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- 25章 -
- 幸せの相違 -
しおりを挟む「あっ、あぁ、食紅な!!助かるわ!」
「ありがとう!じゃぁ、準備よろしくね!」
「うん! まかせてっ!……ところで」
「ん!?」
「なに隠してるの??」
「「「!!?」」」
持ってきた色とりどりの食紅を両手に握り締めたまま目敏く気が付いた彼女が、取り囲んだ大人達の隙間から覗き込もうとしてくる。
隠すことは不可能と悟ったのか大人達のうちの1人が彼女の肩をつかみ、真剣な目をして釘をさす。
「良いか、犯罪は駄目だ」
「犯罪?なに、なんのこと?」
「落ち着いて、冷静にねっ!」
「だから、なにがぁ?」
全く会話の糸が見えない。取り残されている不安に後ろに立つ異母兄を見ると、笑顔で頭を撫でられた。嬉しいのだけどなぜか安心が出来ない。
するとそんな安積に側にいた女性が耳元で小さく囁いた。
「あの子、エフェボフィリアなの」
「え? えぼ……??」
聞き慣れない単語に不安しかない。今一理解できていない安積にもう一度耳打ちをしようとしたその時ー
「もうっ!そんなに隠されると気になるじゃ……」
「あっ、えっと……こんばん、わ」
「……………」
「……………………」
『えっ、なにこの間っ!?』
同僚達をかき分け顔を覗かせた彼女は、至って素朴そうで人畜無害そうな顔立ちをしていた。他の人達が必死になって自分を隠そうとしていた意味がー
「やだっ!?やだやだっ!!なにこの天使っ!!ちょーエンジェルっ!ガチでドストライクなんですけどぉっ!?」
なんとなく分かった気がした。
両頬に手を添えられ間近に近づいてきた顔も、恐怖が上回り照れる隙すら与えない。
「えっ、なにこの少年っ!!性癖ドンピシャっ!!えっ、えっ!?まじ天使なんだけどっ!?君いくつ!?」
「えっ、えと……こっ、高2でs」
「やばーーっ!!キタコレコレキタコレっ!!ピッタピッタっ!!ねぇ、君っ!今からお姉さんと2人っきりで楽しい事しないっ!?君にぴったりなお洋服一杯あるのっ!お姉さんがお着替えさせてあげっー」
ゴンっという重みのある音を響かせながらテンション高く暴走する彼女の言葉を止めたのは、自分を取り巻いていた内の1人、名も知らない男性の綺麗な鉄拳だった。
『やだかっこいいっ!!さっきは怖がってごめんなさいっ!』
彼女との間に割って入り止めてくれた彼の背中が異様に頼もしく見え、先程とは一変一気に頼り概を感じうっかり胸を高鳴らせた。
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