないということと、ランクはアイテムや魔法によって効果はバラバラなので、一概にランクだけで判断は出来ないとのこと。
 
 アハナさんは続けて他のギフトの説明を始めるが、何を言ってるのか解らないので固有スキル【無の境地】を発動させる。

 ここまでの説明でリネットとフィオが難しい顔をして頭を抱える。

 「聞いてるだけで頭が痛くなるわね。もっと単純な話じゃないの?」

 「うぅ……何を言ってるのか全然頭に入ってこないよ」

 「フッ、二人とも甘いな。俺なんか聞くのを諦めてるからなんともないぞ」

 「あっ、ずるーい! さっきから死んだ魚みたいな目をしてると思ったら、そういうことだったのね!」

 「俺だって最初は気合いを入れて聞こうとしたけど、途中からまったく耳に入ってこなくなったんだよ」

 その様子にアハナさんは、笑いながらお茶をみんなに配ってくれる。

 「うふふ。じゃあちょっとお茶でも飲んだら分かりやすく説明しましょうか」
 
 「そんなの出来るんですか?」 

 頂いたお茶をフウフウしながら聞くと、アハナは棚をごそごそとしながら答える。
 
 「百聞は一見にしかずよ。実際に見て体験すればどんなものかすぐ解るわ」

 そう言って棚からビンと、四角いステッカーみたいなもの取り出して机の上に置く。

 「これは【身体強化系ギフト】なんだけど、こういうビンに入ってるアイテム系のものもあれば、貼ることによって効果を発揮するものがあるわ。まあ、ギフトといえば大体貼るタイプのものが一般的なの」

 机に置かれたビンには『ミルミルミナギールEX』と書かれたシールが貼っており、ステッカーには何も書いておらず透明なシールが貼り付けられている。

 アハナさんはそのステッカーを手に取り説明をしてくれる。

 「これは『ギフトラベル』といって、この透明なシールに魔法とか技を記録するの。正しい動きが記録されたこのラベルを貼るとあら不思議、達人の動きがそっくりそのまま自分のものになるってことね」

 「あっ! 俺がもらった『投げ縄名人』もそうやって作られたんですね」

 「だけどすぐに習得出来るわけじゃなくてね。例えば木を切り倒すギフトラベルだったら力も必要になるし、その動きを何度も行わないと正しい動きにならないのよ」

 アハナは部屋の外にいる人間に誰かを連れてくるようお願いして、本棚の中からいくつか本を取り出す。

 「じゃあ、このギフトラベルを使って早速やってみましょうか」
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