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- 26章 -
- 貴方に送る祝福と -
しおりを挟む「……あれか? アメリカの…キャプテン」
「じゃぁ、その隣は…3000回愛してると娘に言わしめた偉大なる父…」
「ばっか、それは止めろ馬鹿。泣くだろ…。でもそうだとしたら黄色率高くね?」
「……確かに」
これは中々に自信がない…恐る恐る安積を振り返ると、なんとも言えない悲しげな表情を浮かべている。
…どうやら違ったらしい。
パッと視線を雪像へと戻し他になにかそれっぽいのがないかと頭を巡らせるが、1度それに見えてしまうとそうとしか見えなくなってしまう物で。
チラリと隣を見るとどうやら班乃も同じようで、額に手を当て難しそうな顔をして居た。
「……10、9、8ーー」
「えっ、ちょっ!?」
沈黙に耐えきれなくなったのか、後ろに立つ安積からカウントダウンが開始される。
『なんだこれ、そこはかとなく悔しいっ!!』
再び謎の雪像を食い入るように見つめるが、焦る気持ちからかまったくインスピレーションが降りてこない。
青いのと、黄色と赤のなにかっ
青いのと、黄色と赤のなにかっ!!
「3、2、1、ぜ」
“ ゼロ ” と言いきる直前、隣にしゃがむ班乃が勢い良く挙手をした。驚き見ると、私分かっちゃいました、とでも言い出しそうな嬉しそうな顔をしている。
「えっ、なに? 分かったのか!?」
「恐らくは…」
確信と不安が8対2くらいの表情で挙手をしたまま、班乃が安積を振り返り、そしてー
「これは、あれですね。未来からやって来た、ネコ型ロボットの兄妹ですね?」
「………あっ!」
「ーー~~~っ!! せーかーいっっっ!!あっきー大せいかーいっ!!!」
「あ゛ぁ゛ーー、それかぁっ!!うわっ、なにこれ地味に悔しいっ!!」
挙手した班乃の手に向けて手を打ち付けハイタッチした安積は満面の笑みで拍手を繰り返す。
答えが分かった上で見れば確かにそれはネコ型ロボットで、なんなら一番出来栄えは良い気がする。
両手を上げなおした班乃とその動作にすかさず両手でハイタッチを返した安積の輝かしい笑顔が憎たらしい。しかしこれは完全にヒーローに引っ張られ他の物が思い浮かばなかった己の柔軟のなさが原因であり文句の言いようがない。
「それで、これを僕達に見せようと呼んでくれたんですか?」
1通り喜びを分かち合い良い笑顔を浮かべたまま安積へと問いかけると、一瞬、ほんの一瞬だけ言葉を飲み込んだ安積は班乃へと両手を差し出した。
「これもだけど、これだけじゃないよ!」
差し出された安積の両手を取り立ち上がると、背後に回った安積に背中を押されるようにして閉められている右半分のカーテンの前へと座らされる。
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