Pop Step

慰弦

文字の大きさ
上 下
877 / 1,142
- 26章 -

- Merry Christmas -

しおりを挟む


準備も滞りなく終わり、リビングは見事賑やかに飾り付けられていた。そんな中ー


「えっ、俺にもですかっ!?」

「当たり前じゃないか」


色とりどりの料理が並べられた食卓を囲んだパーティーも中盤に差し掛かるという頃、プレゼントを取り出した鈴橋両親から綺麗にラッピングされた小箱が植野へも手渡された。


「すいません…ご馳走になった上にプレゼントまで」

「遠慮なんてしないで良いのよ?皆植野君の事大好きだし、もう家族みたいなものだから。ねぇ、2人とも?」

「うんっ!綾にぃ好きー!!」

「…………」

「…俺も大好きっ!!ありがとうございます!!」


それとなく鈴橋に送った視線は見事にスルーされたけれど、照れた様に視線を反らし料理に箸を向ける姿もこれはこれで可愛らしく、寧ろここで好きだと言われたら逆にどう反応したら良いのか分からなくなりそうだしと、寂しいけれど少しだけホッとした植野だった。


「あの、開けてみても良いですか?」

「もちろん!何が良いかなって悩んだんだけれど、学から最近充電持ち悪いって言ってたって聞いたから」

「あっ、ポータブル充電器! そうなんです、最近すぐ切れちゃって…ありがとうございます!!」

「喜んで貰えて嬉しいわっ!」


わざわざプレゼントを用意してくれていたこともだけれど、自分が何気なくぼやいた言葉を鈴橋が覚えていてくれたこともかなり嬉しい。


「実は母さんからもがっくん達にってプレゼント預かってて」

「おばちゃんからっ!?」

「そうなの?なんだか申し訳ないわ…急に誘ったのだし気にしなくても良かったのに」

「良いんですよ。母がしたくてやってるだけ、というか、こんなに沢山ご馳走してもらってなにも用意しないのは申し訳ないですから!」

「ねぇ綾にぃっ!開けていい!?」

「良いよっ!!」


目を爛々とさせて床に降りプレゼントに手を掛け開ける準備万端な紗千に答えると、丁寧にリボンをほどいていく。

セロテープに悪戦苦闘する紗千を皆で見守りながら、その手に持ち上げられたのはー


「あらっ!」

「可愛いーー!!」


フード付きの白のフェイクファーで閉じられているピンクのポンチョと、それとお揃いのミトンの手袋だった。


「素敵ねっ!ポンチョってリュックの上からでも手軽に着せられるから便利なのよ!さすが、分かってらっしゃるわぁ若子さん」

「見てママっ!!お耳ついてる!うさぎさん!可愛いっ!!可愛いーー!!」

「家俺しかいないので、女の子の洋服選ぶのめっちゃ楽しかったって言ってました」

「あっ、分かるわぁーその気持ち!男の子物ってデザインも可愛いの少ないし、それでなくても学は小さい頃からシンプルなのばっかり選ぶから…」

「…なんか、ごめん」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた

翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」 そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。 チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

初恋はおしまい

佐治尚実
BL
高校生の朝好にとって卒業までの二年間は奇跡に満ちていた。クラスで目立たず、一人の時間を大事にする日々。そんな朝好に、クラスの頂点に君臨する修司の視線が絡んでくるのが不思議でならなかった。人気者の彼の一方的で執拗な気配に朝好の気持ちは高ぶり、ついには卒業式の日に修司を呼び止める所までいく。それも修司に無神経な言葉をぶつけられてショックを受ける。彼への思いを知った朝好は成人式で修司との再会を望んだ。 高校時代の初恋をこじらせた二人が、成人式で再会する話です。珍しく攻めがツンツンしています。 ※以前投稿した『初恋はおしまい』を大幅に加筆修正して再投稿しました。現在非公開の『初恋はおしまい』にお気に入りや♡をくださりありがとうございました!こちらを読んでいただけると幸いです。 今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

私の事を調べないで!

さつき
BL
生徒会の副会長としての姿と 桜華の白龍としての姿をもつ 咲夜 バレないように過ごすが 転校生が来てから騒がしくなり みんなが私の事を調べだして… 表紙イラストは みそかさんの「みそかのメーカー2」で作成してお借りしています↓ https://picrew.me/image_maker/625951

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

チャラ男会計目指しました

岬ゆづ
BL
編入試験の時に出会った、あの人のタイプの人になれるように………… ――――――それを目指して1年3ヶ月 英華学園に高等部から編入した齋木 葵《サイキ アオイ 》は念願のチャラ男会計になれた 意中の相手に好きになってもらうためにチャラ男会計を目指した素は真面目で素直な主人公が王道学園でがんばる話です。 ※この小説はBL小説です。 苦手な方は見ないようにお願いします。 ※コメントでの誹謗中傷はお控えください。 初執筆初投稿のため、至らない点が多いと思いますが、よろしくお願いします。 他サイトにも掲載しています。

『これで最後だから』と、抱きしめた腕の中で泣いていた

和泉奏
BL
「…俺も、愛しています」と返した従者の表情は、泣きそうなのに綺麗で。 皇太子×従者

BlueRose

雨衣
BL
学園の人気者が集まる生徒会 しかし、その会計である直紘は前髪が長くメガネをかけており、あまり目立つとは言えない容姿をしていた。 その直紘には色々なウワサがあり…? アンチ王道気味です。 加筆&修正しました。 話思いついたら追加します。

処理中です...