658 / 1,142
- 24章 -
- 財布拾っただけなのに -
しおりを挟む「んー…ないなぁー。そっちは?」
「見当たりませんね」
「本当にここにあるのかよ」
「さぁ」
顧問に頼まれた探し物をする為、安積達3人は普段使われていない倉庫代わりの教室へと来ていた。頼まれたのは班乃1人であったが、ありがたい事に事情を聞いた2人も手伝いを申し出てくれ3人で探す事となったのだ。
普段使われていないとは言えそこまで埃が溜まっているわけではなさそうなのだけれど、以前の二の舞をさける為一応念には念をと班乃が窓を開けたその時ー
「あっ! 」
「「Σ っ!?」」
「すいませーんっ!!あのーー!!あっ、あぁー……」
「なっ、なになにっ!?びっくりしたぁっ!」
「んだよ、急に。どうした、大声だして」
窓を開けた班乃が突如叫んだかと思うと、落胆の声を発し溜め息つきながら窓から乗り出していた体を戻した。
「あぁ、すいません、驚かせてしまって。下を歩いていた生徒がなにか…多分お財布を落として見づらい所入っちゃって…ちょっと拾ってきますね」
「ほっとけよそんなん」
「優しさどこ行ったっ!?」
「残念ながら全人類に向ける程持ち合わせてねぇ」
そんなやり取りに苦笑しつつも教室を出ていく班乃を見送くってから仲良く窓をのぞく2人だったが、財布らしき物はどこにも見えない。定期とか入ってたら帰れないし、見つけてもらえた子はラッキーだな、とぼんやり考えていると丁度班乃が姿を表した。
『見づらい所って、どこ落っこってんだろ…あっ、垣根の裏??これは見つからないやつだ。良く気づいたなぁ、あっきー』
視線の先では班乃が落ちているであろう所にしゃがみこみキョロキョロと辺りを見回し、どうやら無事見つけたらしく腕を伸ばした。
「あ、あれ学じゃね?」
「ん? あっ、ホントだ!今日も元気に水やり中じゃん!本当部活大好きだよね、がっくん」
「そうだな………なぁ、安積」
「ぅん?」
「あれ、まずくね?」
「えっ? ……あっ!?」
無表情だがどこか楽しそうなオーラを放つ鈴橋が、歩きながらてきぱきとホースで水やりをする。
その進行方向はー…
「あっきぃっ!!」
「がくっ!!」
ほぼ同時に響いた2人の声に
手も足も止めることなく顔を向ける鈴橋と
無事財布を拾い終わり立ち上がった班乃が
同時に顔を上げた
そして、次の瞬間にはー
「あぁ……っ!!」
「遅かったな……」
「………水も滴るなんとやら」
頭から水滴を滴らせた班乃と、青い顔をした鈴橋が顔を見合わせていた。
0
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
私の事を調べないで!
さつき
BL
生徒会の副会長としての姿と
桜華の白龍としての姿をもつ
咲夜 バレないように過ごすが
転校生が来てから騒がしくなり
みんなが私の事を調べだして…
表紙イラストは みそかさんの「みそかのメーカー2」で作成してお借りしています↓
https://picrew.me/image_maker/625951
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
初恋はおしまい
佐治尚実
BL
高校生の朝好にとって卒業までの二年間は奇跡に満ちていた。クラスで目立たず、一人の時間を大事にする日々。そんな朝好に、クラスの頂点に君臨する修司の視線が絡んでくるのが不思議でならなかった。人気者の彼の一方的で執拗な気配に朝好の気持ちは高ぶり、ついには卒業式の日に修司を呼び止める所までいく。それも修司に無神経な言葉をぶつけられてショックを受ける。彼への思いを知った朝好は成人式で修司との再会を望んだ。
高校時代の初恋をこじらせた二人が、成人式で再会する話です。珍しく攻めがツンツンしています。
※以前投稿した『初恋はおしまい』を大幅に加筆修正して再投稿しました。現在非公開の『初恋はおしまい』にお気に入りや♡をくださりありがとうございました!こちらを読んでいただけると幸いです。
今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
チャラ男会計目指しました
岬ゆづ
BL
編入試験の時に出会った、あの人のタイプの人になれるように…………
――――――それを目指して1年3ヶ月
英華学園に高等部から編入した齋木 葵《サイキ アオイ 》は念願のチャラ男会計になれた
意中の相手に好きになってもらうためにチャラ男会計を目指した素は真面目で素直な主人公が王道学園でがんばる話です。
※この小説はBL小説です。
苦手な方は見ないようにお願いします。
※コメントでの誹謗中傷はお控えください。
初執筆初投稿のため、至らない点が多いと思いますが、よろしくお願いします。
他サイトにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる