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- 25章 -
- もういくつ寝ると -
しおりを挟む「も~い~くつ寝~る~とぉ~ふ~ゆ~や~す~みぃ~っ!!冬休みだーっ!!」
流石に真冬に屋上は寒い。空き教室でお昼ごはんを囲んで居る中、唐突に安積が上機嫌で歌い始めた。良く分からない歌を突拍子もなく歌い始めるのはいつもの事なので、最早誰からの突っ込みもない。
「冬休みと言えばっ!?」
円になった全員のど真中へと元気良く安積の人差し指が差し出され、各々が吊られるように“冬休みと言えば”の問いを頭に浮かべた。
『クリスマスかなぁ。付き合って初のクリスマスだし、やっぱりここはがっくんと…や、でもがっくん家は家族でパーティーするよね。どーしよーかなぁ』
『あぁ、もうすぐ紗千の誕生日とクリスマスか。そろそろプレゼント考えないと。この時期は子供向けのアニメグッズ、直ぐ売り切れるしな…』
『特にねぇけど…安積イベント事好きだしな。やっぱクリスマスは押し時か?予定、どうなんだろ』
思い思いに考えふける中、声高々に安積が叫ぶ。
「寝正月っ!!」
「「「「寝正月??」」」」
「今年こそはさくっと宿題終わらせてゴロゴロするんだぁ~!」
「宿題なんて1日あれば終わるだろ?」
「駄目ですよ。学君の基準で考えちゃ」
「そうそうw貰ったその日に終わらせて最早冬休み前の宿題になってるがっくんと他の人を一緒にしちゃ駄目だって」
「その日にってー…最早変態の域だな」
「やる気があれば誰でも出来るだろ」
「俺のやる気スイッチはないっ!!」
「自信満々に言えることではないですよね…」
けれど頭の中は宿題の事よりも既に寝正月に向かって居るようで、ご飯を頬張りながら空を見上げて幸せそうな笑顔を浮かべて居る。
居るのだけれど……
「お前が寝正月って答えたのは意外だったな」
「ん? そう?」
タイミング良く誰しもが思っただろう事を代表したかのように鈴橋が口にした。イベント事が好きな安積が冬休みと言えば寝正月なんて答えるとは思わなかった。
「お前の事だからクリスマスとか初詣とか言うかと思った」
「あー…まぁ、ね。でもクリスマスも初詣も家族と過ごすもんじゃん?実家に居た時はそうだったけど今は1人暮らしだし、わざわざその為だけに帰るのもなぁって」
家族で過ごすもの。それも間違いではないけれど…。それだと安積はクリスマスも正月も1人で過ごすことになる。というか、1人で過ごす気満々だ。
『そんな寂しいことある??というか、もしかしてむっちゃんとせーちゃんって……まだ付き合ってない?』
見聞きした情報から既に付き合っているものだと思っていた植野にとってこれは予想外の流れだ。
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