744 / 1,150
- 25章 -
- 幸せの相違 -
しおりを挟む「これは、なかなか難しいなぁw」
「木の実みたいに押し込めないからねぇ」
2枚の花弁を宛がいながらどうしたものかと悩んでいると隣で小さく吹き出す音が聞こえ、何事かと振り向けば笑いを堪える様に口元を隠した兄か楽しそうに弟を見ていた。
「えっ、なに??」
「いや、なんでもないっ! 埋め込むんじゃなくて雪で押さえ込んでみたら?こう、周辺をぐるっとさ」
「成る程! えと…こんな感じ? おっ、良い感じじゃー」
「ふっ」
「ん?」
「…ふっ、あはははっ、もー無理何これっ、最高っww」
「えっ!? なになにっ!?なに急にっ!?」
何かに耐えきれなくなったようで膝を着き笑い始める兄へ不信の目を向けてから今一度雪うさぎを見る。
そんなに笑い転げるほど可笑しいだろうか?
わりと良くできてると思うのだけれど…
「いや、なんかほら、あれ、あれみたいじゃないっ!?3分で星に帰るあの人の目っ!強そーw」
「3分って……あっ!!聖これっ!!狙って作らせたでしょっ!?さっき笑ったのっ!これ企んでたからでしょっ!!」
「だってしょうがないよね、こーしたらそれっぽいって思っちゃったんだもんww」
「もんっ、じゃねーよっ!? 真剣に作ってたのにっ!!」
「失礼だねっ!俺も真剣だよっ!?よし、俺もつーくろー!どんなんにしようかなぁー!」
「真剣に人からかうとか酷くないっ!?」
「あんまり普通のだとつまらないしなぁー」
「ちょっと!?スルーは酷いよっ!?」
非難の声を完全にスルーすると両手で包み込むように雪を寄せ集め、一度力を込めるだけでいとも簡単に体部分を作ってしまった兄に苛立ちもどこかへぶっ飛び無駄に感心してしまう。
そして耳代わりの葉が立てられ、花弁を…
花弁をー…
「……ねぇ、聖。怖い」
「 なかなかイケてるでしょっ!?」
兄の作った雪うさぎは弟のとは違い、目の部分に作った雪の突起に、中央に穴を空けた花弁を引っ掻け…そう、言うなればこう、“ ᯣ ᯣ ” こうなっている。
なんだか、目があっているような気さえしてくる。
「なんか夢に出てきそうww」
「そんなに誉められると照れるよーw」
2つ並ぶ雪うさぎ、といえば聞こえは可愛いけれど、実際のこれは全然可愛くない。なんでこうなってしまったのか…は、一目瞭然兄のイタズラ心と独特なセンスなのだけれど。
でもー
「もう、ホントなにこれっww 怖いし可愛くないし、思ってたのと違いすぎるっww」
「えぇー、これはこれで可愛いと思うんだけどなぁ」
「可愛いというより笑いとりに行ってるよね絶対この雪うさぎ達っ!」
「それは…確かにっw せっかくだし写真撮っておかなきゃっ!!バエだよこれはっ!!ほら、並んで!」
「この雪うさぎとっ!?」
0
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説


心からの愛してる
マツユキ
BL
転入生が来た事により一人になってしまった結良。仕事に追われる日々が続く中、ついに体力の限界で倒れてしまう。過労がたたり数日入院している間にリコールされてしまい、あろうことか仕事をしていなかったのは結良だと噂で学園中に広まってしまっていた。
全寮制男子校
嫌われから固定で溺愛目指して頑張ります
※話の内容は全てフィクションになります。現実世界ではありえない設定等ありますのでご了承ください

そんなの真実じゃない
イヌノカニ
BL
引きこもって四年、生きていてもしょうがないと感じた主人公は身の周りの整理し始める。自分の部屋に溢れる幼馴染との思い出を見て、どんなパソコンやスマホよりも自分の事を知っているのは幼馴染だと気付く。どうにかして彼から自分に関する記憶を消したいと思った主人公は偶然見た広告の人を意のままに操れるというお香を手に幼馴染に会いに行くが———?
彼は本当に俺の知っている彼なのだろうか。
==============
人の証言と記憶の曖昧さをテーマに書いたので、ハッキリとせずに終わります。
【BL】どうやら精霊術師として召喚されたようですが5分でクビになりましたので、最高級クラスの精霊獣と駆け落ちしようと思います。
riy
BL
風呂でまったりしている時に突如異世界へ召喚された千颯(ちはや)。
召喚されたのはいいが、本物の聖女が現れたからもう必要ないと5分も経たない内にお役御免になってしまう。
しかも元の世界へも帰れず、あろう事か風呂のお湯で流されてしまった魔法陣を描ける人物を探して直せと無茶振りされる始末。
別邸へと通されたのはいいが、いかにも出そうな趣のありすぎる館であまりの待遇の悪さに愕然とする。
そんな時に一匹のホワイトタイガーが現れ?
最高級クラスの精霊獣(人型にもなれる)×精霊術師(本人は凡人だと思ってる)
※コメディよりのラブコメ。時にシリアス。


BlueRose
雨衣
BL
学園の人気者が集まる生徒会
しかし、その会計である直紘は前髪が長くメガネをかけており、あまり目立つとは言えない容姿をしていた。
その直紘には色々なウワサがあり…?
アンチ王道気味です。
加筆&修正しました。
話思いついたら追加します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる