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- 28章 -
-憎悪と情愛-
しおりを挟む「…イルミネーション、綺麗だね。これは…駅前のかな?」
「……えっ?」
「こんな所で告白なんてすっごく素敵。聖もなかなかやるねぇ。…おめでとう。うまくいったんだね、睦月君と」
「えっ、ちょっと待って?? どーゆぅ、こと…?」
なに1つ状況を理解出来ないと言った表情を浮かべた弟は、隠すことなく困惑を全面に出し、まばたきの増えた目で兄を見据えた。
言ってしまったら、弟との関係が変わってしまうかもしれないと思うと、なにも知らない今の弟を手離したくない思いが頚をもたげるが、それでも、これが偽りのない自分なのだ。
言いたくなければ言わなくても良いとは言ってくれたけれど、ここまで言って今更口をつぐんだ所で、今までのような何も知らない関係性で過ごす事は出来ないだろう。
「……つまりね、端的に言えば他人の考えてることが分かっちゃうってこと。勿論全部じゃないし例外もあるんだけど。これが、原因の1つ」
その言葉に驚きぽかんとした表情を浮かべ、言葉も出ず、動きさえも止めた弟だったが、我に返ったようにガバッと起き上がり、体育座りの姿勢で頭を覆った。
「はぁっ!?ぇっ、えっ!?わっ、分かっ…!?分かっちゃう…って? えっ? 今、俺が考えてた事…が、分かっ…!?」
突然1番思い出に残ったものと言われ、思い浮かべた途端、即座に2番目でっ!と慌てたように変更されて…
それが意味する事とは…
恐る恐る顔を上げ兄を見ると、慌てたように、降参ポーズよろしくパッと顔の横に両手をあげた。兄がこんなに焦っているのは初めて見るかもしれない。温泉のせいなのか、はたまた他の “ なにか ” が原因なのか、その顔は微かに赤く染まっているように見える。
「いやっ!!でもほらっ、小さい時は色々未熟だったからで…そのっ、今は知ろうとしなければ知れないというか、頭の中…プライベートのぞかれるのは誰だって嫌だろうから、普段は知ろうとなんてしないよ!?…ただ、あまりにも思いが強いと、勝手に流れ込んできちゃう……って時はあるんだけど…」
なんとも気まずい無言の空気が2人を包み込む。まずにわかに信じがたい話なうえ、知ってしまった、知られたくなかった事が伝わってしまった…かもな事実にお互い口が開けないでいた。
「………えっと」
「…ごめんね」
「……ちょっと待って? とゆー事は….今は、知ろうとしたから知ったって事、だよね?」
「…そう。怖がらせてごめんね。…信じてくれるの?」
「えっ、嘘なのっ?」
「…嘘では、ないけど」
「…いや、まぁ、怖いっていうか…それは別に、なんだけど。確かに、急に言われたら信じられなかったかもだし…わざわざ聖が嘘つくなんて思えないし、どこで告白とか、睦月と…その、そーなったって事は、言ってなかった事だし…いやっ、ちょっと、待って…そーじゃなくて…いや、それもなんだけど…」
「…うん」
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