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- 26章 -
- それは白く輝く -
しおりを挟むあー、外明るい、もう朝か
起きる?
いや、でもまだ気持ち良さそうに寝てるし
起こしちゃ悪いし
なんかすっごく穏やかで
すっごく心地良いし
もうちょっとこのままで…
もうちょっとこのままでー…
何度も目を覚ます度そんな事を思い浮かべながら再び目を閉じる。
お互いすれ違うようにして目を覚ましてはそんな幸せの微睡みを繰り返し、先に起き上がったのは安積だった。
なんだかんだ疲労から風呂にも入らず寝てしまった為気持ち悪さが全身を包み込んでいる。今の内にさっぱりしてこようと起こさないよう立ち上がり大きく伸びをする
と
ベッド横の小さめの棚に見覚えのない物が置かれているのが目に止まった。おしゃれな包装紙で包まれ、小さなリボンがシールが貼られている。
そっと市ノ瀬へと視線を投げるがその目はまだ閉じられており、再びそれへと目を向け直す。
見るからに送り物として包装されているそれは自分が置いたものではなく、寝る前まではなかった物だ。
突然姿を表したそれを用意出来るのは自分が寝ている間もこの家に居た市ノ瀬1人しか居ない。
市ノ瀬が自分自身の為にこんな所にこんな物を置いているとは思えないし、市ノ瀬以外に今この家に居るのは自分しか居ない。
とすると、これはー……
寝起きの頭に突然発生した状況に、そのあまりにも予想していなかった事実に、推理とも呼べない推理を巡らせた後おずおずとそれに手を伸ばした。
なるべく音を立てないように包装紙を外し出てきた白い箱をしばし眺める。決して開けたくない訳ではなく自分に宛たものではないと思っているわけでもない。
何が入っているのかというドキドキや彼が自分の為にとわざわざ用意してくれたと言う嬉しさで頭が一杯になり上手く行動に移すことが出来ない。
目を閉じ深く深呼吸すると、ゆっくりとした動作でその箱をあける。
「……これって」
「めり…くり…安積」
「っ!?」
「…はよ」
「おっ、おはようっ!?」
「…………」
まだ眠たそうに枕へと顔を埋め再び口を閉ざす市ノ瀬の様子にもう一度寝入ってしまったのかと思われたが、なんとか起きる方向に向かおうとしているようでくぐもった声でゆったりと口を開いた。
「…サンタは…本当は…明日だけど…別に良いかな…って」
「……う、うん」
「ってか…俺…サンタじゃねぇし…サンタからって渡したかった……わけじゃねぇし」
「うん…」
「ってか、さすがに…サンタ…信じてるわけでは、ないだろうし」
「…それは、もちろん」
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