Pop Step

慰弦

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- 26章 -

- Merry Christmas -

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鈴橋がこのマフラーを選んだ時から押さえ込んでいた喜びが溢れ一方的に喋ってしまっていたけれど、ただただ口を閉ざし目の前にある並んだタグを見つめるだけの様子にハッとする。

もしかしたら鈴橋にとってそんな偶然は嬉しくもなんともなかったのかも…お揃いが嫌なのかマフラーが嫌なのかは分からないけれど、一抹の不安が過りその顔を覗き込む。

パッと目が合うと眉を寄せなんとも泣きそうな顔をした鈴橋がお揃いのタグがついたマフラーで顔を隠した。


「がっくん……?」

「別にー」

「うん?」

「……鬱陶しくなんてない」

「へ?」

「不安になる必要もない。俺もお前と同じだから」

「……えっと」

「こんな事ってあるんだな…」

「ね、びっくり、だよね?」


『これは、どういう反応?』

顔を隠してしまっている為に感情が読みづらく喋り声は至って普通に聞こえるが、くぐもってしまっているせいでそれすらも確信が持てない。

戸惑っている間に進んでいく言葉に置いてけぼりにされてはいるが、喜んでいるのか単純に驚いているのかは分からずとも、ただ嫌がられた訳ではない事だけは確かそうでほっと胸を撫で下ろす。


「……凄い。凄いな。ありがとう……嬉しぃ。ありがとう、綾雪」

「………うん」

「お揃いか……お揃い。お揃い…」


ポツポツと噛み締める様に、確かめる様に何度も呟くと、半分だけ顔を上げ植野を見たその目元に優しげな笑みが浮かんだ。


「他の誰かじゃなくて…」

「うん」

「綾雪とお揃いで良かった」

「…そか」

「大事に、する。ずっと」

「………」
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