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- 27章 -
- 謹賀新年-
しおりを挟む後ろを歩く3人…と言うより疲れ果てた鈴橋にようやく気がついた安積等も心配の言葉を口にするが、引き返すにも休憩所に行くにもしんどいには違いなくて…
「…いや、いい。平気。全員で初詣行くの、楽しみにしてたのも本当だし…このまま行く」
「「「「…………………」」」」
「…なんだよ?」
人混みは嫌い。今すぐ帰りたい。
けれど冬休み前に言った “ 全員で初詣に行くのも悪くない ” という言葉も嘘ではない。
予想以上にしんどいのも事実だけれど…
進んでも戻ってもしんどいなら、進む方が良い。
鈴橋にとってはただそれだけの事だったのだけれど、何故だか一挙に全員の視線を受け流石に少したじろぐ。
「いっ、今のはちょっとときめいたなぁっ!?」
「はぁ?なに言っ」
「これが俗にいうギャップ萌えか」
「ぎゃっ、ぷ……」
「可愛いですねって事ですよ」
「かっ…!?」
「あっきーっ!?」
「ちょっと、どうして僕にだけ怒るんですか w ただ、こう言う所に落ちたんだなって思っただけですよ」
「っ!!」
「「落ちた?」」
「……良いから気にしなくてっ」
自身に向けられた言葉の数々に困惑を浮かべる鈴橋だったが、返答を返すよりも早く他の話題へと移り変わってしまっていた。
一先ず悪口を言われた訳ではなさそうだし、それならそれで別に良いかとこれから挑む階段へと深呼吸をし1人気合いをいれるのだった。
総門をくぐり階段へと向かう道の両側にはお目当ての1つである屋台が出ていたのだが、こうも人と人とが押し合っている所で食べるのは…というより、買うのも難しく…
泣く泣く諦め、大本堂を目指していく。
普通に歩けばほんの数分の距離を何十分もかけ、ようやく大本堂まで1/3程の距離を歩くと重要文化財に指定されている仁王門までたどり着いた。
「あちら側に安置されてたのが朱振りの仁王尊、こちら側に居るのは…福徳を授ける多聞天と、仏心を起こさせる廣目天だそうですよ」
「福徳と仏心……ねぇ」
「睦月、なにを考えてるのかはなんとなく分かりますが、信仰心が強い方も居るので控えてくださいね」
「…りょーかい」
班乃の言葉に興味なさげな返事を返し後ろを振り返ると、安置されている2体の神様を見上げる。しげしげと眺めたその御尊体は仏心と福徳と言うには…
『恐怖政治…』
思わずそんな感想が思い浮かんでしまう程、とてもとても力強いご尊顔をしていた。
『この神より、よっぽどこいつの方がそれっぽいよなぁ』
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