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- 26章 -
- Merry Christmas -
しおりを挟むしかし誰かに見られてしまう可能性が0ではなかったとは言え、結果的に困る事なく自身の意向を遂げることは出来た。
それがもし絶対的に遂げることが出来ない状況なら…
『確かに、困る……』
「…じゃぁ、もう言わないようにす
「するとか、
言わないで欲しいんだよねっ!!」
『言うと思ったっ!言うと思ったっ!!』
0か100、白か黒しかないような傾向にある鈴橋の事だ。言わないという選択肢を取るだろう事はなんとなく分かっていた為被せるようにして制止する。
「だって嬉しいじゃんっ!そんな事言ってくれるなんてさ!なら困る方が良いしもっと困らせて欲しいって思うよっ!」
「……」
「好きな人を好きでいる限り困らない事なんてないよ。だから無理だって言ったの。…それとも困らないようになって欲しい?」
「…その言い方は、卑怯だな」
「そぅ?ごめんね」
「………」
先回りしたようなタイミングで放たれた植野の言葉に顔を出した若干の苛立ちはその後の発言により見事に引っ込み、上がっていく心拍数を落ち着かせる為隣に居る妹の頭を撫でると2人の会話に注視して居なかった妹が嬉しそうな笑い声を上げた。
「って言っても、嫌いになれって言われても無理だろうけどね」
「…馬鹿言ってないでいい加減黙れ。真剣に考えて損した。お前なんか…一生勝手に困ってろ」
「いっ……しょーぉ…」
「ぁ。母さん買い物終わったって。さっさと袋詰めして合流するぞ」
「ぁっ、うん」
会計を済ませ何事もなかったような顔をした兄と、満面の笑みで意気揚々とかごを持ちサッカー台へと向かう妹の後を植野は強烈な一撃を貰ったかのような頭のまま追いかける。
万一に備え妹の背中に触れるか触れないかの位置に待機させているその手の優しさや、照れ隠しで遠回しになる好きの言葉、不意に視線を投げ掛けられたかと思えばー
『っ、どーにかなっちゃいそうっ』
一瞬はにかんで見せた笑みも、何もかもが愛おしい。
『好き…好きっ!!』
鈴橋に習い紗千の背中に手を添える。
という免罪符の元、然り気無く鈴橋の手に触れる。
キリスト様もきっと今日くらいは赦してくれるはず。
『容認派も居るみたいだし、それにほら、そうじゃなかったとしてもまだなにもしてないし…なにもして………いや、ちょっとした、になるのか?分からないけど』
していたとしても信教の自由の国だし、寧ろ無宗教だし、というか本来の意味で今日という日を祝ってる人の方がきっと少ないだろうし。
この国では他宗教の祝い事の良い所だけにあやかった所で怒られもしないだろう。という言い訳も出来るのでなにも問題はない。
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