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- 28章 -
-憎悪と情愛-
しおりを挟むだが、流れ込んできた弟の恐怖の思いが、心に少しのダメージを受けた与えた。覚悟して話した事だけれど、やはりショックはショックだ。
『しょうがないよねぇ…頭の中のぞかれるなんて、誰だって怖いし、気持ち悪いよねぇー…知られたくない事だってあるだろうし』
怖い、怖いっ!!
どうしようっ!
どうすれば良いっ!?
世話しなく流れ込んでくる弟の思いが、深くつき刺さっていく。けれど伝えると選んだのは自分自身であり、少しの後悔はあるけれど、これで良かったんだとー
『傷つける事っ、考えないようにしないとっ!』
「……え?」
「えっ?」
「ぁっ、いや……なん、なんでも、なっ……ふっ」
「えっ? なに?どーしたn」
「ふはははっ、アハっ、ァハハハハっ、そーだねっ、そうだよねっ!そうだったっ、そうだったよ聖はっ!そーゆー子だったねぇーww」
「えっ、なになにっ!! どーいうことっ!?」
そうだった。弟は自分がどうこうよりも、真っ先に相手を思いやる。そういう子だった。弟から強く伝わってきた感情は、自分が感じていたものとは真反対で、思わず笑いがこぼれた。
『自分自身の知られたくない事を知られるよりも、他人を傷つける事が怖い、か。らしいなぁ、本当』
「ふふっ、ごめんっ、なんでもない」
「そっ、そう?」
「…聖」
「なに?」
「あのさ、帰りちょっと時間ある?見せたいものがあるんだよね」
「時間は大丈夫だけど…見せたいものって?」
「それはお楽しみ! それより話戻そうか」
「うっ、うん?」
この力の事で他人から向けられるマイナスな感情には慣れていたはずなのに、やはり弟からとなるとそれはまったくの別物で、動揺からうっかり話が脱線してしまった。
しかし、フタを開ければそんな動揺はまったくの不要のものであり…
『本当、聖が弟で良かった』
しみじみと幸せに浸りながらも、何時までもそうしているわけにもいかないと、脱線する前の話に頭を巻き戻す。
「ごめんごめん、話脱線したね。えっと……なんだったっけ?…あ、そうそう。俺とも祐子さんとも関係を続けていきたいんだけど、祐子さんの話を聞いて、多分納得出来なくて、でもだからと言って祐子さんを嫌いになりたくない。から、俺に話を聞こうって思った、ってことであってる?」
「…うん。片方だけの話で判断するのって良くないって思って」
「おぉ、ずいぶん大人な事言うねぇ」
「…え、もしかして俺馬鹿にされてる?」
「いやいや、誉めてます」
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