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- 24章 -
- 普通 -
しおりを挟むとはいえ学生時代ではなくても誰かを好きになり愛おしいと感じた経験は勿論あるし、良く言えば学生時代は豊富な擬似体験が出来たとも言えるだろう。
『でも好きってなに、か。難しいなぁ』
自分の答えが弟にも当てはまるとは限らない。けれど自分の答えで弟が言葉に出来なかった気持ちに言葉をつける事が出来なら、なにかしら同意出来るものがあったのなら少しは助けになれるのではないかと思い付く限りを口にした。
「好きってなにか、だったよね?」
「…うん」
「そーだなぁ……例えばだけど、今日は良い事あったなぁとか嫌な事あったなぁとか、良いお店見つけた、とかでもなんでも良いんだけど、そういうふとした時に1番に思い出して共有したくなる事、かなぁ」
「1番…」
「そう。勿論それだけじゃなくて、会えない時は凄く寂しくてその人の事ばかり考えちゃうとか、その人とずっと一緒に生きる未来を想像したり、もし居なくなったらって考えただけで居てもたっても居られないとか、その人の事を四六時中考えちゃうとか…あと嫌だなぁーって思う所もなんだかんだ受け入れられちゃうとか」
「嫌なのに?」
「好きだから許せちゃったり、むしろ可愛く見えちゃったりする事ってあると思うんだよね!その1つ1つは小さい事かもしれないけど、それが沢山積み重なって好きって事になるんじゃないかなって思うなぁ」
「…なるほど」
兄の返答に自分を当てはめてみる。
幾度となく差し出される手の温もりを、手離せなくなっている事なんてとっくに自覚してる。
自分が自分らしくあれるというのも自覚してる。
小さい事に心揺さぶられて、頭の中を彼が占領している事だって、自覚してる。
質問すればする程
その答えを聞けば聞く程
気持ちを否定することが出来なくなっていく。
でもー
「でも、そう言うのって1人の問題じゃないじゃん」
「なにが?」
「お互い好きだったとしても、自分と付き合ったり結婚したりする事で相手の人生を壊す事になるなら、好きって気持ちだけで答えを出すのは…駄目な事もあるんじゃないかなって…」
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そう思ってしまう。
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「違うよ、相手の人生を壊すかもって事」
「それって、悩む必要ある?」
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『そうかもしれないけど…』
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