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エリーの地獄のような日が始まってから早1週間。いよいよパーティーは明日になった。
「ふう、もうエリー様に教えられる事はございませんよ。この短期間でよくぞここまで………!わたくし、とてもとても嬉しゅうございます。…………ですから、もう少し、元気になってください………」
困ったような顔をして、先生はゆっくりと部屋を出て行った。
「………………」
バタン!乱暴に扉を開く音に振り向いたエリーは、そこにいる者を見て自分の右手を伸ばした。助けを求めるようなその仕草に、魔王はしっかりと応えた。
エリーの手を優しく握ってグイッと引き寄せると、そのまま抱き上げてぎゅっと抱きしめた。エリーの頭を支えて寝やすいような体制にすると、背中をトントンしながら語りかけた。それはそれは優しく、撫でるような声で。
「………エリーの先生から君の事聞いてね、慌てて飛んで来ちゃった。こんなに疲れてるとは思わなかった。睡眠時間まで削ってしまって………ほんとに、ごめんね。無理させて、僕旦那さん失格だ」
辛そうに笑う魔王が、自分と同じくらい、いやもっと疲れている事。明日は私と同じように、パーティーがある事。自分を、こんなに愛してくれる事。
精一杯疲れ切った頭で考えた後、エリーは魔王の腕から無理矢理降りた。
「エ、エリー?ど、うして?僕の事、嫌いになったの?ねぇ、エリー?そんなのやだ。無理無理。怒ってるの?謝るから、だから嫌わないで!………僕に、触れて?お願い。じゃないと、僕壊れちゃうよ!生きる意味が、なくなる!」
辺りは嵐のようになり、泣きながら頭を抱えて崩れ落ちた魔王が、手錠とか監禁とかボソボソ言い出したのを聞いて、エリーは慌てて駆け寄った。
「ふう、もうエリー様に教えられる事はございませんよ。この短期間でよくぞここまで………!わたくし、とてもとても嬉しゅうございます。…………ですから、もう少し、元気になってください………」
困ったような顔をして、先生はゆっくりと部屋を出て行った。
「………………」
バタン!乱暴に扉を開く音に振り向いたエリーは、そこにいる者を見て自分の右手を伸ばした。助けを求めるようなその仕草に、魔王はしっかりと応えた。
エリーの手を優しく握ってグイッと引き寄せると、そのまま抱き上げてぎゅっと抱きしめた。エリーの頭を支えて寝やすいような体制にすると、背中をトントンしながら語りかけた。それはそれは優しく、撫でるような声で。
「………エリーの先生から君の事聞いてね、慌てて飛んで来ちゃった。こんなに疲れてるとは思わなかった。睡眠時間まで削ってしまって………ほんとに、ごめんね。無理させて、僕旦那さん失格だ」
辛そうに笑う魔王が、自分と同じくらい、いやもっと疲れている事。明日は私と同じように、パーティーがある事。自分を、こんなに愛してくれる事。
精一杯疲れ切った頭で考えた後、エリーは魔王の腕から無理矢理降りた。
「エ、エリー?ど、うして?僕の事、嫌いになったの?ねぇ、エリー?そんなのやだ。無理無理。怒ってるの?謝るから、だから嫌わないで!………僕に、触れて?お願い。じゃないと、僕壊れちゃうよ!生きる意味が、なくなる!」
辺りは嵐のようになり、泣きながら頭を抱えて崩れ落ちた魔王が、手錠とか監禁とかボソボソ言い出したのを聞いて、エリーは慌てて駆け寄った。
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