727 / 1,142
- 25章 -
- 幸せの相違 -
しおりを挟む興味と関わりたくない気持ちが競った場所。
それは穴の掘られたどでかい雪山や大小の雪像がズラリと並ぶ場所に集団で集まる大人達が居る光景。
その光景を背景に走りよってきたシャベルを握った大人達が口々に言い寄って来たかと思うと、月影の後ろに隠れた安積に気がつき声を止め一斉に視線を向けた。
『えっ、怖っ』
そのあまりの圧に忍び足で兄へと近づき手を伸ばすと、背中部分の服をきゅっと握った。
怯える弟とその仕草の可愛さに密かに悶える兄。
そんな異母兄弟達を正しく取り囲むように集まった一行は興味津々で眺めていたかと思うと、そのなかの1人が安積の肩を両手で掴んだ。
「ちょちょっ、ちょっと社長っ!?一体どこの子拐って来たんですかっ!?」
「や、どこの子もなにも、この子は俺n」
「駄目ですよっ!!犬猫じゃねぇんですからっ!」
「犯罪です犯罪っ!!駄目絶対!!ねぇ君どこの子!?ちゃんとお家まで帰してあげるから、どうか通報だけはっ!!」
「えっ!?やっ、通報はー」
「ちょっと君達っ!いくらなんでもそんな事するわけないでしょ!一体俺をなんだと思ってるのっ!?」
「奇人変人っ!!」
「やだっ、ありがとうつ!」
「でもまさか犯罪にまで手を染めるなんてっ!」
「違うってっ!俺を信じてっ!!?」
『なにこれなにこの人達怖いっ!!』
会社の仲間とは言っていたけれど、こうも知らない大人達に勢い良く囲まれやんやと言われると流石に恐怖を覚える。
兄の言葉も自分の言葉も届かないようで、掴まれた肩も振りほどく事が出来ず固まるしかない。
「ちょっと皆落ち着いてっ、怖がってるでしょっ!」
「怖がらせたのは拐ってきたしゃちょーでしょ!?」
「間違いを正そうとするこんな優しい部下達捕まえてそんな事言うなんて酷いですよっ!」
「君達の方が酷いこと言ってると思うんだけど俺だけかなっ!?」
「「「違うと思ってるんですかっ!?」」」
「社長への信頼ゼロすぎないっっ!?」
攻めよせる部下達の言葉をいなしながらその手から掴まれた安積を引き寄せた月影は、背後から抱きしめるようにして弟と顔を並べた。
0
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
初恋はおしまい
佐治尚実
BL
高校生の朝好にとって卒業までの二年間は奇跡に満ちていた。クラスで目立たず、一人の時間を大事にする日々。そんな朝好に、クラスの頂点に君臨する修司の視線が絡んでくるのが不思議でならなかった。人気者の彼の一方的で執拗な気配に朝好の気持ちは高ぶり、ついには卒業式の日に修司を呼び止める所までいく。それも修司に無神経な言葉をぶつけられてショックを受ける。彼への思いを知った朝好は成人式で修司との再会を望んだ。
高校時代の初恋をこじらせた二人が、成人式で再会する話です。珍しく攻めがツンツンしています。
※以前投稿した『初恋はおしまい』を大幅に加筆修正して再投稿しました。現在非公開の『初恋はおしまい』にお気に入りや♡をくださりありがとうございました!こちらを読んでいただけると幸いです。
今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
私の事を調べないで!
さつき
BL
生徒会の副会長としての姿と
桜華の白龍としての姿をもつ
咲夜 バレないように過ごすが
転校生が来てから騒がしくなり
みんなが私の事を調べだして…
表紙イラストは みそかさんの「みそかのメーカー2」で作成してお借りしています↓
https://picrew.me/image_maker/625951
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
チャラ男会計目指しました
岬ゆづ
BL
編入試験の時に出会った、あの人のタイプの人になれるように…………
――――――それを目指して1年3ヶ月
英華学園に高等部から編入した齋木 葵《サイキ アオイ 》は念願のチャラ男会計になれた
意中の相手に好きになってもらうためにチャラ男会計を目指した素は真面目で素直な主人公が王道学園でがんばる話です。
※この小説はBL小説です。
苦手な方は見ないようにお願いします。
※コメントでの誹謗中傷はお控えください。
初執筆初投稿のため、至らない点が多いと思いますが、よろしくお願いします。
他サイトにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる