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- 26章 -
- 幸せの貌 -
しおりを挟む2人に嫌な思いをさせているのは全て自分の浅はかさが原因だ。最悪だと罵られても致し方無い。
自分自身すらも多少の危険にさらしたのだし、それに対して警告をしてくれる存在はとても貴重だと思う。
ありがたいことだ。
「好きになった理由の1つのなんて言っておいて…」
「ぅっ、うん」
『好き好き言うなよ…』
自分と違い先程から臆することなく口にする所が、自分ばかり翻弄されている感じと相まって少し悔しい。
「心配も、もちろんあるけど」
「うん」
「……ただの嫉妬だよ。かっこわりぃ」
「……は?」
「いや、いい。いいいい、なんでもない。忘れてくれ」
「………」
「帰るぞ」
深いため息をついて勢い良く立ち上がり、駅へと向かって歩き始めた市ノ瀬の背中を慌てて追いかける。
『え、えっ……何て言った今?え、嫉妬?睦月が?』
早足で進む後ろ姿を戸惑いながら見上げ今しがた彼から発せられた言葉を頭の中で反芻させるとその意味を考える。
『嫉妬…嫉妬って……それって』
「ねぇっ、待って、待ってってばっ!!」
「…なんだよ」
「今のってさっ」
「いいって言ってんだろ別に。俺が慣れれば良いだけなんだから」
「いいよっ!慣れないでっ!」
「……なに言ってんのお前?」
『だってそれって、それだけ俺の事ー』
「好きになったところって言ってくれるなら無理して変えないっ!でも気を付ける所は気を付けるっ!」
「さっき言ったろそれ」
「そうっ!で、それでお前がモヤモヤってしたなら、そん時はー」
「そん時は?」
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「…………」
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