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- 26章 -
- 貴方に送る祝福と -
しおりを挟む「まぁ、そうだねー。今日はあっきーの誕生日プレゼントを買いに来たんだけど…」
「あぁ、明日か。良いのなかったのか?」
「いや、あったよ。取り置きして貰ってる」
「じゃぁーなん……ちょっと行ってくる」
「いってらっしゃいww」
タイミング良く鳴り響いた出来上がりのベルを険しい顔で止め受け取りに向かった鈴橋を手を振り見送った安積は、浮かぬ顔で小さく溜め息をついた。
「なにかと迷ってるの?」
「うーん…ちょっと他のにした方が良いのかなぁって思っちゃって」
「もっと良いやつ見つけちゃった?」
「いや、別に物が悪いって訳けじゃなくて…まぁ、ちょっとね」
「せーちゃんからなら何貰っても喜ぶと思うけど。なにあげようと思ってるの?」
「…これ、なんだけど」
携帯を何度かタップし、1枚の写真を表情させると植野に向けて差し出した。
『……これって』
その写真は商品のみが写っているだけで価格や性能に関しての説明は一切ない。が、偶然植野も購入を考えた事があるもので…。
確かに機能性の良さはぴかいちだったと思う。
しかし、如何せん高校生が同級生に送るとなると…
「ねぇ、これプレゼントしようって思ってるの、むっちゃんは知ってるの?」
「ううん。何あげるかは言ってない。ただプレゼント買うって言ったら、割り勘にして良いかって言ってくれたから、睦月と俺からって事で渡そうと思って」
「そう」
悩むのも無理はない。市ノ瀬がこれの価値を知っているのか知らないのか、きっちり割り勘かそうでないのかは分からないけれど、割り勘にした所で、という話であって…
「ねぇ、せーちゃん!」
「ん?」
「これ2人からって事だけど、俺も仲間に入っちゃ駄目?」
「え?」
「あっきーには御礼してもしきれない恩があるというか、そんな感じだからっ!3人からって事にしてくれない??」
「……良いの?」
「勿論っ!!」
鈴橋との事をずっと相談に乗ってくれていた事、そのおかげでこうして恋人としての付き合いが出来ている事は感謝してもしきれない。
勿論それだけではない。
少しでも、良い誕生日だったって思って欲しい。
それなのに。
なにも考えてなかったわけではないけれ、どれを選んでも正解ではない気がして手をこまねいていたのも事実だ。
『やっぱりすごいなぁ、せーちゃんは』
自分よりも安積から祝って貰うほうが絶対に嬉しいはずだし、それに…
「明日、パーティーはするの?」
「…ちょっと悩んでるけど多分盛大にはしないかなぁ。誕生日言わなかったって事はお祝いされるの嫌なのかもしれないし…こじんまりやろうかと」
「こじんまりってw」
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