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- 28章 -
-とある休日-
しおりを挟む「起源はLGBTが迫害される社会情勢の中、性的趣向を越える為の手段として、女装してバーやクラブ等でパフォーマンスした、男性の同性愛者達の事、だったはずです。ドラッグクイーンが栄えた国では、当時法律で同性愛が禁止されていて…色々と、ね。被害に遇うことが多かったとか…理不尽ですね」
「…ふーん。意味わからねぇ法律」
「信仰宗教や人種差別の問題も関わっているので…難しい問題ですよね」
「人種差別??白も黄色も黒も一皮剥けば中身は一緒だっつーのに。いつまで大航海時代引きずってんだよ」
「1度根付いたものがなかなか消えないのは分かりますけど、流石にそれが言い訳になる時間はとっくにすぎてますよね」
「宗教だって誰がなに信仰しようと好きにすりゃ良いけど、信仰してない神の言葉ってやつのせいで迫害受けるなんてたまったもんじゃねぇよな」
「そこは見直しされているようですけど、歴史は長いですからね。見直された見解が浸透するのにも莫大な時間を要するのでしょう」
姉の発言に思いの外重たい話が隠れていたことに驚きつつも、そのせいで差別意識が未だに続いて居るのだと思うと、集団意識の恐ろしさに頭が痛い。
「もっと詳しく知りたければ、これ、調べてみてください」
そう言って差し出されたスマホに写し出されていたとある事件について、自身で検索をかけてみると、それは同性愛を禁止する法律に対する社会運動の始まりだと言われているものだった。
今ではマイノリティの人々がメディアに進出し、人気をはくしている人達もいる。彼らのおかげで認知度が広がり、少しずつ、ほんの少しずつだけれど受け入れられるようになってきている、と思う。
そんな彼等も、彼等として活動出来るような時代になった背景には、過酷な情勢の中声を上げたドラッグクイーンのような存在が居てくれたおかげもあるのだろう。
自分からしたら大いにリスペクトする存在であるが、残念なことに差別はなくなっている訳ではない。否定的な考えの人だって勿論いる。そう言う人にとって、同一化されるような発言は不快だろう。
もし、秋山が否定的な考えであったなら…
「不快にさせてなきゃ良いけど」
「不快? 秋山さんをですか?」
「そう」
「そんなに心配しなくても大丈夫だと思うよ?だってほら、結月さんも秋山さんも、楽しそうに話してるし」
「…そうだと良いんですけど」
自身を抱き締めるように組んだ腕から伸びる市ノ瀬の手は、不安げに口許を覆い隠している。そんな市ノ瀬の腕にそっと伸ばされた班乃姉の手が、あやすように優しく動く。
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