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第57話 帰ったのはいいけど不在とか
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最後の町から一週間以上掛かり、なんとかサルブレム国のティントにある我が家に戻ってくる。
「今回も長旅だったけど奴等が襲ってこなかったから、ひとまず無事に帰ってこれたな」
「奴等ソウタの力を警戒してるのかもしれんな。この数日何事もなかったのが信じられんよ。それにしてもなかなか良いところに住んでるじゃないか」
マリィはそう言いながら家の空いた部屋に荷物置く。
「ああ、なんかこの国の大臣が住んでた家らしいんだけど、使ってないから貸してもらってるんだ。部屋は余ってるから各々好きにしてくれ」
フィオはお気に入りの部屋を見つけたのか、向こうの方から「私ここがいい!」と声が聞こえてくる。
リネットは荷物を置いて早々にバスルームに向かっていく。
あいつ風呂ばっか入ってんな……。
「すみませんソウタさん。大勢で押し掛けてしまって」
サーシャが申し訳なさそうに謝ってくる。
「いいって。どうせ俺一人だとこんなに部屋は要らないしな。宿屋よりもここの方がゆっくり出来るだろ」
「ここだとキッチンもありますしね。私が腕によりをかけて作りますよ!」
「サーシャはこの町のことは大体わかるよな?」
「ええ、前に一通り見たので分かります。……このサルブレムにある森の中でソウタに会ったんですよね」
「そうか、懐かしく感じるな。森の中で素材集めをしてたら二人に会ったんだっけか」
「そして私がソウタに護衛のお願いをしたんですよね。そんなに経ってないはずなのに随分経った感じがしますね」
「あれから色々馬車に乗って忙しかったからかな。ここから二人との旅が始まって、こうしてまた一緒に戻ってくるなんてあのときは思いもしなかったよ」
「ふふっ、私もです。でも無事に戻ってこれて本当に良かったです。じゃあ早速買い物に行ってきますね」
サーシャはフィオを連れて買い物に出掛ける。
全てこの町から始まったんだよな。
手違いでこの世界に召喚されて、その後アリエルに素材集めの仕事をもらったんだったな。
そしてあの森で二人と出会った……。
あの出会いがなければとっくに昔に元の世界に帰ってたのかもしれないし、それかこの世界でのんびりと遊んでただけだったかもしれないな。
この世界にきた当初のことを思い出しながら懐かしさに浸る。
……とはいえ、まだ問題は片付けてないから一つ一つ潰していかないとな。
よし! 気持ちを切り替えて今からセレーナに会いに行くかな。
城まで行ってくることをマリィに伝えて家を出る。
セレーナに会うのも久しぶりだなあ。そうだ! 前にアリエルと中途半端な形で別れたから先に寄っていこう。
アリエルのお店『ラエティティア』に到着する。
しかしどうやら休業らしくて、扉には『また来てくれよな!』と手書きで書かれた札が貼ってある。
裏手に回って店の中の様子を見るが、人の気配は無さそうなので本人も不在なのだろう。
仕方ない。また明日顔を出してみるか。
アリエルに会うのを諦め城の方に出向くも、セレーナとウィステリアは休みを取っていて不在とのこと。
別で国王に話があることを伝えるが、他国で行われる会談に出席するため、現在居ないので後日改めて来るよう言われる。
参ったなあ。アリエルだけじゃなくて、セレーナにも会えないとはな。
ロムル国王にアークのことも話したかったんだけどそれも無理だったしなあ。
一回家に戻るより他ないか……。
それにしてもこんな大事な時に三人揃って居ないとは思わなかったなあ。三人でどこか遊びに行ってるのか?
戻ると家の中から良い香りがしていて、外にも広がっている。
うーん! 良い匂いだ。きっとサーシャが料理を作ってくれてるんだな。
中に入るとフィオがポムリンを「可愛いねぇ」と頭を撫でている。
みんなもリビングに集まり食事の準備をしているようだ。
サーシャが俺が帰ったことに気付き「どうでしたか?」と尋ねてくる。
「ごめんよ。知り合いの召喚士に会いに行ったんだけど、休みを取ってて居なかったよ
。しかもいつ戻るかは分からないそうなんだ」
「そうでしたか……。残念ですけど仕方ありませんね。ソウタさんありがとうございました」
「四人が一刻も早く元の世界に戻れる方法を探さないといけないのに、まさか居ないとは思わなかったから俺も残念だよ」
俺がガックリと肩を落としているとマリィがフォローをしてくれる。
「トレインもまだこちらには着いてないから気にすることはない。二、三日もすればその人も帰ってくるだろう。わざわざ私達のためにすまない」
「国王も会談するのに出掛けてるらしくてさ。話があるって言ったら三日後くらいにまた来てくれだと。もう本当に踏んだり蹴ったりとはこの事だな」
「そういう日もあるから焦らず今は待とう。それに戻れると決まったわけではないから、戻れなかった時のことも考えなければならんしな」
ポムリンがペタペタと歩いて俺の足元にすり寄ってくる。
何も喋らないが心配してくれてるのだろうか?
リネットが「あ~よしよし」とポムリンを抱き抱え、体をワシワシと撫でながらテーブルの前に座る。
「帰ってきたばかりで城まで行ってくれてありがとね。話を聞く限り今は待つしかないみたいだし、とりあえず姉さんの作った料理でも食べながらにしない?」
「そうだな。城にはまた後日訪ねてみるとして今はこのうまそうな食事を頂くか!」
テーブルの上にはところ狭しと料理が並べられている。
「材料はこちらの世界のものですけど、イストウィア風にアレンジしてみました。どうぞ召し上がって下さい」
みんなも席に着き早速サーシャの手料理を頂く。
魚の上に野菜が乗った料理を一口食べてみると、スパイスの香りと甘い味が口に広がる。
噛むと魚の味と野菜とが口の中で合わさりなんとも言えない美味しさになる。
「うまい! 初めて食べる味だけど、この世界のものとはまた違った美味しさだね!」
セレーナとティントの名物を食べたときの感動を思い出し、バクバクと食べ進める。
「喜んでもらって良かったですわ。お口に合わなければどうしようと思ってました」
「そうだ! 明日俺がこの世界に来て初めて町で食べたやつを紹介するよ。なんとか鳥のなんとか巻きのなんとかってやつがあるんだけど、これが結構うまいんだよ」
「なんとかばっかりで全然分かんないし想像もできないわ。でも、それ美味しいんだったらお店に案内してよね」
「ああ、連れていくよ。あれも馴染みのない味だったけど感動した覚えがあるんだ」
「それでは明日みんなで一緒に行ってみましょう」
「どんなの食べ物か気になるね! 明日が楽しみだよ」
サーシャの提案にフィオも嬉しそうだ。
のんびりしすぎも良くないけど、マリィが言うように焦っても良い結果になる訳じゃないからな。
「今回も長旅だったけど奴等が襲ってこなかったから、ひとまず無事に帰ってこれたな」
「奴等ソウタの力を警戒してるのかもしれんな。この数日何事もなかったのが信じられんよ。それにしてもなかなか良いところに住んでるじゃないか」
マリィはそう言いながら家の空いた部屋に荷物置く。
「ああ、なんかこの国の大臣が住んでた家らしいんだけど、使ってないから貸してもらってるんだ。部屋は余ってるから各々好きにしてくれ」
フィオはお気に入りの部屋を見つけたのか、向こうの方から「私ここがいい!」と声が聞こえてくる。
リネットは荷物を置いて早々にバスルームに向かっていく。
あいつ風呂ばっか入ってんな……。
「すみませんソウタさん。大勢で押し掛けてしまって」
サーシャが申し訳なさそうに謝ってくる。
「いいって。どうせ俺一人だとこんなに部屋は要らないしな。宿屋よりもここの方がゆっくり出来るだろ」
「ここだとキッチンもありますしね。私が腕によりをかけて作りますよ!」
「サーシャはこの町のことは大体わかるよな?」
「ええ、前に一通り見たので分かります。……このサルブレムにある森の中でソウタに会ったんですよね」
「そうか、懐かしく感じるな。森の中で素材集めをしてたら二人に会ったんだっけか」
「そして私がソウタに護衛のお願いをしたんですよね。そんなに経ってないはずなのに随分経った感じがしますね」
「あれから色々馬車に乗って忙しかったからかな。ここから二人との旅が始まって、こうしてまた一緒に戻ってくるなんてあのときは思いもしなかったよ」
「ふふっ、私もです。でも無事に戻ってこれて本当に良かったです。じゃあ早速買い物に行ってきますね」
サーシャはフィオを連れて買い物に出掛ける。
全てこの町から始まったんだよな。
手違いでこの世界に召喚されて、その後アリエルに素材集めの仕事をもらったんだったな。
そしてあの森で二人と出会った……。
あの出会いがなければとっくに昔に元の世界に帰ってたのかもしれないし、それかこの世界でのんびりと遊んでただけだったかもしれないな。
この世界にきた当初のことを思い出しながら懐かしさに浸る。
……とはいえ、まだ問題は片付けてないから一つ一つ潰していかないとな。
よし! 気持ちを切り替えて今からセレーナに会いに行くかな。
城まで行ってくることをマリィに伝えて家を出る。
セレーナに会うのも久しぶりだなあ。そうだ! 前にアリエルと中途半端な形で別れたから先に寄っていこう。
アリエルのお店『ラエティティア』に到着する。
しかしどうやら休業らしくて、扉には『また来てくれよな!』と手書きで書かれた札が貼ってある。
裏手に回って店の中の様子を見るが、人の気配は無さそうなので本人も不在なのだろう。
仕方ない。また明日顔を出してみるか。
アリエルに会うのを諦め城の方に出向くも、セレーナとウィステリアは休みを取っていて不在とのこと。
別で国王に話があることを伝えるが、他国で行われる会談に出席するため、現在居ないので後日改めて来るよう言われる。
参ったなあ。アリエルだけじゃなくて、セレーナにも会えないとはな。
ロムル国王にアークのことも話したかったんだけどそれも無理だったしなあ。
一回家に戻るより他ないか……。
それにしてもこんな大事な時に三人揃って居ないとは思わなかったなあ。三人でどこか遊びに行ってるのか?
戻ると家の中から良い香りがしていて、外にも広がっている。
うーん! 良い匂いだ。きっとサーシャが料理を作ってくれてるんだな。
中に入るとフィオがポムリンを「可愛いねぇ」と頭を撫でている。
みんなもリビングに集まり食事の準備をしているようだ。
サーシャが俺が帰ったことに気付き「どうでしたか?」と尋ねてくる。
「ごめんよ。知り合いの召喚士に会いに行ったんだけど、休みを取ってて居なかったよ
。しかもいつ戻るかは分からないそうなんだ」
「そうでしたか……。残念ですけど仕方ありませんね。ソウタさんありがとうございました」
「四人が一刻も早く元の世界に戻れる方法を探さないといけないのに、まさか居ないとは思わなかったから俺も残念だよ」
俺がガックリと肩を落としているとマリィがフォローをしてくれる。
「トレインもまだこちらには着いてないから気にすることはない。二、三日もすればその人も帰ってくるだろう。わざわざ私達のためにすまない」
「国王も会談するのに出掛けてるらしくてさ。話があるって言ったら三日後くらいにまた来てくれだと。もう本当に踏んだり蹴ったりとはこの事だな」
「そういう日もあるから焦らず今は待とう。それに戻れると決まったわけではないから、戻れなかった時のことも考えなければならんしな」
ポムリンがペタペタと歩いて俺の足元にすり寄ってくる。
何も喋らないが心配してくれてるのだろうか?
リネットが「あ~よしよし」とポムリンを抱き抱え、体をワシワシと撫でながらテーブルの前に座る。
「帰ってきたばかりで城まで行ってくれてありがとね。話を聞く限り今は待つしかないみたいだし、とりあえず姉さんの作った料理でも食べながらにしない?」
「そうだな。城にはまた後日訪ねてみるとして今はこのうまそうな食事を頂くか!」
テーブルの上にはところ狭しと料理が並べられている。
「材料はこちらの世界のものですけど、イストウィア風にアレンジしてみました。どうぞ召し上がって下さい」
みんなも席に着き早速サーシャの手料理を頂く。
魚の上に野菜が乗った料理を一口食べてみると、スパイスの香りと甘い味が口に広がる。
噛むと魚の味と野菜とが口の中で合わさりなんとも言えない美味しさになる。
「うまい! 初めて食べる味だけど、この世界のものとはまた違った美味しさだね!」
セレーナとティントの名物を食べたときの感動を思い出し、バクバクと食べ進める。
「喜んでもらって良かったですわ。お口に合わなければどうしようと思ってました」
「そうだ! 明日俺がこの世界に来て初めて町で食べたやつを紹介するよ。なんとか鳥のなんとか巻きのなんとかってやつがあるんだけど、これが結構うまいんだよ」
「なんとかばっかりで全然分かんないし想像もできないわ。でも、それ美味しいんだったらお店に案内してよね」
「ああ、連れていくよ。あれも馴染みのない味だったけど感動した覚えがあるんだ」
「それでは明日みんなで一緒に行ってみましょう」
「どんなの食べ物か気になるね! 明日が楽しみだよ」
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