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- 26章 -
- 幸せの貌 - .
しおりを挟む『でも、今頑張らなくてどうするんだっ!』
「…嬉しかったんだよ。観覧車で言ってくれた事全部。1人で背負うなって言ってくれた事とか一緒に背負うって言ってくれた事も、すっごく嬉しかった。
多分、あの時にもう…好きになってたんだ。
酷い態度とっちゃったのにそれでも辛い時はいつも側で支えてくれた事も、本当に本当に嬉しかったんだ。だけど好きって気持ちだけで簡単に返事して本当に良いのかって、色々悩んでる内にタイミング分かんなくなっちゃって…」
緊張で自分から発せられる声が遠くに聞こえ、どこかから流れてくるクリスマスソングがやけに耳に響く。その軽快な音楽が少し憎らしい。
「…お前と居るとしんどいんだよ。もっともっとって我儘になっちゃって、今のままで満足出来なくなってきちゃって。だけど貰うばっかでなんにも出来ない俺が、返事すらしてない俺が、そんなんして甘える権利ないじゃんって……」
市ノ瀬は権利なんて要らないって言うかもしれない。でもそんな彼の好意を一方的に利用しているような関係はもう嫌だった。
「だから、もっとちゃんと前に進みたいって思って」
話の骨子に近づくにつれ現実逃避したくなる心が顔を出す。また先程の様に流されてしまったらもう立ち直れる気がしない。そんな不安にざわめく心に鞭を入れしっかりと市ノ瀬と目を合わせた。
「けど、俺はお前みたいに言いたい事堂々と言える勇気もないし、自信もないし、情けなくなるくらい意気地無しだしっ…だから、なにか切っ掛けが欲しかったんだ」
ギュッと両手を握り引っ込みそうな言葉をなんとか繋ぎ止める。緊張で声が喉に引っ付き、震えて掠れてうまく声が出来ない。
「だから、場の雰囲気に飲まれたんじゃないっ。
背中押してもらったんだよっ!」
格好悪くても、情けなくても、それでもこれが今の全力で、この言葉が、嘘偽りない自分の想いだから…どうか、彼に伝わって欲しいー…
「俺もお前がっ……お前の事がっー…」
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