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- 26章 -
- Merry Christmas -
しおりを挟む良く言ってくれているけれど騒がしいのが好きではないのは良く知っている。身内の色目なしに見ても若子は鈴橋がもっとも苦手とするタイプだ。
「本心だよ。お前がこんな良い奴に育ったのは若子さんのおかげでもあるんだし。感謝してる」
「やだっ、誉め殺しっ!?」
「言ってろ」
「 ありがとーがっくんっ!!」
『もうっ!可愛いなぁ、もうっ!』
言葉を借りるならば良いやつなのは鈴橋の方だ。苦手でも文句1つ言うことなく今度は一緒にと誘ってくれた上、母のみならず自分の事までも間接的に誉めてくれるのだから。
クレープの時と言い名前呼びの件と言い、本当に努力家でありその努力が自分に向けられているのが堪らなく嬉しくてしょうがない。
自分こそ、こんな良い子に育ててくれて有り難う御座いましたと、声を大にして言いたいくらいだ。
「行くか」
「あっ、うん!」
足並み揃えてデパート内へと向かいながら植野は今日の待ち合わせを提案された時から密かに疑問に思っていたことを鈴橋へと投げ掛ける。
「ところでさ、なに買いに来たの??」
元々は午後から鈴橋母と妹、自分達とでパーティーの買い出しをという話だったのだが今はまだ午前中だ。買いたい物があると言っていたが、わざわざ自分達だけ時間を早めてまで買いたい物とはなんなのだろうか?
その問に立ち止まり難しい顔をしたかと思うと植野を見上げた鈴橋から、鈴橋特有の無言で思考を巡らせつつ見つめられるというなんともソワソワする時間が流れる。
「………」
「がっくん?」
「さぁ。分からない」
「えっ?」
「だから適当にまわる。付き合わせて悪い」
「いやいやっ!ぜんっぜん大丈夫だよっ!!一緒に居られるだけでも嬉しいし」
「そうか。そう言ってくれると助かる。ありがとう」
『別に助けようとか気をつかったとか、そういう訳じゃないんだけどなぁ』
目的のはっきりしていない時間に付き合わせる事について申し訳ないと言う気持ちも分からなくはない。
ないけれど、感謝の言葉よりも…
『俺も、って言わせたかったなぁ…
……って、乙女かっw』
一緒に居れるだけで嬉しいよ
俺も
なんて、乙女思考がすぎる。
…まぁ、本心だけれど。
足並み揃えてデパートに入ると分からないと言った言葉通り本当に何を買うのか決まっていない様で、財布やキーケースと言った小物や、ボールペンや筆箱と言った筆記具、衣服にハンカチ、今の時期に重宝する手袋や帽子と言った防寒具など、様々な物を手当たり次第に物色している鈴橋に続いて店を回っていく。
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