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- 25章 -
- もういくつ寝ると -
しおりを挟む「とにかくさっ、俺は好きな人と居るだけで幸せだし好きな人の為にもっと成長していきたいって思うんだよねっ!この気持ちはずっとずっと変わらないし、そう思わせてくれる相手が居るってだけで俺にとってはもう最高の人生なんだよ!」
「…そう」
「まぁ、変な方向に成長し始めたら止めて欲しいとは思うけどw」
「分かった」
了承してはくれたけれど鈴橋のどこかスッキリしない表情や性格を考えれば、この後も今のすれ違いについて考え続けるだろう事は容易に想像できた。
2人の事を真剣に考えてくれる事はとても嬉しいのだけれど、ずっとそうして居るのは疲れてしまうのではないかと少し心配になる。分かり合えなかった事はゆっくりと一緒に過ごして行く中で自然と分かり合っていくこともあるのだし、もう少し肩の力を抜いても良いのになぁと思う。
「さてっ!そろそろ俺たちも教室にー」
「俺も、そう思う」
「ぅん?」
なんだかんだ長々と話込んでしまった。そろそろ戻らないと授業に遅れてしまうと立ち上がりかけたその腕を掴んで止めたのは、うつむき足元に視線を落とした鈴橋だった。
「まぁ、途中…ちょっとよく分からなかったけど、俺もお前と同じように思ってる。好きな人が好きになった人で良かった。だから…ありがとう」
「うん…俺も、ありがとう」
“ありがとう” と同時にしっかりと視線を合わせ控え目に笑い、離れていったその手が無性に寂しい。
『ここが学校じゃなければなぁ…』
その言葉と掴まれた腕、目に焼ついた笑顔で心かき乱されながら、そんな植野の心情など気づかずに平然と立ち上がった鈴橋に続き空き教室を後にした。
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