152 / 186
黎編
11話 つきあってるんですよ!
しおりを挟む
「あ、正先生だっ!正先生っ~!」
声を掛けると正先生はにこっと笑顔を振りまきたがらおれの顔を見た。
笑顔は輝かしくて見ていて醜かった。
「はいっ?何ですか?」
「あっ!わからないところがなくて…教えてくださいっ~~!」
「はい、いいですよ。」
正先生は足を止めておれをじぃっと見つめた。
「ここの…数学の…」
「…え?」
「あ、すみませーん、正先生って教科、化学でしたねっ!間違えました!」
「そうですか。専門教科は化学ですが、数学も得意な方ですから教えられると思います。」
「うーん、でも、いいかな。ありがとうございました。」
「いえいえっ。」
正先生はそういうとにこっと笑って立ち去ろうとした。
─────────が、
「あ、正先生って角田 黎君のお兄さんなんですか?」
その言葉に正先生はピクッと反応した。
そして正先生はくるっとおれの方に身体を向けた。
「はいっ、そうです。私は角田 黎の兄です。」
「へぇっ!全然似てないですよね!」
「そうですかね?」
正先生の表情は崩れずへらっと笑っていた。
「そうですよ~。僕の黎はそんなにこにこしてないですしっ。」
おれの方もにこっと笑ってそういうとピクッと正先生の身体が動いた。
「…君はれーくんのお友達ですか?」
「お友達…っていえばお友達ですかねー。」
にこにことおれは正先生に笑って見せた。
「…そうですか。れーくんにお友達ができてよかったです。」
そう、言う声はどんどん声のトーンが下がっていた。
「うーん、お友達っていうより…もっと近い関係ですかねー。」
「─────近い関係?」
正先生はおれをじぃっと見つめた。
鋭い視線だった。
さぁ─────そろそろ
切り出してやろう。
「はいっ、だって僕、日比谷勇太は
─────黎君とつきあってるんですよ。」
「…っ」
おれがそう切り出すと正先生の眉がピクッと動いた。
だが─────隙は見せない。
「そうですか…。びっくりしました。」
「びっくりしましたよねっ!?だって男の子同士ですし…。」
「はい。そうですね。」
「黎君、とっても優しいじゃないですか!そこがずっと前から好きで…。僕から告白して…そしたらオッケーもらえたんです。」
「…へぇ。」
正先生の表情がだんだん暗くなっていく感じが感じられた。
「…れーくんは流されやすいところがありますからね。」
「えー、それって黎君が同情でつきあってるみたいじゃないですかー。やめてくださいよー。」
「あはは、すみません。」
「黎君も僕のこと好きって言ってくれて…とても嬉しいんです!
───────黎君は、僕のです。」
にやっと笑っていって見せた。
だが、正先生の表情を変えさせることは出来なかった。
「そうですか。とても嬉しいですよ。れーくん、今まで友達もまともにできなくて…心配していたんですよ。けど…お付き合いする人まで作れるほどれーくんは成長したんですね。」
「…そーですね。」
「なら、君がれーくんのそばにいてあげてくださいね?」
正先生はそういっておれに顔を近づけた。
「───────今のうちに」
正先生はそう言い放つとそのまま手を振ってその場を去ってしまった。
「…へぇ。」
おれは一人にやっとしていた。
もしかしたら───、おれの思い違いなのかもと思っていた。だが。
──────あの一言が聞ければ
十分だ。
「黒…だな。」
敵に塩を送ったことだ。
──────警戒しなければ。
「黎は─────渡さねぇ。」
声を掛けると正先生はにこっと笑顔を振りまきたがらおれの顔を見た。
笑顔は輝かしくて見ていて醜かった。
「はいっ?何ですか?」
「あっ!わからないところがなくて…教えてくださいっ~~!」
「はい、いいですよ。」
正先生は足を止めておれをじぃっと見つめた。
「ここの…数学の…」
「…え?」
「あ、すみませーん、正先生って教科、化学でしたねっ!間違えました!」
「そうですか。専門教科は化学ですが、数学も得意な方ですから教えられると思います。」
「うーん、でも、いいかな。ありがとうございました。」
「いえいえっ。」
正先生はそういうとにこっと笑って立ち去ろうとした。
─────────が、
「あ、正先生って角田 黎君のお兄さんなんですか?」
その言葉に正先生はピクッと反応した。
そして正先生はくるっとおれの方に身体を向けた。
「はいっ、そうです。私は角田 黎の兄です。」
「へぇっ!全然似てないですよね!」
「そうですかね?」
正先生の表情は崩れずへらっと笑っていた。
「そうですよ~。僕の黎はそんなにこにこしてないですしっ。」
おれの方もにこっと笑ってそういうとピクッと正先生の身体が動いた。
「…君はれーくんのお友達ですか?」
「お友達…っていえばお友達ですかねー。」
にこにことおれは正先生に笑って見せた。
「…そうですか。れーくんにお友達ができてよかったです。」
そう、言う声はどんどん声のトーンが下がっていた。
「うーん、お友達っていうより…もっと近い関係ですかねー。」
「─────近い関係?」
正先生はおれをじぃっと見つめた。
鋭い視線だった。
さぁ─────そろそろ
切り出してやろう。
「はいっ、だって僕、日比谷勇太は
─────黎君とつきあってるんですよ。」
「…っ」
おれがそう切り出すと正先生の眉がピクッと動いた。
だが─────隙は見せない。
「そうですか…。びっくりしました。」
「びっくりしましたよねっ!?だって男の子同士ですし…。」
「はい。そうですね。」
「黎君、とっても優しいじゃないですか!そこがずっと前から好きで…。僕から告白して…そしたらオッケーもらえたんです。」
「…へぇ。」
正先生の表情がだんだん暗くなっていく感じが感じられた。
「…れーくんは流されやすいところがありますからね。」
「えー、それって黎君が同情でつきあってるみたいじゃないですかー。やめてくださいよー。」
「あはは、すみません。」
「黎君も僕のこと好きって言ってくれて…とても嬉しいんです!
───────黎君は、僕のです。」
にやっと笑っていって見せた。
だが、正先生の表情を変えさせることは出来なかった。
「そうですか。とても嬉しいですよ。れーくん、今まで友達もまともにできなくて…心配していたんですよ。けど…お付き合いする人まで作れるほどれーくんは成長したんですね。」
「…そーですね。」
「なら、君がれーくんのそばにいてあげてくださいね?」
正先生はそういっておれに顔を近づけた。
「───────今のうちに」
正先生はそう言い放つとそのまま手を振ってその場を去ってしまった。
「…へぇ。」
おれは一人にやっとしていた。
もしかしたら───、おれの思い違いなのかもと思っていた。だが。
──────あの一言が聞ければ
十分だ。
「黒…だな。」
敵に塩を送ったことだ。
──────警戒しなければ。
「黎は─────渡さねぇ。」
0
お気に入りに追加
464
あなたにおすすめの小説

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

BLドラマの主演同士で写真を上げたら匂わせ判定されたけど、断じて俺たちは付き合ってない!
京香
BL
ダンサー×子役上がり俳優
初めてBLドラマに出演することになり張り切っている上渡梨央。ダブル主演の初演技挑戦な三吉修斗とも仲良くなりたいけど、何やら冷たい対応。
そんな中、主演同士で撮った写真や三吉の自宅でのオフショットが匂わせだとファンの間で持ち切りに。
さらに梨央が幼い頃に会った少女だという相馬も現れて──。
しゅうりおがトレンドに上がる平和な世界のハッピー現代BLです。


平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。
しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。
基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。
一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。
それでも宜しければどうぞ。

好きなあいつの嫉妬がすごい
カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。
ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。
教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。
「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」
ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」

地味で冴えない俺の最高なポディション。
どらやき
BL
前髪は目までかかり、身長は160cm台。
オマケに丸い伊達メガネ。
高校2年生になった今でも俺は立派な陰キャとしてクラスの片隅にいる。
そして、今日も相変わらずクラスのイケメン男子達は尊い。
あぁ。やばい。イケメン×イケメンって最高。
俺のポディションは片隅に限るな。

なんでも諦めてきた俺だけどヤンデレな彼が貴族の男娼になるなんて黙っていられない
迷路を跳ぶ狐
BL
自己中な無表情と言われて、恋人と別れたクレッジは冒険者としてぼんやりした毎日を送っていた。
恋愛なんて辛いこと、もうしたくなかった。大体のことはなんでも諦めてのんびりした毎日を送っていたのに、また好きな人ができてしまう。
しかし、告白しようと思っていた大事な日に、知り合いの貴族から、その人が男娼になることを聞いたクレッジは、そんなの黙って見ていられないと止めに急ぐが、好きな人はなんだか様子がおかしくて……。

せっかく美少年に転生したのに女神の祝福がおかしい
拓海のり
BL
前世の記憶を取り戻した途端、海に放り込まれたレニー。【腐女神の祝福】は気になるけれど、裕福な商人の三男に転生したので、まったり気ままに異世界の醍醐味を満喫したいです。神様は出て来ません。ご都合主義、ゆるふわ設定。
途中までしか書いていないので、一話のみ三万字位の短編になります。
他サイトにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる