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- 25章 -
- もういくつ寝ると -
しおりを挟む「だって…普通に1人で過ごすつもりだったし…去年もそうだったし、皆は当たり前に家族と過ごすんだって思ってたし…だから誘って貰えるって思ってなくって」
「すいません…去年も、誘えば良かったですね」
「いやいやっ、謝る事ないって!それで良いって思ってたし…けど、やっぱりちょっと寂しかったから…どうしよう、めっちゃ…嬉しいっ!!」
「嬉しいって言ってくれるのは嬉しいけど、なんでそんな険しい顔してるのせーちゃんw」
「力んでないと泣きそうでっ!」
「泣いても良いと思うよ」
「笑えば良いのノリで言わないでっ!強い子になるって決めたのっ!!」
険しい表情を浮かべたまま市ノ瀬を素通りした安積の視線が鈴橋へと向けられ、真剣な口調で問いかけた。
「ホンっっトに、行って良いんだよねっ、皆で!!良いんだよねっ!初詣っ!?」
そんな何気ない行動に市ノ瀬は1人嬉しさを噛み締める。事ある毎に言ってきた “ 自分がしたい事しかしない ” という言葉は漸く安積の中に落とし込まれたようで、遠慮なく甘えてくれている態度がどうしようもなく嬉しい。
1人喜びを噛み締めている市ノ瀬をよそに念入りに確認するような安積の問いに間髪いれず答えたのは、スっと目を細めた鈴橋…ではなく、そんな鈴橋に気がついた植野だった。
「あったりまえじゃん!!良い思い出になるよっ、ねっ、がっくん!!」
「……そうだな」
そう言われると行きたくなくなるな、と鈴橋が口にする前に植野が先手を打つ。天邪鬼な所も可愛い…いや、本心かもしれないけれど、全員で初詣に行きたいと思うのは自分も同じで、1ミリでも行かない選択肢が出るのは避けたかった。
「じゃぁ、どこ行くか決めないとだねっ!!初詣と言えば!?」
「新勝寺っ!!」
「高幡不動尊ですかね」
「薬王院かなぁ」
「浅草寺」
「筑波山神社」
「てんでバラバラだなぁっ!?」
「山は却下」
「えー、ロープウェイあるよ?そこから少し歩くけど。梺の蕎麦屋さんもめっちゃおいしーよ??」
「却下」
「じゃぁ、筑波山も駄目だな」
「高幡不動か浅草寺ですかね?」
「新勝寺も山登らないよ!!どこが一番出店多い!?」
「うーん…成田山は行った事ないので。高幡不動か浅草寺だと、高幡不動の方が多いですかね…すっごく混みますけど、整備はしっかりされてますよ」
「……出来れば他の所で」
「じゃぁ、浅草寺か新勝寺だな」
「うーん…言ったは良いけど、出店で考えるとどっちも少ないよなぁ。がっくんは家族と行くのは浅草寺?」
「まぁ、そうだな。人混み乗り切った後の仲見世通りの天ぷらそば唯一の癒し」
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