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- 25章 -
- 幸せの相違 -
しおりを挟む『なんで今日なんだろ…』
別に月影が悪いわけじゃないのだけど、こうもあの日の事を思い出すような事が次々と起こると気が滅入っていく一方だ。
『とういか…』
自分でさえもこんななのに、月影本人はもっとしんどいのではないのだろうか?横目に見る顔からは微塵もそんな様子は見えず、むしろなんだかワクワクしているように見える。
『なんでこんな楽しそうにしてだろ?っていうか一体どこ向かってんのこれ…』
色々気にはなるが、一先ず…
「…ひじり」
「んっ?」
「お腹空いた」
「良いね! 我慢我慢っ!!」
「や、意味分からん」
意味分からない行動をするのはいつもの事ではあるけれど、今日はいつにも増してな気がする…
「まぁ、取りあえず安全運転でね」
「任せて!スタッドレスも履いてるし
聖との約束は死んでも守るよ!」
「ガス欠は起こさないでねっww」
色々と分からない事だらけだけれど月影があまりにもいつも通り…いや、それ以上に元気なお陰で暗くならずに居られるのはありがたい。
「…あのさ」
「なぁに?」
「…いや、どこ向かってんのかなぁって」
「もう直ぐだから、お楽しみに!!」
“聖はあの時の事どう思ってるの? ”
喉まで出かけた言葉は、気分良さそうにしている様子に飲み込まれた。わざわざ水を差す様な事を言うなんて無粋すぎる。
意味もなくダッシュボードを眺め時間を潰すこと数分。車はとある駐車場へと入っていった。
「ここ、どこ?」
「会社の駐車場だよ!」
「そう…で、あれはなに?」
「ふふっ! ほらっ、行くよー!」
笑って誤魔化し隅の一角に車を止めた月影が颯爽と車を降りていく。有無を言わせない行動に仕方なしに車を降りた安積はその後を追いかけるが、月影の向かう場所、その先の光景に興味と関わりたくない気持ちが競いあう。
「ねぇ、聖」
「なぁに?」
「あの人達誰?」
「会社の仲間だよっ!」
「そう。で、なにしてるの?」
「なにってー」
「「「あーーーっ!!!」」」
「ひっ!」
月影の言葉を遮るようにこちらに気がついた数人の叫び声が上がり、そのあまりの勢いに喉をひきつらせ思わず月影の後ろへ隠れる。
「ちょっと社長!急に居なくなってっ、一体どこ行ってたんですかっ!」
「言い出しっぺなのにいきなり居なくなるのどーかと思いますけどっ!?」
「ごめんごめんw」
「最後の仕上げは自分やるって息巻いてたのにっ!」
「まだ途中だしセーフでしょ!!」
「ってか、見てくださいよっ!!結構力作がぁー……って」
「「「……………」」」
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