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- 27章 -
- 謹賀新年-
しおりを挟む全員で参拝出来なかったのは残念だけれど、これはこれで良い思い出になるのは間違いないだろう。鈴橋の優しさがそう確信させてくれる。
「そっか。そーだよねっ!!じゃぁ、今年はがっくんと一緒にこっからお参りにしよっ!!ありがとう、がっくんっ!」
「…礼を言われる筋合いはない。別に感謝される事なんて言ってないし」
『冷たっwW』
けれどそんなぶっきらぼうで愛想のない言い方も、いかにも鈴橋らしく自然と穏やかな笑みがこぼれた。市ノ瀬はそんな態度を損してると言っていたけれど、そういう時もあるかも知れないけれど、それでも鈴橋が優しいと言うことを知っている。
友達だからこそ知れる鈴橋があるというのはある意味友達としての特権でもあり、嬉しく思ってしまうのも誤魔化しようもない。
「よっし、じゃぁー、何お願いしようかなぁ!」
と言いつつも、願うことは決まっていた。あの日、クリスマスイブの日、決めたことだ。
“ 市ノ瀬との幸せがずっとずっと続きますように ”
『でもお賽銭してないし……幸せが続くように頑張るから見守っててください、にしとこうかな』
神頼みの他力本願ではなくやはり自分の努力が1番大切な筈だ。見守られていると思えば何があってもその願いを叶える為に頑張れるような気がした。
「ところでがっくんはなにお願いするの?」
「……諸願成就」
「秘密ってことねっ!ww」
『ま、それもそっかw』
言ってしまうと叶わないというのは良く聞く話だ。追って聞くことはせず、目をつぶり合わせた両手を持ち上げた鈴橋にならい安積も両手を合わせた、その時。
「おーいっ!!ふたりともぉーー!!」
「あれっ、綾っ!? と、皆っ!?」
列に並んでいた筈の班乃ら3人が人混みを縫いながら安積達の元へと向かってくる姿を捉えた。まだ連絡もしていないのに、こんな人混みの中で自分達を見つけてくれた事に感動すら覚える。
「すごっ!良く俺らの事見つけたねっ!?」
「安積の髪は目立ちますからね」
「なんだろうっ!?嬉しいのにこの素直に喜べない感じっ!?」
「自分で頭目印って言ってたじゃねぇか」
「……確かにっ!!w」
「植野達は参拝終わったのか?」
「いや?」
「えっ、折角並んだのに抜けてきちゃったのっ!?」
あんな長蛇の列を並んだのに、わざわざ抜けてきてしまうなんて…
「ごめんね…俺のせいで」
「何言ってるんですか。良いことをしたんですから、安積が謝ることなんてないですよ」
申し訳なさそうに俯く安積の肩に班乃の手か置かれると、おずおずと班乃へと視線が向けられる。
そんな上目遣いに
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