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- 24章 -
- 財布拾っただけなのに -
しおりを挟む『なんて、こと………』
安積に思いを寄せていたことは植野に言っていないはずだ。それなのになぜ?そんなに自分は分かりやすかっただろうか?悟られない様に意識はしていたのだけれど…
あまりの衝撃の事実に血の気が引き、班乃は思わずその場にしゃがみ膝に頭を埋めた。
『というか、いつから知って…?まさかー』
「…いつから、その事を?」
「えっと…確信したのは公園で話した時、かな」
「と言うことは、その前から勘づいてはいたと」
「…クレープ食べに行った日に、がっくんがむっちゃんから“好きな人と親友が付き合ってたらどうする”って相談されたって話を小耳に挟んでですね…その時、明達3人の様子がおかしかったから。それに、明とせーちゃん、前からものっそ仲良かったし…もしかしてって思って」
「そう、ですか…そんな前から」
植野に相談、というか、愚痴や懺悔のような事を垂れ流したあの時には既に知られていたと言うことで…
安積のどんな所が好きで、どれだけ大切に想っていて、またしていきたかったのか。事細かに話してしまった記憶もあるし、濁しはしたけれど植野の事だから自分が安積にしてしまった過ちも気がついているだろう。
失恋したと醜態をさらけ出す原因となったその相手が同級生で、同性で、共通の友達だと言うことがバレてしまっていたという事実が今すぐ消えてしまいたくなる程の羞恥心をもたらしてくる。
「ごめん…」
「別に…貴方が、謝る事ではないのです…けど」
しゃがみ込み膝に埋めていた顔をゆっくりと持ち上げると植野を見上げる。その班乃の相貌は血の気が引ききっており、今にも泣き出しそうで…
うっかり口を滑らしてしまった軽率な行動に植野の心に罪悪感がー
「1発ひっぱたいたら忘れさせられますかね」
「あるわけないでしょそんな漫画みたいなことっ!!」
「いや、でも…実際に記憶が飛ぶ事例だってなきにしもあらずですし…」
「いやっ、止めよっ!? 落ち着いてあっきー!!」
罪悪感が沸き上がったが秒で消え去り後悔が襲いかかる。
『ってか、自分でせーちゃんの名前呼んでたんですよ貴方っ!!』
のろのろと立ち上がると植野の肩を鷲掴み、その逆の手を顔の高さまで持ち上げた班乃の目はとてもとても真剣で…
『これはどうにかしてでも止めないとガチでひっぱたかられるっ!!』
「待って待って!暴力反対っ!!荒治療反対っ!!」
「じゃぁ、僕にどうしろと?」
『耐えればいいと思うのっ!!』
「えっと、そう!!穴があったら入りたいってやつでしょ今っ!!入れば良いよっ!すっぽり入れるくらい大きいやつ掘るからっ!!全力全身で掘るからっ穴っ!!だからひっぱt」
「…誰の?」
「落ち着いてっ!!?」
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