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1 トマト収穫してたら召喚された件について。
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「...此処どこですかぁーーーーっ!!!」
広大な緑の広がる大地に叫び声が響いた。
でも聞こえる人はいないよねぇ...
...まじかぁ...コレ異世界召喚てやつだよね?
やばい~どうしょ~
あ、そこの貴方、助けてくれません?
いつもの朝、目が覚めて体を起こす。
見渡す限り何も変わっているところはない。
此処は北海道。
風が気持ちよくて、広くて、自然のいい香りがする。
俺の3LDKの木造建ての家の周りは、平方6000キロメートルの敷地。
小屋が沢山並んでおり、ビニールハウスもぽつぽつ建てられている。
そう、俺はいわゆる農業家。
朝早くから牛、鶏、兎、と植物の面倒をみなけりゃならん。
まぁ俺一人じゃ無理だから助っ人ねぇさんはいるけどね...。
名前はカノンって言ってさ、助っ人として入ってきた時に、黒髪ロング、青い瞳特徴です、ってEメールで言われたからてっきり美少女かと思ったんだけどさ...
ただのにくまんだったよ。
3年間1人でやってきた俺にはそれでも嬉しかったけどよ、
結構そのにくまん女性働き屋みたいで仕事進むからお世話になってるんだけどねー。
さぁ一仕事終わらせてくるか。
俺は外に出て、鶏小屋にいるカノンに話しかけた。
「おーいカノンさーん、今日ちょっと悪いけど、鶏小屋の掃除全部やってくれる?」
俺はおーい、と声をかけた。
「は~い!終わらせときますねぇ~」
なんと優しい人か。
やっぱり人は見た目より中身だな、
とも思うが、このにくまん状態ではそう言えない。
カノンさんはそう言ってフォークを持ち上げながら藁掃除をし始めた。
正直重そうだ。男が乙女に重労働させるなんて...
俺なんて馬鹿な男...
だがトマトも出荷のために摘まなければ。
んーとじゃー鶏はカノンに任せて...と
俺はトマト収穫っと。
俺はるんるん、と頭に赤いツルツルの美味しそうなトマトを思い浮かべながらスキップ(出来ないのでスキップもどき)し始めた。
その後鶏小屋の出口に足を向け、トマト農園に向かい、収穫しようとビニールハウスに踏み入り、顔をふとあげた瞬間だった。
...んぇ。
絶句絶句絶句。
色彩感覚が劣った?
もう何が起きたのか分からなかった。
ほんの0.01秒の出来事で。
俺は―――その光景に目を疑った。
そう、そこに広がるのは変わらない緑の畑...だったが
上も横にもビニールハウスが無い...?
竜巻来て飛ばされていったのかな?
あれれ~?
私迷子になっちゃったぁ~(乙女風)
それは飛んだ災難だった。
頭の中に思いつくのは
なにこれ
どうした
ここどこ
俺なんかした?
これ夢か
あれどうしたんだっけ?
空の色虹色なんですけど
ここで死ぬのかな
怖いよぉ~
誰かー!
助けてください!
help me!
俺の大切な牛ちゃん達どこいったの
俺とうとう幻覚まで見れるようになっちゃったか
ストレス溜まりすぎたか
怖い怖い怖い
いや~まさかのー?!
異世界召喚ですか✩
という片言だった。
瞬きをしても変わらないその世界。
俺氏が今まで目に捉えていた景色とは違い、緑の荒野が広がっていた。
さらに上空からは獣が炎を吐く音がしなくも無い……。
俺は大きく同様した。
まさにびっくり仰天だ。
だが俺は見えない誰かに届くかもしれないと、叫んだ。
「...此処どこですかぁーーーーっ!!!!」
空はレインボーだし
変なドラゴンそこら中飛び回ってるし
牛ちゃん全員いないし……。
俺はどうすればっ――――?!
此処ならきっと知人も親も誰もいないよね?!
みんな本州住みだし...俺1人で生きてくの辛いよぅ...。
と思いながら俺は思い出した。あの万能☆天才野郎の事を。アイツに俺はいつも頼ってる。天気予報もすぐ確認できるし、不明点があればGoo〇leを開く。さーて、Si〇iにでも現在地聞くか。
「Hey Siri」
そしてポケットからスマホを取り出し、おい、Siriと呼びかけた。
だが左上に表示されたのは、
圏外
という文字だった。
がっかり。
肩をがくんと俺は落とした。
「っなんだよっ!使えねーじゃねぇか全くっ」
俺は怒鳴りつけるとスマホを地面に叩きつけた。土の上に無造作に投げつけられたアイツは、何度見ても低脳☆野郎になっていた。
きっと頑丈だからこれくらいで壊れたりしないであろう。
そして3分後。俺が悩みに悩んでいると、1匹の天使が現れた。
とても愛らしい、モノクロの色をした生物。
牛ぃぃぃぃ!!
「モーーーゥ」
そこで俺の脳内に鳴り響いた。
ひとつの天使の歌声。
この声は紛れもなく...!
エリザベス!
俺は後ろを振り向くとその天使に駆け寄って行った。
「俺の愛しのエリザベスちゃぁーんっ♡君も異世界召喚されたの?俺と仲良く2人で異世界農業ライフ楽しもうなぁ♡」
俺はそう言って牛のエリザベスに抱きついた。
エリザベスは正直面倒くさそうにしており、鼻でブルブルブル、と俺のことを、なんだコイツ、と言っているように見えた。
全く周りが見えない。
俺と1匹の牛と空飛ぶドラゴンと。
異世界に農業家の召喚。
農業家を召喚して何になる。
まだ誰にも会えてないし、召喚された理由も分からない。
だが見渡せばちゃんと家はあった。
前の家より小さくぽつん、と。
ゲームデータが全て消去されたように、荒地となったその野原。
そこに人間が1人、牛と抱き合っている。
栽培していたトマトも、レタスも、大根も、
飼育していた鶏も、他の牛達も、兎も、
全て消去されていたのは事実、
俺が異世界転送されたのも事実だ。
神からのプレゼントがこんなものだとはさ、誰も思う訳ないよね。
人間へ
異世界で農業ライフ楽しんで下さい。
勿論、全て最初から。
私に貴方のできる限りの事を見せてください。
貴方に災難が降り注いだ時、人間は異世界でどのような行動をするのでしょうか。
それを私に見せてください。
楽しませてください。
ずっと見ていますよ。
貴方のそばで。
長くなりましたが、ハッピー✩農業ライフを是非楽しんでください。
神より
そして笑みを浮かべ、神は彼を異世界転送したのである。
広大な緑の広がる大地に叫び声が響いた。
でも聞こえる人はいないよねぇ...
...まじかぁ...コレ異世界召喚てやつだよね?
やばい~どうしょ~
あ、そこの貴方、助けてくれません?
いつもの朝、目が覚めて体を起こす。
見渡す限り何も変わっているところはない。
此処は北海道。
風が気持ちよくて、広くて、自然のいい香りがする。
俺の3LDKの木造建ての家の周りは、平方6000キロメートルの敷地。
小屋が沢山並んでおり、ビニールハウスもぽつぽつ建てられている。
そう、俺はいわゆる農業家。
朝早くから牛、鶏、兎、と植物の面倒をみなけりゃならん。
まぁ俺一人じゃ無理だから助っ人ねぇさんはいるけどね...。
名前はカノンって言ってさ、助っ人として入ってきた時に、黒髪ロング、青い瞳特徴です、ってEメールで言われたからてっきり美少女かと思ったんだけどさ...
ただのにくまんだったよ。
3年間1人でやってきた俺にはそれでも嬉しかったけどよ、
結構そのにくまん女性働き屋みたいで仕事進むからお世話になってるんだけどねー。
さぁ一仕事終わらせてくるか。
俺は外に出て、鶏小屋にいるカノンに話しかけた。
「おーいカノンさーん、今日ちょっと悪いけど、鶏小屋の掃除全部やってくれる?」
俺はおーい、と声をかけた。
「は~い!終わらせときますねぇ~」
なんと優しい人か。
やっぱり人は見た目より中身だな、
とも思うが、このにくまん状態ではそう言えない。
カノンさんはそう言ってフォークを持ち上げながら藁掃除をし始めた。
正直重そうだ。男が乙女に重労働させるなんて...
俺なんて馬鹿な男...
だがトマトも出荷のために摘まなければ。
んーとじゃー鶏はカノンに任せて...と
俺はトマト収穫っと。
俺はるんるん、と頭に赤いツルツルの美味しそうなトマトを思い浮かべながらスキップ(出来ないのでスキップもどき)し始めた。
その後鶏小屋の出口に足を向け、トマト農園に向かい、収穫しようとビニールハウスに踏み入り、顔をふとあげた瞬間だった。
...んぇ。
絶句絶句絶句。
色彩感覚が劣った?
もう何が起きたのか分からなかった。
ほんの0.01秒の出来事で。
俺は―――その光景に目を疑った。
そう、そこに広がるのは変わらない緑の畑...だったが
上も横にもビニールハウスが無い...?
竜巻来て飛ばされていったのかな?
あれれ~?
私迷子になっちゃったぁ~(乙女風)
それは飛んだ災難だった。
頭の中に思いつくのは
なにこれ
どうした
ここどこ
俺なんかした?
これ夢か
あれどうしたんだっけ?
空の色虹色なんですけど
ここで死ぬのかな
怖いよぉ~
誰かー!
助けてください!
help me!
俺の大切な牛ちゃん達どこいったの
俺とうとう幻覚まで見れるようになっちゃったか
ストレス溜まりすぎたか
怖い怖い怖い
いや~まさかのー?!
異世界召喚ですか✩
という片言だった。
瞬きをしても変わらないその世界。
俺氏が今まで目に捉えていた景色とは違い、緑の荒野が広がっていた。
さらに上空からは獣が炎を吐く音がしなくも無い……。
俺は大きく同様した。
まさにびっくり仰天だ。
だが俺は見えない誰かに届くかもしれないと、叫んだ。
「...此処どこですかぁーーーーっ!!!!」
空はレインボーだし
変なドラゴンそこら中飛び回ってるし
牛ちゃん全員いないし……。
俺はどうすればっ――――?!
此処ならきっと知人も親も誰もいないよね?!
みんな本州住みだし...俺1人で生きてくの辛いよぅ...。
と思いながら俺は思い出した。あの万能☆天才野郎の事を。アイツに俺はいつも頼ってる。天気予報もすぐ確認できるし、不明点があればGoo〇leを開く。さーて、Si〇iにでも現在地聞くか。
「Hey Siri」
そしてポケットからスマホを取り出し、おい、Siriと呼びかけた。
だが左上に表示されたのは、
圏外
という文字だった。
がっかり。
肩をがくんと俺は落とした。
「っなんだよっ!使えねーじゃねぇか全くっ」
俺は怒鳴りつけるとスマホを地面に叩きつけた。土の上に無造作に投げつけられたアイツは、何度見ても低脳☆野郎になっていた。
きっと頑丈だからこれくらいで壊れたりしないであろう。
そして3分後。俺が悩みに悩んでいると、1匹の天使が現れた。
とても愛らしい、モノクロの色をした生物。
牛ぃぃぃぃ!!
「モーーーゥ」
そこで俺の脳内に鳴り響いた。
ひとつの天使の歌声。
この声は紛れもなく...!
エリザベス!
俺は後ろを振り向くとその天使に駆け寄って行った。
「俺の愛しのエリザベスちゃぁーんっ♡君も異世界召喚されたの?俺と仲良く2人で異世界農業ライフ楽しもうなぁ♡」
俺はそう言って牛のエリザベスに抱きついた。
エリザベスは正直面倒くさそうにしており、鼻でブルブルブル、と俺のことを、なんだコイツ、と言っているように見えた。
全く周りが見えない。
俺と1匹の牛と空飛ぶドラゴンと。
異世界に農業家の召喚。
農業家を召喚して何になる。
まだ誰にも会えてないし、召喚された理由も分からない。
だが見渡せばちゃんと家はあった。
前の家より小さくぽつん、と。
ゲームデータが全て消去されたように、荒地となったその野原。
そこに人間が1人、牛と抱き合っている。
栽培していたトマトも、レタスも、大根も、
飼育していた鶏も、他の牛達も、兎も、
全て消去されていたのは事実、
俺が異世界転送されたのも事実だ。
神からのプレゼントがこんなものだとはさ、誰も思う訳ないよね。
人間へ
異世界で農業ライフ楽しんで下さい。
勿論、全て最初から。
私に貴方のできる限りの事を見せてください。
貴方に災難が降り注いだ時、人間は異世界でどのような行動をするのでしょうか。
それを私に見せてください。
楽しませてください。
ずっと見ていますよ。
貴方のそばで。
長くなりましたが、ハッピー✩農業ライフを是非楽しんでください。
神より
そして笑みを浮かべ、神は彼を異世界転送したのである。
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