3 / 12
始まりの日
1-2
しおりを挟む
教室内はかなりの生徒で溢れていた。
友達と立ち話している男子生徒や自撮りなどをしている女生徒、早いやつは連絡先などを交換しあっていたり、新たな友達を作っている者もいる。
そんな中で俺は何をしているのかと言うと…
「どうしてこうなった…」
俺の席は、窓側の後ろから2番目。ここまではいい。最高のポジションだ。
だが、隣人に問題があった。そう、今まさに隣の席に座っているのは先程のよく分からん女だ。
「ちょっと、聞いているの?あ!それで今期のアニメはやっぱりあれがオススメなの!あれに出てくるヒロインは……以下省略」
今現在もヲタク丸出しのフルブーストのフルスロッタルでアニメトークを走り抜けている。
なぜ、俺がヲタクバレしているのか、それは数分前に遡る…
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「校舎内もやっぱりすげぇ…」
俺は綺麗な内装の光明高校に驚きを隠せないでいた。
魔法学園かのような白を基調とした美しい内装は、脱ヲタした俺でさえも、ライトノベルのようだとテンションを上げてしまうレベルだ。
じっくり内装を堪能した俺は階段を上がり4階にたどり着いた。
俺のクラスは1-B。黒板に表記された名前表と照らし合わせて、俺は窓側の後ろから2番目、涼宮ハ○ヒの○鬱で言えば、キョンが座っていた席だ。
じゃなくてっ!何考えてるんだ俺は…
まだ、完全に脱ヲタ出来てないようだ。はぁ、気をつけなくては…
俺はため息を吐くと、中学のころから愛用しているリュックサックを机の横にかけ、座席に座る。
中学の時のように、肘をつきながら窓を外を見やる。外は何も言うことなしの日常が広まっていた。
仕事に行く会社員や、学校に向かうであろう小学生、散歩する老人など。
今日も世界はつまらないほど平穏そのものだ。なんて景色を眺めていたら隣の席が引かれる音がした。どうやら、隣の席のやつが来たようだ。
ここは挨拶のひとつでもしてみようかと隣人の方を見ると、俺は唖然としてしまった。
隣に座った生徒は、先程話しかけられた?なぞの少女だ。
呆気にとられて見つめていたら、少女と目が合ってしまった。
「あら、あなたはさっきのヲタク…」
「ちょ、俺は別にヲタクじゃないぞ?」
「いえ、あなたはヲタクよ」
「ほう、その根拠は?」
こいつは危険だな…バレたらやばい…
「あなたからはヲタクの匂いがするわ」
「はい?」
何言ってるんだ?この人…俺からヲタクの匂いがするって?
「しょ、証拠になってないぞ?」
少女はしばらく考えるような仕草をして、俺やその周辺を観察する。謎の女だが、顔は可愛いのでなんか気恥しい。
「そうね…まず、そのリュックね!沢山小さな穴が空いているでしょう?それは今まで沢山缶バッチをつけていた証拠だわ」
少女は俺のリュックサックを指さしながら言った。
こいつは、や、やばいぞ…だが、落ち着け。まだ大丈夫だ。
「缶バッチなんて、アニメグッズ以外にもあるだろ?」
我ながら最高の切り返しだ。
「そうね……じぁ、筆記用具はどうかしら?筆記用具にも缶バッチの跡があるわ。筆箱に缶バッチを何個もつけているのはヲタクしかいないわ。」
くっそぅ…なかなかの洞察力だ。
「そういうお前はどうなんだよ。発言からしてヲタクだぞ」
「そうよ、私はヲタクよ?」
少女は言うと、光明高校のバッグに付いたキーホルダーや缶バッチを俺の目の前に出した。そして、バックの中から筆記用具やクリアファイル、バッグの中に入っていた全ての物を机に並べる。
その全てがアニメ関連の物だった。
「す、すげぇな…お前…って、これは!この前のイベントやつだ!いったのか!こっちは今期のアニメのやつだな!す、すげぇ!」
あ、しまった!やっちまった……ギクッと効果音がなった気がした。
「ふーーーん、随分と詳しい見たいねぇ?」
少女がニヤリと笑った。
「い、いや、俺は別に…」
「なぜ隠すのかしら?隠す必要なんてないはずよ?」
「ヲタクじゃだめなんだよ、お前だって高校生だろ?女の子ならイケメンと付き合いたいとかあるだろ?」
「無いわね。趣味を理解してくれない男なんて無理だし。趣味を隠してまで欲しくないわ。というか、そんなことより、聞いて!!」
「え?」
今までの少女とは別人かのように、少女の表情や雰囲気が変わり、アニメトークが始まった。
完璧な早口のヲタク口調で目を輝かせながら語る少女の姿は、完全なるヲタクそのものであった。
その熱量に、俺は苦笑いを浮かべることしか出来ない。
「ちょっと、聞いてるの?あ!それで、今期のアニメはやっぱりあれがオススメなの!あれに出てくるヒロインは……以下省略」
気がつけば、周りの連中の視線が俺達に集中していた。何やらヒソヒソと噂されている。完全に話題の的だ。
これだと、俺の計画は一瞬でダメになる。
「えっと、そろそろ落ち着いてくれないか?周りから凄い注目浴びてるし…」
「ん?そんなことは関係ないわ。それで、最終回の1個前の話なんだけど主人公がヒロインに好きって言葉を使わずに告白して…以下省略」
少女は何も気にせずに、ひたすらに話している。
俺はと言うと、少女の話を理解してしまっている。正直すっごくアニメトークがしたいくらいだ。だが、すまない。俺は変わらなくてはいけないんだ。
周りを見ると、やはり話題の的にされているようだった…ていうかさっきより人が増えてるように見える。
そりゃそうだよな…すっごい勢いで語ってるしな…顔だけでも話題になるだろうに。
「はぁ、どうしてこうなった…」
俺はため息を吐くことしか出来なかった。
友達と立ち話している男子生徒や自撮りなどをしている女生徒、早いやつは連絡先などを交換しあっていたり、新たな友達を作っている者もいる。
そんな中で俺は何をしているのかと言うと…
「どうしてこうなった…」
俺の席は、窓側の後ろから2番目。ここまではいい。最高のポジションだ。
だが、隣人に問題があった。そう、今まさに隣の席に座っているのは先程のよく分からん女だ。
「ちょっと、聞いているの?あ!それで今期のアニメはやっぱりあれがオススメなの!あれに出てくるヒロインは……以下省略」
今現在もヲタク丸出しのフルブーストのフルスロッタルでアニメトークを走り抜けている。
なぜ、俺がヲタクバレしているのか、それは数分前に遡る…
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「校舎内もやっぱりすげぇ…」
俺は綺麗な内装の光明高校に驚きを隠せないでいた。
魔法学園かのような白を基調とした美しい内装は、脱ヲタした俺でさえも、ライトノベルのようだとテンションを上げてしまうレベルだ。
じっくり内装を堪能した俺は階段を上がり4階にたどり着いた。
俺のクラスは1-B。黒板に表記された名前表と照らし合わせて、俺は窓側の後ろから2番目、涼宮ハ○ヒの○鬱で言えば、キョンが座っていた席だ。
じゃなくてっ!何考えてるんだ俺は…
まだ、完全に脱ヲタ出来てないようだ。はぁ、気をつけなくては…
俺はため息を吐くと、中学のころから愛用しているリュックサックを机の横にかけ、座席に座る。
中学の時のように、肘をつきながら窓を外を見やる。外は何も言うことなしの日常が広まっていた。
仕事に行く会社員や、学校に向かうであろう小学生、散歩する老人など。
今日も世界はつまらないほど平穏そのものだ。なんて景色を眺めていたら隣の席が引かれる音がした。どうやら、隣の席のやつが来たようだ。
ここは挨拶のひとつでもしてみようかと隣人の方を見ると、俺は唖然としてしまった。
隣に座った生徒は、先程話しかけられた?なぞの少女だ。
呆気にとられて見つめていたら、少女と目が合ってしまった。
「あら、あなたはさっきのヲタク…」
「ちょ、俺は別にヲタクじゃないぞ?」
「いえ、あなたはヲタクよ」
「ほう、その根拠は?」
こいつは危険だな…バレたらやばい…
「あなたからはヲタクの匂いがするわ」
「はい?」
何言ってるんだ?この人…俺からヲタクの匂いがするって?
「しょ、証拠になってないぞ?」
少女はしばらく考えるような仕草をして、俺やその周辺を観察する。謎の女だが、顔は可愛いのでなんか気恥しい。
「そうね…まず、そのリュックね!沢山小さな穴が空いているでしょう?それは今まで沢山缶バッチをつけていた証拠だわ」
少女は俺のリュックサックを指さしながら言った。
こいつは、や、やばいぞ…だが、落ち着け。まだ大丈夫だ。
「缶バッチなんて、アニメグッズ以外にもあるだろ?」
我ながら最高の切り返しだ。
「そうね……じぁ、筆記用具はどうかしら?筆記用具にも缶バッチの跡があるわ。筆箱に缶バッチを何個もつけているのはヲタクしかいないわ。」
くっそぅ…なかなかの洞察力だ。
「そういうお前はどうなんだよ。発言からしてヲタクだぞ」
「そうよ、私はヲタクよ?」
少女は言うと、光明高校のバッグに付いたキーホルダーや缶バッチを俺の目の前に出した。そして、バックの中から筆記用具やクリアファイル、バッグの中に入っていた全ての物を机に並べる。
その全てがアニメ関連の物だった。
「す、すげぇな…お前…って、これは!この前のイベントやつだ!いったのか!こっちは今期のアニメのやつだな!す、すげぇ!」
あ、しまった!やっちまった……ギクッと効果音がなった気がした。
「ふーーーん、随分と詳しい見たいねぇ?」
少女がニヤリと笑った。
「い、いや、俺は別に…」
「なぜ隠すのかしら?隠す必要なんてないはずよ?」
「ヲタクじゃだめなんだよ、お前だって高校生だろ?女の子ならイケメンと付き合いたいとかあるだろ?」
「無いわね。趣味を理解してくれない男なんて無理だし。趣味を隠してまで欲しくないわ。というか、そんなことより、聞いて!!」
「え?」
今までの少女とは別人かのように、少女の表情や雰囲気が変わり、アニメトークが始まった。
完璧な早口のヲタク口調で目を輝かせながら語る少女の姿は、完全なるヲタクそのものであった。
その熱量に、俺は苦笑いを浮かべることしか出来ない。
「ちょっと、聞いてるの?あ!それで、今期のアニメはやっぱりあれがオススメなの!あれに出てくるヒロインは……以下省略」
気がつけば、周りの連中の視線が俺達に集中していた。何やらヒソヒソと噂されている。完全に話題の的だ。
これだと、俺の計画は一瞬でダメになる。
「えっと、そろそろ落ち着いてくれないか?周りから凄い注目浴びてるし…」
「ん?そんなことは関係ないわ。それで、最終回の1個前の話なんだけど主人公がヒロインに好きって言葉を使わずに告白して…以下省略」
少女は何も気にせずに、ひたすらに話している。
俺はと言うと、少女の話を理解してしまっている。正直すっごくアニメトークがしたいくらいだ。だが、すまない。俺は変わらなくてはいけないんだ。
周りを見ると、やはり話題の的にされているようだった…ていうかさっきより人が増えてるように見える。
そりゃそうだよな…すっごい勢いで語ってるしな…顔だけでも話題になるだろうに。
「はぁ、どうしてこうなった…」
俺はため息を吐くことしか出来なかった。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
アサシンズハイスクール
鹿島 新春
青春
法では裁けぬ悪を陰で裁く者ーーー暗殺者
とある島に政府公認の暗殺者などを育成する特殊な場所「クロノス学園」と言う学校がある。
その学園の授業で単位を修得し卒業するための単位数を手に入れ、卒業する事で卒業後に人を殺すことが許されるライセンス「殺人許可証」を手にする事が出来る
命がけの学科……命を落とす者も少なくない
苦楽を共に過ごした仲間達が死んでいく中、それでも暗殺者を目指す者達がいた
「あるモノ」を奪われ奪った者を殺害するため暗殺者を目指す者
悪を根絶やしにし、「大切なモノ」を守るため暗殺者を目指す者
「愛するモノ」を奪われ、その復讐に命を賭け暗殺者を目指す者
これは暗殺あり!ラブコメあり!笑いあり!ちょっと変わった学園ストーリーである
美しい世界で君は笑う
紡子
青春
"三年前"を綴る私は、何度もループする。
「どうしていい人ほど
遠い世界へ逝くのかな。」
あの日から"当たり前"という名の歯車が
カタカタと音を立て 私達を狂わせていった。
疑問でしかないんだぁと言って笑う
結に私はあの時、なんと答えたら良かったのだろうか。
何が正解で何が間違いだったのだろうか。
私は貴方の居る"ネバーランド"と言う名の美しい世界へ
今、向かっている。
みやこ落ち
皇海翔
青春
高校卒業間際の洋平は進路も定まらず悶々とした日々を送っていた。悪友の木田
と近所のきっさ店に入り浸り、先の見えない日常を持て余していた。そんな洋平を見かねた店のマスタ-は店の手伝いをするよう洋平にすすめ、彼は調理の仕事をするようになり、小金も貯めてようやく心理的に安どした。一方、彼の両親はあくまでも大学進学を迫ってくる。だが洋平は自身に致命的な勉学的決点があることを認識している。つまりほかの生徒より暗記能力が著しく劣っていた。そんな洋平からすると高校は修羅場に思え、家庭は地獄でふたたび彼の心は蝕まれていく。ある日洋平の窮状を知った親戚の叔父が東村山にあるアパ-トが開いているので、そこで暮らしてみたらどうか、と申し出があった。東村山には思いのほか自然が残されており、洋平は少しずつ精神の健康を取り戻していった。愉快な仲間にも出会っていったが、自分本来のあり方について、ふたたび思考を深化させていく。
夏の抑揚
木緒竜胆
青春
1学期最後のホームルームが終わると、夕陽旅路は担任の蓮樹先生から不登校のクラスメイト、朝日コモリへの届け物を頼まれる。
夕陽は朝日の自宅に訪問するが、そこで出会ったのは夕陽が知っている朝日ではなく、幻想的な雰囲気を纏う少女だった。聞くと、少女は朝日コモリ当人であるが、ストレスによって姿が変わってしまったらしい。
そんな朝日と夕陽は波長が合うのか、夏休みを二人で過ごすうちに仲を深めていくが。
柊瑞希は青春コンプレックス
黒姫百合
恋愛
「何度も言うが私は青春が嫌いだ」
高校一年生の男の娘、柊瑞希は青春が大嫌いだ。
理由はそんな安っぽい言葉で自分の人生や苦悩を語ってほしくないからである、
青春なんていらない。
瑞希はそう思っていた。
部活も時間の無駄だと思った瑞希は帰宅部にしようとするものの、この学校には帰宅部はなく瑞希はどこかの部活に入るように先生に言われる。
それと同じタイミングで瑞希と同様部活は時間の無駄だと考える少女が先生と言い争っていた。
その後、瑞希は部活をしない部活を創立し、二人の女子と交流を持つようになり……。
ひねくれ男の娘が少しずつ大切なものを知っていく物語が今、始まる。
機械娘の機ぐるみを着せないで!
ジャン・幸田
青春
二十世紀末のOVA(オリジナルビデオアニメ)作品の「ガーディアンガールズ」に憧れていたアラフィフ親父はとんでもない事をしでかした! その作品に登場するパワードスーツを本当に開発してしまった!
そのスーツを娘ばかりでなく友人にも着せ始めた! そのとき、トラブルの幕が上がるのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる