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- 25章 -
- もういくつ寝ると -
しおりを挟む付き合っているとしたら流石の安積でもクリスマスは家族と過ごすものとしてではなく市ノ瀬との予定を入れるだろう。
『いや、もしかしたらあえて家族と過ごすものって言って隠している可能性もー…』
昼食のゴミを片しながら然り気無く市ノ瀬へ、それから班乃へと視線を流す。班乃は通常通り、市ノ瀬は微かに不服そうな表情に見えるが…正直予測はできない。
どちらにせよ、世間が賑やかになる中あの安積が自宅で1人きり過ごしている。そう考えたら自分でさえもやるせない気持ちになるのだから、この2人が放って置くなんて考えづらい。
しかし、クリスマスは班乃にとって手放しに祝うのは難しいのかもしれない。立ち直ったように見えてもまだ日は浅く、瘡蓋になった心の傷はきっと些細な事でも剥がれてしまうだろう。
『…いや、だからこそ皆でクリパもあり?』
しかし市ノ瀬がクリスマスに安積との予定を考えて居ないと言うのも考えづらい。
ここでクリパーなんて言ったらかなり空気の読めない奴だ。悶々と考えを巡らせていると不意に視線を感じ顔をあげる。そこには優しそうに微笑み自分へと視線を向ける班乃の姿があった。もしかしたら自分がなにを考えているのかお見通しなのかもしれない。
微笑みを浮かべたまま今度は班乃が市ノ瀬へと視線を投げ、アイコンタクトを取ったかと思うと静かに口を開いた。
「それなら折角ですし、皆で初詣でも行きません?」
「えっ?」
「皆さん空いてる日ありますか?」
「家は家族で初詣なんて行かねぇし、いつでも」
「右におなじっ!がっくんは?」
「俺もか…?」
「当たり前でしょ!」
「……1日は家族で初詣行くから、それ以外なら」
「3日は僕が予定があるので…2日で良いでしょうか?」
「全然OK!! じゃぁ、何処にしようか??」
「あまり混まない所が良い…」
心配を他所に問題なく“皆で”の予定が決まり植野はホッと胸を撫で下ろす。安積も勿論だが、班乃に対してもだ。
『…1人にならなくて良かった』
考えすぎかもしれないけれど、自分と鈴橋、安積と市ノ瀬と、なんだか班乃がハブれたような形になってしまったのには少し気が引けていた。
恋人との時間も勿論大切にしたいけれど、だからといってずっと良くしてくれていた親友との時間を蔑ろにするのは申し訳ない。というか、それ以上にそんな薄情なことはしたくない。
正月というタイミングで予定が決まった事でクリスマスで気分を落ち込ませて居ただろう班乃を少しは元気付ける事も出きるだろうし、ひとまずは一安心だ。
しかしー
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