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- 25章 -
- もういくつ寝ると -
しおりを挟む「やべぇっ!?腹減るっ!!?でも、2日連続で同じ所ってのもあれだし、新勝寺にしよっか?本堂までの一直線は激込みだけど、そこさえ抜けちゃえば周辺の公園は人も少ないのどかな散歩コースだし、滝とかでっかい池とかもあるし、ゆっくりも出来ると思うっ!…出店は立ち寄れたら行く感じで。あっ、運が良ければ寺まで行く道で猿回しやってる!めっちゃ可愛いっ!!」
「へぇ!そんな所でやってる時あるんだっ!?」
「そうそう!お猿が小さい器もってお布施集めに来たら思わず入れちゃうww じゃぁ、新勝寺で決定でおけ??」
安積の問いに全員が大なり小なり頷くと笑顔がはじける。なんだかんだ安積の希望と言うよりは鈴橋の希望が通った形にはなったけれど、1番の目的は“皆で行く思い出作り”だ。具体的に話しているとドンドン沸いてくる実感が沸き、安積は叫び出しそうきなる歓喜を握り拳に込めた。
「すごいっ!冬休みが一気に楽しみになったっ!ありがと皆っ!!」
「全然っ!俺も楽しみ!やっぱせーちゃんは険しい顔してるよりニコニコしてる方が好きだなーw」
「やだ照れるぅっ!ありがと好きー!!w」
何気無くいつものノリで言った植野の言葉に、様々な空気が渦巻いたのを瞬時に感じとった。
『1㎜も誰にも下心感じさせる事なく言えるの…羨ましいですね…自業自得ですけど』
と、安積を挟んだ隣ではどんよりした空気が。その隣からは
『俺だってまだ好きだなんて言われたことねぇのに』
と、少し苛立ったような空気が。そして更にその隣からは…
「2日、連続、人混み……いや、でもいろんな所に行って見解を広げるのもー」
と、最早小さく声にだす悩める少年の空気が。
…少しは嫉妬的な事はしてくれないのだろうか。付き合う前はそれっぽい事はなくはなかったけれど、付き合ってからはさっぱり綺麗になくなってしまったようで、若干寂しい。付き合えたことで安心感が生まれたとすれば、それはそれで嬉しくもあるのだけれど。
「あっ、そう言えば、会長」
「なんですか?」
「すいません、話は変わってしまうんですが…」
「はい」
「会長のご自宅は誕生日とクリスマスって一緒に祝ってますか?」
「…なんですか、急に?」
今までの会話と関連性が全くない事にも驚きだけれど、この手の会話は班乃が避けてきたもので…最初こそ隠そうとしていたわけではないのだが、幼馴染みの話を安積にした頃からは意識的に避けるようにしていた。今に至っては植野の知ることでもあるし、気を使わせるのは火を見るより明らかだからだ。
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