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- 27章 -
- 謹賀新年-
しおりを挟む「ちょっ、まじかっww」
「これはあれだな。恐ろしく遠回りしたなぁ」
「やー…よもやよもやだわぁー…がっくんにぶちギレられなきゃ良いなぁ(;´д`)」
「まぁ、大丈夫じゃね?多分。学もそれなりに楽しんでるっぽいし」
「それは、そうかもだけど…」
「それにほら、お楽しみは最後にって言うだろ」
「うわぁー、詭弁すぎるww」
「嘘も方便って言っとけ」
発覚してしまったうっかりな事実に不安そうな表情を浮かべる安積へ、浮御堂や水琴窟へ連れていきたかったのも本当だったろとフォローを入れると苦笑を交わしあい、携帯を仕舞うと名残惜しい気持ちを押し込めそろそろ戻ろうとした。
その時。
不意に目に入った道に足を止める。
「なぁ、安積。あれ、あそこの細い階段ってどこ続いてんの?ってか、通れる…のか?」
来た道を戻ろうと背を向けていた安積だったが、市ノ瀬の問いに同じように足を止め振り返る。
市ノ瀬の目にたまたま止まったその道は、人1人分程の幅しかない階段だった。あまりにも狭くひっそりとしている為、通れるかどうかも些か疑問だ。
「あぁ、そこ?通れるよっ!確かこっち登った道と同じ道に出れたはず!」
「じゃぁ、こっち通ってこ」
「えっ? …なんでわざわざそんなトコ?」
「別に、なんとなく?」
「なんとなくってw まぁ良いけど…転けるなよ?」
「転けねぇよ」
石で作られた階段は所々苔が生え濡れており、地味に高さもあるので少し危険だ。注意を促すとお先にどうぞとでも言うように道が開けられ、遠慮なく前を通ると階段に足をかけた。
階段はさほど長くはなく途中で曲がるL字になっている。分かりづらく通れるかも怪しい場所な上、足場も悪いとくれば、わざわざこの階段を使おうとする人などほぼ居ない。
岩場に手を沿えながら慎重に登っていく。
丁度L字を曲がり二段ほど登った所だった。突如肩を捕まれ転けそうにでもなったのかと振り向き声をかけようとするが、真っ直ぐ見据える真剣な目に見詰められ、その声は息と共に飲み込まれる。
そしてほんの数秒、時間が止まった。
「………」
「ほら、行くぞ」
突如おでこに触れた暖かさに、それ以上の暖かさが瞬時にして顔に集中するのを感じる。
咄嗟におでこを押さえ込んだ手の冷たさは、冷やすにはどうやら少しばかり役不足なようだ。
そんな事などお構い無いしに何事もなかったかのように先を促す市ノ瀬に、あえて反発し登りかけていた足を降ろした。
「どうしたよ?」
「…今ので終わり?」
「……言うようになったなぁ」
それでも一応人目をはばかり、微かに差し出したおでこに触れるだけのキスが落とされると急速に訪れた幸福感に穏やかな笑みを交わし合った。
そして今度こそ班乃等と合流するため来た道を引き返し始める。
一方その頃ー
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