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- 28章 -
-とある休日2-
しおりを挟む両手で顔を隠し溜め息をつく、髪からのぞく耳までもが赤くなった植野の姿が、愛おしくてしょうがない。
密かに笑みを浮かべた鈴橋は、少しでも安心してもらえるよう、さらなる払拭の為、少しずれてしまった話題を引き戻した。
「今のはそう言うんじゃなくて、ただ…そうだな。お前がというより、一般的な考えとして、どんな感じなのかって気になっただけ」
「一般的に男性が女性のどこに魅力を感じるか…ってこと?」
「そう」
なぜそんな疑問をぶつけて来るのか。
結局理由は分からず仕舞いではあるが、鈴橋の顔を見れば、確かに自分達がどうこうというより、純粋に疑問に思っている心情が伺える。
鈴橋の疑問にちゃんと答える事が出来れば、その疑問の発端も見えてくるのかもしれない。
いささか…いや、大分答えづらい話ではあるが、それでもなんとか言葉にしようと、植野は暫し空を見上げ思考する。
「そうだなぁ… 相手が男だろうと女だろうと、魅力に感じる事ってあまり変わらないんじゃないかなぁ。一緒にいて楽しいとか、安心できるとかさ」
「そうか。なら、外見的なものは?」
「……えっ? 外見、的? 」
「そう。外見」
「…外、見…えーっと …めっ、メリハリ、とか?」
「メリハリ…?」
『なにこの羞恥プレイ…』
外見的なものと言うその問は、言い方を変えれば、女性の何処に性的魅力を感じるか、品なく言えば、女性の何処に欲情するかと言うことで…
それを、男かつ、恋人でもある鈴橋に言うのは恥ずかしいだけではなく、なんだかんだ言っても、自分と女性を比べて傷つくことになったりはしないかと心配になってしまう。
それでも、鈴橋がなんの意味もなくこんなことを聞いてくるなど考えづらく、自分がその疑問をとく鍵になれるのなら協力はしたいと、羞恥心を押し込め、なんとか口を開いた。
「…えっと、胸が大きくて、細腰で、綺麗に括れてて…その曲線、とか…?曲線美って良く言うじゃん?」
「あぁ、成る程。猫みたいな感じか。他には?」
『猫っ!?』
女体の曲線美を猫とを同等に捉えるのはどうかと思うが、“ 曲線美 ” という言葉だけで考えれば、どちらも美しいには変わりないのかもしれない。そこにどんな感情を抱くかでかなり変わってくる話ではあると思うけれど、少なくとも鈴橋の中では性的な魅力ではないらしい。
「他は、そうだなぁ…程よく肉付きがあって、柔らかそうで、触り心地が良さそうとか…結い上げた髪からのぞくうなじとか?」
「……あとは?」
「…綺麗な肌とか、潤ってる口唇とか…が良い、とかは良く聞くかな」
「ふーん……そう」
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