872 / 1,151
- 26章 -
- Merry Christmas -
しおりを挟むしかし誰かに見られてしまう可能性が0ではなかったとは言え、結果的に困る事なく自身の意向を遂げることは出来た。
それがもし絶対的に遂げることが出来ない状況なら…
『確かに、困る……』
「…じゃぁ、もう言わないようにす
「するとか、
言わないで欲しいんだよねっ!!」
『言うと思ったっ!言うと思ったっ!!』
0か100、白か黒しかないような傾向にある鈴橋の事だ。言わないという選択肢を取るだろう事はなんとなく分かっていた為被せるようにして制止する。
「だって嬉しいじゃんっ!そんな事言ってくれるなんてさ!なら困る方が良いしもっと困らせて欲しいって思うよっ!」
「……」
「好きな人を好きでいる限り困らない事なんてないよ。だから無理だって言ったの。…それとも困らないようになって欲しい?」
「…その言い方は、卑怯だな」
「そぅ?ごめんね」
「………」
先回りしたようなタイミングで放たれた植野の言葉に顔を出した若干の苛立ちはその後の発言により見事に引っ込み、上がっていく心拍数を落ち着かせる為隣に居る妹の頭を撫でると2人の会話に注視して居なかった妹が嬉しそうな笑い声を上げた。
「って言っても、嫌いになれって言われても無理だろうけどね」
「…馬鹿言ってないでいい加減黙れ。真剣に考えて損した。お前なんか…一生勝手に困ってろ」
「いっ……しょーぉ…」
「ぁ。母さん買い物終わったって。さっさと袋詰めして合流するぞ」
「ぁっ、うん」
会計を済ませ何事もなかったような顔をした兄と、満面の笑みで意気揚々とかごを持ちサッカー台へと向かう妹の後を植野は強烈な一撃を貰ったかのような頭のまま追いかける。
万一に備え妹の背中に触れるか触れないかの位置に待機させているその手の優しさや、照れ隠しで遠回しになる好きの言葉、不意に視線を投げ掛けられたかと思えばー
『っ、どーにかなっちゃいそうっ』
一瞬はにかんで見せた笑みも、何もかもが愛おしい。
『好き…好きっ!!』
鈴橋に習い紗千の背中に手を添える。
という免罪符の元、然り気無く鈴橋の手に触れる。
キリスト様もきっと今日くらいは赦してくれるはず。
『容認派も居るみたいだし、それにほら、そうじゃなかったとしてもまだなにもしてないし…なにもして………いや、ちょっとした、になるのか?分からないけど』
していたとしても信教の自由の国だし、寧ろ無宗教だし、というか本来の意味で今日という日を祝ってる人の方がきっと少ないだろうし。
この国では他宗教の祝い事の良い所だけにあやかった所で怒られもしないだろう。という言い訳も出来るのでなにも問題はない。
0
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説


笑わない風紀委員長
馬酔木ビシア
BL
風紀委員長の龍神は、容姿端麗で才色兼備だが周囲からは『笑わない風紀委員長』と呼ばれているほど表情の変化が少ない。
が、それは風紀委員として真面目に職務に当たらねばという強い使命感のもと表情含め笑うことが少ないだけであった。
そんなある日、時期外れの転校生がやってきて次々に人気者を手玉に取った事で学園内を混乱に陥れる。 仕事が多くなった龍神が学園内を奔走する内に 彼の表情に接する者が増え始め──
※作者は知識なし・文才なしの一般人ですのでご了承ください。何言っちゃってんのこいつ状態になる可能性大。
※この作品は私が単純にクールでちょっと可愛い男子が書きたかっただけの自己満作品ですので読む際はその点をご了承ください。
※文や誤字脱字へのご指摘はウエルカムです!アンチコメントと荒らしだけはやめて頂きたく……。
※オチ未定。いつかアンケートで決めようかな、なんて思っております。見切り発車ですすみません……。


学園の俺様と、辺境地の僕
そらうみ
BL
この国の三大貴族の一つであるルーン・ホワイトが、何故か僕に構ってくる。学園生活を平穏に過ごしたいだけなのに、ルーンのせいで僕は皆の注目の的となってしまった。卒業すれば関わることもなくなるのに、ルーンは一体…何を考えているんだ?
【全12話になります。よろしくお願いします。】
孤高の羊王とはぐれ犬
藤間留彦
BL
クール美形α×元気で小柄なΩ。
母の言いつけを守り、森の中で独り暮らしてきた犬族のロポ。
突然羊族の国に連れて来られてしまう。
辿り着いたのは、羊族唯一のαの王、アルダシール十九世の住まう塔だった。
番候補として連れて来られたロポと孤高の王アルダシールに恋心は芽生えるのか?
※αΩに対して優性劣性という独自設定あり。ご注意下さい。
素敵な表紙イラストをこまざき様(@comazaki)に描いて頂きました!ありがとうございます✨

ある少年の体調不良について
雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。
BLもしくはブロマンス小説。
体調不良描写があります。


そんなの真実じゃない
イヌノカニ
BL
引きこもって四年、生きていてもしょうがないと感じた主人公は身の周りの整理し始める。自分の部屋に溢れる幼馴染との思い出を見て、どんなパソコンやスマホよりも自分の事を知っているのは幼馴染だと気付く。どうにかして彼から自分に関する記憶を消したいと思った主人公は偶然見た広告の人を意のままに操れるというお香を手に幼馴染に会いに行くが———?
彼は本当に俺の知っている彼なのだろうか。
==============
人の証言と記憶の曖昧さをテーマに書いたので、ハッキリとせずに終わります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる