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- 25章 -
- 不香の花 -
しおりを挟むそれならそれで安心だし、そうさせてあげられたのなら嬉しい事ではあるが、でもそれだけでは根本的な問題解決にはならない。
言いたくないなら言わなくて言い。
話たくないなら話まで待つ。
それで駄目なら俺は俺のやり方で。
話せるようになるまで待つつもりで居たけれど、雪の中佇む姿を思い出すと悠長な事は言ってられない気がする。
『どうすっかなぁー』
ベッドの上で胡座をかき内容の入ってこないTVを取りあえず眺めながら思考ー…
『まぁ、聞けばいいか。普通に』
も数分。
うだうだ回りくどいことは好きじゃない。
言いたくなければ言わないだけだとの結論に至り食べ終わるのを待つことにした。
『にしても…寒いな』
エアコンの温度を上げなんとなしに窓へと目を向ける。カーテンを指先で数㎝退けて外を覗くと、相変わらず止む素振りの見せない雪が降りしきっていた。
「止みそうにないね」
「ん?あぁ、そうだなぁ」
「おにぎり、ごちそうさま」
「あぁ、うん」
いつの間にか隣に来ていた安積が同じようにカーテンを開け並んで外を覗き込む。雪から窓ガラスに映る安積へと視線を移すと直ぐに気がついたようで、窓ガラスを介して市ノ瀬へと笑みを向ける。
「睦月」
「なに?」
「ありがと」
「なにが?」
お礼を口にするとカーテンを閉め床に座り込もうとした安積の腕を掴んだ市ノ瀬は、ベッドへと誘導し座らせると自身も隣に腰を下ろす。
誰かを自宅に呼んだことなど殆どないので、残念ながらクッションなんて気の利いたものはなかった。
「別にさ…今まで隠してた訳じゃないんだよね。俺も、聖も」
「聖さん?」
「ただ、まぁ、あまり楽しい話じゃないから…」
話し始めたは良いけれど、言いづらい事なのか終始落ち着かない様子で指先を弄っている。なにか落ち着かせてあげられる方法はないだろうかと足元に畳まれている毛布を引っ張り出し2人でくるまるように肩にかけた。
「…寒かったから」
「うん…」
小さな驚きの後照れ笑いを浮かべ市ノ瀬にかけられた毛布を掴んだ安積はより一層くるまるように手繰り寄せ、寄り添うように少し空いていた2人の間を詰めた。
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「…そう」
「でも…なにが原因だったのかは分からないけど……俺の母さんが聖に、その…酷いことしてさ。俺が産まれる前に孤児院に預けられる事になって」
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