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- 25章 -
- 幸せの相違 -
しおりを挟む「って、大丈夫弟君っ!?」
「やだっ、一番被害被ってんじゃんw」
「いや、まぁ…大丈夫、ですけど…」
「駄目だよっ!ふりかかる火の粉は火の粉で相殺しないとっ!!」
「水だけどねっ!ww」
「誰がうまいこと言えとっww」
『いや、そもそも一斉にかけるなんて聞いてないし…聞いてたとしてもこんな盛大にやるなんて普通想像もしないし、全然うまくもないし相殺とかもうわけわからん…』
次々と巻き怒る予想を越えた展開や会話の数々に、髪から滴る水を処理する事すら出来ず呆気に取られるしかない。
「えっ!?待って!!これってお着替えチャンスじゃないっ!?懇切丁寧に暖めてあげるチャンスだよねっ!?」
「お前は引っ込んでろ!!」
「ってか誰!?黒使ったの!レインボーにしようって言ったのに!!」
「虹に黒がないなんて誰が決めた!固定概念良くないっ!!」
「ユニコーンカラーで可愛くしたかったのにっ!」
「発想力の勝利!!」
「えっ、待って、なんか悔しいっ!!」
騒がしく会話を続けながらもそれとなくタオルを手渡してくれた事に謎の関心をしながら、聞こえていないであろうお礼はしっかりと口にする。
『…伝わってない事は言ってない事と同じ、だけど…なんかもうどうでも良いや』
助けを求め兄を探し視線をさ迷わせると、こういう時は大抵中心になって馬鹿をやる筈の兄は少し離れた所でなぜか傍観を決め込み微笑ましそうな笑顔を浮かべている…。
「ねぇちょっとっ!黒使った人!」
「俺っ!」
「弟君にごめんねはっ!!」
「綺麗な金髪が汚い金髪になっちゃってるじゃん!」
『言い方っ!?』
「あぁっ、ごめん!!あの社長の弟とはいえこれはないわ!まじごめんっ!!」
「…いえ、大丈夫です」
『あのって……』
部下と言うより仕事の仲間みたいな感じとは聞いていたけれど、予想以上にその言葉通りで驚きしかない。慌てて近寄って来た彼が頭にかけたタオルを奪い取り、今までの言動や行動に反して意外と優しく髪を拭き始めた。
なんか、もう、全体的に意味が分からない。
分からないのだけど……
「ふっ」
「「「「????」」」」
「あはははははっ、あはははっ!!あはっ!ははっっ!!いい大人がなにやってるんですかもうっ!本当にもーっ!!!聖で慣れてたつもりだったけどなにこの集団っ、意味わかんないっww」
あまりの意味不明さと馬鹿さ加減にもう笑うしかない。こんな雪降る真冬にこの人達は、自分は一体なにをやってるんだろう。
突然大爆笑を始める安積に一瞬ポカンとする一同だったが、それも束の間、直ぐに笑い声があちらこちらから上がってくる。
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