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- 26章 -
- 貴方に送る祝福と -
しおりを挟む『答えはっっ!?』
今の間でなにを考えどんな結論に至ったのかと、ものすっごく、ものすっごーく、気になるんだけれど、なんだかホッとしたような笑みを浮かべて食事へと戻る姿に質問の追撃が出来ない。
『まぁ…良いか』
理由がなんだったにせよ鈴橋がしてくれた事でお互い嬉しかったり喜んだり、幸せな気持ちになれるなら理由なんてなんでも良いのかもしれない。
気持ちに区切りをつけ自身も食事へと戻るがー
「正直…」
「うん?」
「良く分からないんだが」
「うん」
「お前が喜ぶと思って」
「……名前呼び?」
「そう。だから、嫌がられなくて良かった」
『あー…もう、そう言う所ですよ』
安積からの誘いに乗った時もそうだったけれど、鈴橋が何かを変えようとするその時は、自分が喜ぶかもしれない、が理由だったりする。
すんなりと変えていっている様に見せかけて、意外にもちゃんと喜んでくれているのかと不安に感じ、答えではなく質問で返してしまう所が…
鈴橋の頭の中の一番……かは分からないが、上位に自分が居てくれる事や悩んでくれていることも、嬉しくて愛しくてしょうがない。
「俺、そのうちがっくんに殺されるかも」
「は?」
「こう……あれだよ、キュン死にってやつ」
「……はぁ?」
この理解していなさそうな返答や少し鈍感な所すらもすべて可愛く見えてしまうのだから、すでに末期な程恋してしまっているという事なのだろう。
『何年経っても同じこと言ってるよぅな気もするけど…』
「そうだ、綾雪はクリスマスどうするんだ?」
「えっ、クリスマス?…えっと、多分なにもしない、かな?」
名前を呼んでくれるのは嘘偽りなくすっごく嬉しいのだけれど、その度に違和感と底知れぬ嬉しさとでソワソワとしてまう。そんな自分の悪さをなんとか冷静さを装い誤魔化すと会話に意識を集中させていく。
「若子さんは?」
「仕事だよ。正月とかクリスマスとかは稼ぎ時だし」
「そう。…じゃぁ、家に来るか?」
「ありがとっ!でもそんなイベント事にお邪魔するのは流石に申し訳ないし、家族水入らずで楽しんでよ!」
「…………」
「……えっと?」
何故だか急激に吹き出しが見えてきそうな程むっとした表情を浮かべた鈴橋に二の句が継げなくなる。好意で言ってくれているのも鈴橋家が自分を親しく思ってくれているのも分かってはいるが、あくまで他人である自分が家族行事に割り込むのはやはり少し気が引けてしまう。
「じゃぁ…」
「うん」
「親と紗千が来てくれって言ったら良いか?」
「それは…」
『そんなの良いって言ってくれるに決まってるじゃん』
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