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- 26章 -
- Merry Christmas -
しおりを挟む「それはなんというか…俺が考えすぎてたからっていうか、勝手に色々決めつけて勝手に困ってただけというか…」
『そんなに難しい事じゃないって言ったのはどこの誰っ!!?俺かっ!!?』
掘り下げれば掘り下げる程新たな問題が浮き出てくる上に会話も巡り、自分まで混乱してしまいそうだ。
否、ちょっと混乱してる。そもそも感情に100%の答えなんてないのだし、白黒ハッキリつけるという事自体無理なことなのかもしれない。
「でも困ってるから駄目って訳でもなくて…えっと」
「…困らせないように相手を配慮しての要望がお願いで、多少困ることがあっても好きな相手からなら受け取りての気持ち1つで我が儘もお願いになるって事で良いか?」
「そっ、そう!そんな感じ!!」
「そうか。線引きが難しい所だな」
『さすががっくんっ! だけど朧気に悔しいっ!』
意気揚々と伝えるつもりだったのに鈴橋からの問いに対して回答がとっ散らかり混乱してしまった。しかしその間にも鈴橋はさらりと話をまとめ上げ既に新たな課題にも向き合い始めているようだ。
少しでも力になれたのなら嬉しいけれど、力不足に落ち込んでしまうのは隠しようがない…
『…本当、頭の回転早いんだから』
「なんかごめん…」
「なにが?」
鈴橋が植野の力不足に対しなにも気にしていないとしても、植野自身は気にしないで居る事など出来そうもなかった。
我が儘をお願いと思えないかと提案したのは自分自身なのだから尚更の事だ。
「自分で言って悩ませたくせに、たいして力になれなかったから…」
「なんで? 助かってるけど」
「そう言ってくれるのは嬉しいけどまだまだ力不足だなぁーって思っちゃってさぁ。上手くまとまんなくて “なんで” にちゃんと答えられなかったし」
『語彙力ってどーすれば上がるんだろ。
…足りないのはそれだけじゃない気もするけど』
様々な物に興味を持ち、あちこちとはしゃぎ歩き回る紗千を見失わない様にその後をついて回りながら力不足を嘆きながらも改善策を考える。
出来ない足りないと言うのは誰だって簡単に出来るのだ。それだけじゃ駄目だ。
鈴橋の為にも少しでも良い自分になりたい。
これは鈴橋の為でもあるけれど、勿論自分の為でもある。自分自身の成長の為。
自分自身の自尊心を守る為にも。
そんな自分の思いを知ってか知らずか、当の鈴橋と言えばなんだか不思議そうな表情で小首を傾げ無遠慮に見上げてくる。
状況が違えば可愛らしく感じる筈のそんな仕草も、今は自分の情けない所をまじまじと見られている様に思えて居心地が悪い…
きっと鈴橋の頭の中では何をどう伝えようか一生懸命考えているのだろうけど…情けないやら恥ずかしいやらで顔が見れず視線を反らした。
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