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第一章 決戦ソウルトーナメント
第11話 思想
しおりを挟む強引な作戦だとは思ったが、時間がない。
俺は棺桶を開けて中身を確認した。
「空……!?」
驚く俺を見てデザールは、ニヤリと笑った。
「ポイズンボックスを勘違いしているようだな。それは棺桶だぞ!?」
ーーーー棺桶?
「まさか!!」
慌てて逃げようと思ったけど、棺桶の中から黒い手が伸びてきて俺のアバターを捕獲した。
まずい、ギガントクラッシュで棺桶を破壊しないと。
「ま、そう来るよな?」
棺桶に向かって放ったギガントクラッシュは、突如姿を見せたデザールのアバターに直撃した。
かに見えた。
目の前に広がる巨大な風呂敷に、絶望を感じた。
「残念だが、詰みだ」
巨大な風呂敷に包まれたギガントクラッシュは、吸収されてしまった。
ーーーー今何秒だ?
息苦しさは限界に達し、立っているのも難しくなってきた。
視界がぼやけてくる。
僅かながらに見える範囲で体力を確認すると、0になっていた。
「ま、負けた……のか?」
鳴り響くブザー音と共に俺のソウルデバイスの電源は切れてしまった。
「もうちょっと遊べると思っていたんだがな」
デザールは退屈そうに帰っていった。
突然、肩を叩かれて後ろから声が聞こえてきた。
「悔しいよな、タケシ」
気付けば隣にリクが悔しそうに立っている。立ち去るデザールを拳を握り締めて見つめていた。
俺の為にありがとうな、リク。
でも……。
「大丈夫だ、リク!!」
俺はこんなとこで立ち止まれない。
まだまだ強くなってやる。
そして、いつかリクにも勝つんだ。
画面が暗くなったソウルデバイスは、どこか熱く感じた。
画面越しのアバターもきっと前を向いているはずだ。
「それにしても、お前何で負ける時にいつも痛そうにするんだ?」
「確かに……」
リクの疑問に俺も考え込んだ。
俺が身体に直接ダメージを受けている訳では無い。
けど、息苦しさや痛みは本当に感じるんだ。
まるでアバターが自分自身のように。
「さっきデザールが言ってたシンクロ率ってのも関係あるかもしれないな。俺達が使うソウルにも秘密があると思うし……」
「そうかもしれないな!! よし、会場にいる色んな人に聞いてみる!!」
これくらいしか俺には出来ないからな。
リクの背中を強く叩くと、俺は客席に向かって走った。
途中、黒いコートと黒いハットを被った男と目があった気がしたが気のせいだろうか。
その男からは物凄く嫌な雰囲気を感じた。
いやいや……。
今はそれどころじゃないな。
「すみませーん!!」
手当たり次第に俺は観客に声をかけ始めた。
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