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- 27章 -
- 謹賀新年-
しおりを挟むけれど、どうしても最悪の展開を考えてしまうと少し躊躇してしまう。
幅がある安定した平均台だって、低いか高いかで恐怖度合いが変わる。そんな感じだ。
『大丈夫大丈夫。ちゃんと足元見て歩けばー』
「………えっと、がっくん?」
「…え? あぁ、悪い。子供じゃないんだし、余計だったな」
小さく息を吐き気持ちを落ち着かせ足を踏み出そうとした瞬間、目の前にスッと差し出された手に思わず戸惑いの声がもれる。
顔をあげると先に行ったはずの鈴橋がわざわざ道を引き返し手を差し出していた。戸惑い見上げると、申し訳なさそうな表情を浮かべて即座に手を引っ込めてしまった。
職業…ではなく環境がらだろうか。躊躇する事なく手を差し出す姿はー
「~~っ、かっこよっ!?」
「は?」
「なんか頼れるせんせーって感じっ!!きゅんときたっ!!」
「……いや、意味分からん」
「なんか御光さしてたっ!」
「御光って…」
「お兄ちゃんで先生でたまにデレるとか最強だなっ!!」
「……先行ってる」
「あぁっ、待って!!」
隠すことない溜め息をつくとクルリと背を向け歩き始める鈴橋に続き飛び石を渡り始める。が、先程とは違い距離を開ける事なく、なにかあったら手の届く距離を保ち歩く鈴橋に胸が高鳴るのを感じる。
『良いな、こう言うの…俺もこんな然り気無い気づかい出来る人になりたい』
そんな2人を少し離れた所から眺める3人はー
「やー、小さくて可愛い子達が戯れてるのは癒しだなぁー…やばぁー」
「気持ち分からなくもないですけど、学君は言うほど小さくないですからね?平均ちょい下くらいですよ。落ち着いて下さい」
「お前らが地味にでかいんだよ。ってかあいつ、何気に男前だな」
「学君ですか?密かに紳士的ですよね」
「そうでしょそうでしょっ!男前でかっこ良くて紳士なのっ!たまらんでしょ!」
と言うノロケ話に花を咲かせていた。
戸惑う安積に駆けつけ手を差しのべ、今度は寄り添うようにして歩き始める。そんな一連の行動に頬が緩んでしまう。
表情や言葉こそは冷ややかだけれど、その行動には優しさが滲み出ていてー
『ほんとにもうっ、そう言うところだよっ!』
そんな所がたまらなく大好きなのだ。
1人身悶えて居ると不意に突き刺さる視線を感じ、その方向へと顔を向けると、班乃と市ノ瀬からなにやら意味深な目が向けられていた。
「え、なに…?」
「……もしかして、綾雪って」
「うん?」
「……………猫?」
「 猫? …ねこ…ねー…ねっ!?ちっ、違うよっ!?違うからっ!多分っ!!ってかそんなんまだだしっ!!」
「え、まだなの?」
「もうなのっ!?」
「なんですって?」
「………はよ行くぞ」
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