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- 27章 -
- 謹賀新年-
しおりを挟む「あぁ、これは綺麗ですね。キラキラと光って…スノードームみたいです」
「でしょっ!さすがあっきー!! 睦月ってば何度見ても苔!しか言わないから」
「まぁ、間違ってはないですけどねw」
「悪いな、美意識高くてちょっとやそっとのもんじゃ心動かされねぇんだわ」
「ですって。良かったですね、安積」
「……なんで俺に振るのよ」
「まぁ、感受性低いとも言えますけどね」
「最後の余計だぞそれ」
「お前がそれ言う??」
軽快に喋りながらも数枚写真を撮り、お邪魔しましたと含みのある笑顔で颯爽と去ろうとする班乃を制止すると、特に見るものも、することもないしと共に外へと出た。
滝から少し離れた場所で、眼鏡を空にかざし汚れを念入りに拭く鈴橋と、その隣で目をつぶり幸せそうに微笑む植野と合流を果たすと、そろそろ帰ろうと出口へ向かった。のだが…
「……これ、登るのか」
名残惜しさを残しつつ滝を後にし、出口方向へと目を向けた鈴橋がげんなりしたように呟く。そこには、1段1段の幅が広い階段が、頂上が見えない程に続いていた。
「頑張れがっくん!これ登ったら直ぐ出口だからっ!」
「こういうのはプラスに考えんだよ。ずっと坂になってるよりはるかにマシだろ」
「それは…まぁ、そう、だけど」
「ならがっくん!おんぶしたげよっかっ!? 背中、空いてますよっ!?」
「寝言は寝て言え」
「ひどいっ!?」
「でしたら手、お貸ししましょうか?」
「あっ…いえそんなっ、会長の手を煩わせるわけには」
「なにこの対応の差っ!?」
全員に見守られ励まされながら、今にも死にそうな顔で足を引きずるように頂上目指す。
そんな光景を1番後ろから眺めた安積は、ここに皆で来れた事に、一緒に来てくれた皆の優しさに感謝の笑みを浮かべると、思い出の1枚を写真に残し、皆の背中を追いかけた。
「……あれ、ここって」
「もしかして…大本堂??」
「…………」
公園を出て再び相まみえた人混みにうんざりしつつも、後はちょろっと寄り道して帰るだけだと気合いをいれ歩き始めると、直ぐに見覚えのある光景が目に入る。
「と言うことは、あれか。大本堂挟んで両側に入口あったってことか」
「で、滝はこっちの入口付近だったって事ね」
「……ごっ、ごめんっ、がっくん!!」
「は?なにが?」
入口は2ヶ所あって、滝は入口近くにあったはずと安積が言っていたのも間違いではなく、ただその入口が違う場所だった。
ただそれだけだった。
特段それになにかを思うわけでもなく “ だだそうだったのか ” くらいにしか思ってはなかった鈴橋は、突然肩を掴み焦ったように謝罪する安積に分けもわからず聞き返すとその目が泳いだ。
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