Pop Step

- 27章 -

- 謹賀新年-

汚れを落とし湯船に浸かれば、その心地好さに今日１日の疲労が全て抜け出るような大きな溜め息がもれた。

思い出すのは楽しかった思い出ばかりだ。

初詣なんて行けるとは思ってなかった。
それも皆で。
行こうと言ってくれた皆の優しさが、すでに行った後である今でも嬉しすぎて泣きそうになる。

あの時は班乃の誕生日やクリスマスを事前に控え、考える事や伝えるべき思いと想いに頭を悩ませ、初詣をこんな幸せな気持ちで迎え終えられるなんて考えてもなかった。

過ぎた今となれば予想を大きく裏切り、全てが順調に進み、順調すぎて怖い気持ちもあるにはあるが、それ以上に今ならなんでも出来そうな気持ちが沸き上がってくる。

『となれば、だ』

軽く触れた進路の話では、皆各々が既に目標を決めていた。根詰めなくても良いとは言っていたけれど、早いに越したことはないし、今から参考として色々な人の話を聞いてみるのもありだ。

それに進学となれば、両親に経済的負担をかけることにもなる。それならー…

『…１回、帰るべきかな。実家に』

こっちに越してきて以来、連絡はとっているものの帰ったことは１度もない。

正直、此方に来てから新たに知った母と異母兄の事で帰りづらかったのもあったのだけれど、2人其々が生活基盤を築き幸せにやっているのなら、敢えて自分から話をする必要はないのだし…いつも通りにすれば良い。

急遽決めた引っ越しで持ってこれなかった荷物もそのままになっているし、丁度良いタイミングかもしれない。

学校が始まってからだと中々時間もとれないし、冬休みもまだ残っている。

『よし、明日帰ろう！』

善は急げだ。やる気がある内にサクッと行ってしまおうと勢い良く風呂からあがると、明日に備え早々に床へとついた。