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- 26章 -
- クリスマスおまけ③ OB組 -
しおりを挟む「てっちゃん!」
「…なんだよ?」
「久々だねっ! 3人揃うの!」
「そうだな」
「楽しみだねっ!!」
「…そうだな」
ルームミラー越しに見える長谷川は、嫌そうで素っ気ない言葉とは裏腹に優しげな声色と表情を浮かべている。
なんだかんだ言っても長谷川はこうして自分の事を、自分達の事をいつでも支え見守ってくれる。その事に今までどれだけ助けられてきたのか分からない。
そしてそれは今も変わらずで…
月影も長谷川に救われた1人であり
そんな月影にも、自分は助けられてきた。
自分達の始まりは、 “ 長谷川 ” だった。
自分を見失いそうになった時、何かに悩んだ時、長谷川の言葉がいつだって立ち直らせてくれる。いつまでも甘えて居ては駄目なのだと分かっては居るのだけれど、つい長谷川の言葉を求めてしまう。
それはー
「ねー、てっちゃん」
「んー?」
「俺ってかっこいい?」
「…それは平凡な俺への嫌味か?」
「違うよー??そんなわけないじゃん!てっちゃんの事は今も昔も格好良いって思ってるしっ! 」
「嫌味にしか聞こえねぇからなそれっ!?まぁー…でも、そうだなぁ。お前は初対面の印象が強すぎたし…まだ小さくて可愛い印象のままだよ」
「それは身長コンプレックスだった僕への嫌味?」
「違うよー?」
「たまにてっちゃん意地悪だよねー」
「良いだろたまには。まっ、お前がでかかろうと小さかろうと、格好良かろうと悪かろうと、俺には関係ない事だよ。今も昔もお前とつるんでるのはお前の中身が気に入ってるからだし」
いつだって欲しい言葉をくれるから…
「…そーゆーのは女の子に言えば良いのに」
「お前達以外に言いたい子が居れば言うさ」
「あーぁ、てっちゃんが女の子だったら絶対彼女にしてたのになぁ」
「残念だったなw」
あまりのストレートさに恥ずかしさを冗談で誤魔化しながら、外へと視線を向けている長谷川の横顔をミラー越しに見る。
学生だった頃とは違い大人としての風貌に変わっているけれど、やはり長谷川は長谷川のままだ。
高校生の頃、日本人ではないと言うこと、その見た目が起因とする揉め事で通ってた学校から静創学園へ転入する事になった。
不安だらけではあったが転入初日から…正確にはその少し前だけれど、その時から長谷川は見た目で人を決めつける事も差別する事も決してせず、個として自分を認め救いだしてくれた。何度感謝してもしきれない。
そんな唯一無二の親友で、そんな長谷川がもし女性であったなら月影と奪い合う日もあったかもしれない。
そう思ってしまう程にはー
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