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- 28章 -
-とある休日2-
しおりを挟む安積達と少し離れた席では、一足先にLINEのやり取りを見せられていた鈴橋が、その顔に浮かべた心配を色濃くしていた。
「…俺達が居るの気づかれてたのか」
「みたいねw」
「安積、完全に騙し撮られましたって顔してんな…」
「やー、随分楽しんでるねぇww」
「市ノ瀬だけな。ところで綾雪」
「うん?」
自分達に気がついた市ノ瀬がメッセージを送りつけてきた上で写真を撮ったのは分かった。それに植野が悪ノリしポーズを送ったのも分かった。
安積が兎に角不憫なのも分かった。
そして、次はー
「この “ デート? ” “ そうっ! ” ってやり取りは?」
「え?……あ、これは、ただのノリ? 冗談だよw」
「……本当に?」
「本当本当っ! 大丈夫、むっちゃんには付き合ってる事言ってないよ!!」
「には?」
「せーちゃんにも! ってかあっきー以外には言ってないからっ、信じてっ!」
「……そう」
疑うように見詰めてくる鈴橋を渾身の真剣な目で見詰め返すと、納得しきっては居ないけれど、とりあえずは信じてくれたようで、鈴橋は再び食べ掛けだったケーキへとフォークを突き刺した。
そう。言ってはいない。それは嘘ではない。
ただ、市ノ瀬の勘が鋭くバレてしまっただけだ…
肯定するような態度を取ってしまったかもしれないけれど、言葉で明確に “ 付き合っている ” と公言はしていない。
知られてしまっていると言う事実は間違いないが…
『その過程だって……大事だよね。がっくん的にはあまり関係ない話かもだけど…』
そんな詭弁にもなりきれないような言い訳を考えていると、開きっぱなしだったトーク画面に、市ノ瀬からの新たなメッセージが表示され、その内容を目視で読んだ2人は、1度顔を見合わせると、揃って市ノ瀬へと視線を向けた。
その視線の先では、安積がスマホ画面を食い入るように見詰め、固まっている。
“特にここ最高”と言って、市ノ瀬に見せられた画面には、先程撮ったと思われる写真が表示されており、なにが最高なのかと安積が目をしかめていると、市ノ瀬の指先がある一点を指した。
「………」
「な?」
気がついた瞬間、安積は驚きと焦りで、背中のみならず、お腹の中までもが急激に冷えていくのを感じた。それは、自分達のずっと奥で、なんだか見慣れたような顔が2つ、此方を覗いていたから。
約1名、ご丁寧にポーズまで決めている…
「なんでか知らんけど、入店直後からバレてたみたいだなっw」
「………」
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